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桃下結衣
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#ハンドレ学園
ルナサ・オルシェ
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第2話 隣の席の、無愛想な君
入学式から三日。
莉乃は、少しずつ高校生活に慣れてきていた。
「莉乃ー!おはよ!」
朝、教室に入ると美羽が手を振ってくる。
「おはよ。てか今日眠すぎる」
「わかる。昨日寝るの遅かったもん」
莉乃が席に座ると、隣の席にはすでに湊がいた。
机に伏せて寝ている。
「……朝比奈くんって毎日寝てない?」
「え、ほんまや。昨日も寝てたよな」
美羽が笑う。
莉乃は少し迷ったあと、湊の机を軽く叩いた。
「朝比奈くん」
「……ん」
「先生来るで」
「まだ来てへんやろ」
「いや、もうすぐ来るって」
「……うるさ」
「は!?」
思わず声が大きくなる。
すると湊が顔を上げた。
「冗談」
「はあ!? びっくりしたんやけど!」
湊は小さく笑い、また机に伏せた。
「……なんなん、あいつ」
莉乃は呆れながらも、なぜか少し笑ってしまった。
*
昼休み。
「莉乃って好きな人おる?」
美羽が突然聞いてきた。
「え!? なんで急に!?」
「いや、気になるやん。高校生やで?」
「おらんし」
「ほんまに?」
「ほんまほんま」
そう言いながら、莉乃はふと隣の席を見た。
湊は友達の颯太と楽しそうに話していた。
「……あいつ、普通に笑うんや」
「ん? 誰?」
「なんでもない!」
美羽がニヤニヤする。
「え、もしかして朝比奈くん?」
「違うって!」
「まだ何も言ってないやん(笑)」
「もう!」
莉乃は顔をそむけた。
*
放課後。
莉乃と美羽は、バドミントン部の見学に向かっていた。
体育館に入ると、ラケットの音が響いている。
「うわ、めっちゃ楽しそう!」
美羽が目を輝かせる。
莉乃も思わず笑顔になった。
そのとき。
「水瀬?」
聞き覚えのある声。
振り返ると、湊がラケットを持って立っていた。
「え、朝比奈くん!?」
「入るん?」
「うん、見学!」
「ふーん」
湊はそれだけ言うと、コートの方へ戻ろうとした。
「ちょ、待って!」
「ん?」
「朝比奈くんって、バドミントン上手いん?」
「普通」
「絶対うまいやん、それ!」
「見てたら?」
そう言って湊はコートに戻った。
莉乃は思わずその背中を見つめる。
「……なんか腹立つ」
「でも気になってるやん」
「美羽!!」
*
見学が終わった帰り道。
莉乃は美羽と並んで歩いていた。
「朝比奈くん、意外と優しいんちゃう?」
「どこが?」
「さっきラケット貸してくれたやん」
「あー……」
確かに。
見学中、莉乃がラケットを持ってみたいと言ったとき、湊は何も言わずに自分のラケットを貸してくれた。
しかも、握り方まで教えてくれた。
「……まあ、ちょっとだけな」
莉乃は小さく笑った。
その頃。
体育館では、湊が颯太に声をかけられていた。
「お前、今日水瀬としゃべってたやろ」
「しゃべってたけど」
「なんか楽しそうやったやん」
「別に」
「へえー?」
颯太は意味ありげに笑った。
「お前、あいつのこと気になってんちゃう?」
「……は?」
湊は少しだけ眉を寄せた。
「ないわ」
そう答えたはずなのに。
なぜか、頭の中にはさっき笑っていた莉乃の顔が浮かんでいた。
⸻
コメント
1件
第2話、すごく良かったです!湊くんの「冗談」からの莉乃ちゃんの「は!?」って反応、あそこめっちゃ好きです。不器用なのにラケット貸して握り方教えてくれるところとか、ギャップでやられますね。颯太に「ないわ」って言いながら莉乃ちゃんの顔思い浮かべちゃう湊くん、もう完全に気になってるやつじゃないですか(笑)。この距離がどう変わっていくのか、続きがすごく気になります!