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初コメ失礼します 🙏🏻 自分の勘違いだったら申し訳ないですが、 れもねーど🍋🧸💕の、「あの青空の下で、君が笑っていてくれるなら。」と題名とサムネの字体などが被っているように思います。 内容は全く違うので言い切れませんが、もしよろしければ返答お願いしたいです。
相変わらず大好きです❕❕
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@ s i d e
『 それじゃあ、また帰りにね 』
『 おう、今日帰り買い物な 』
『 りょうかーい 』
ひら、と手を振って玄関で別れる。
海晴は4組で、僕は1組。
海晴は、とても優しいと思う。
僕のこんなくだらない “ 人生 ” に付き合ってくれて、もう時期終わらせる事にも付き合ってくれる。
明日は、僕の誕生日。
17歳の、誕生日。
そして、君の前から姿を消すと決めた日。
何故姿を消すのか、なんて只の興味本位。
映画やドラマなら、ちゃんと探してくれるでしょ?
大好きな君なら、きっとそう。
『 あーあ、数学かぁ… 』
別に教室でする事もないし、かと言って何もしない訳でもない。
2時間目を告げるチャイムが鳴る。
そうだ、遅延してたから遅刻だ。 と、職員室に向かう。
『 失礼しまーす 』
「 おお、どうした? 」
『 遅刻したので 』
「 遅延だろ?クラス担任に見せればいいぞ 」
『 そうなんですね、失礼しました 』
最悪、ちょっとは時間潰せると思ったのに。
こんな僕、海晴は知らない。
海晴の思う僕は、きっと直ぐに壊れてしまいそうな繊細な僕。
だけど、本当の僕は誰よりも最低で、最悪で、人間として生きてていいのか疑う程の人間。
何故かって?
─────── お父さんを殺したから。
『 …嫌な事思い出しちゃった… 』
教室に向かう足取りが、どこはかとなく重く感じる。
『 ─── せんせ、遅延です 』
「 おー、教科書74ページな 」
『 はーい 』
今日は駄目な日。
何にも集中出来ないし、何にも頭に残らない。
『 ……ふー… 』
外には、商店街が見える。
クリスマスイヴだからか、綺麗に飾られて。
こんな日は、昔の事をよく思い出す。
お父さんを殺す前の、不幸せな日常 ────
『 …! 』
とあるおもちゃ屋さんの、小さいキーホルダーを見てた。
別に好きな訳でもなかったし、嫌いな訳でもないけど、このキーホルダーが物凄く欲しかった。
「 なんだ、要るのか? 」
今日のお父さんは、クリスマスだからかほわほわしてた。
お母さんは、ちょっぴり嬉しそうに笑ってた。
『 …ん、!! 』
この時、クリスマスプレゼントとして、新しいお父さんに初めて物を買ってもらった。
最初で最後の、プレゼント。
最後の1つだったらしく、とても綺麗にラッピングして貰ったけれど、店から出て直ぐに除けてしまった。
「 …はぁ…” 」
その時、お父さんの溜め息が聞こえた。
不機嫌な、色も温度も無い声。
しまった、お父さんを怒らせてしまった。
何が原因かなんて分かんなかったけど、怒っている事だけは分かった。
「 …クリスマスだなぁ 」
そう言いながら、身体中を殴ってくる。
「 ほら、クリスマスプレゼントだ 」
『 ぃ”ッ、あッ 』
只々痛いのと、苦しいのと、痛いの。
それだけが、お父さんとの思い出。
その日の事だった。
いつも着ていた上着が無くなってて、僕の部屋にあったはずの物も全て無くなっていた。
嗚呼、僕って捨てられるのかな、と小さいながらに感じた。
それでも僕はまだ小学5年生。
事実を受け止めるのは全然難しくて。
「 …雨嶺ぇ 」
扉の向こう側から、嘲笑うような笑みを含んだ声。間違いなく、お父さんの声。
「 お前の命、後1年な 」
『 …ぇ、 』
つまり、小学6年生になったら死ぬ、って事…?
「 あーまーねっ! 」
そんな空気の中、明るく暖かい声が聞こえた。
海晴だ。海晴が、来てくれた。
小さな部屋の窓越しに、大好きな海晴の姿が見えた。
「 へへ、遊ぼーぜっ! 」
海晴だけが心の救いだった。
『 ごめーん、っ今日むりーっ、 』
それから僕は、お父さんに内緒で友達と喧嘩ばっかりした。
いっぱいいっぱい喧嘩して、学校じゃ負け無し。
これなら、お父さんに勝てると思った。
大好きな海晴と、一緒に居られると思った。
毎 日 毎 日 、 殴 ら れ て
毎 日 毎 日 、 涙 が 止 ま ら な く て
毎 日 毎 日 、 明 日 が 見 え な く な る 。
毎 日 毎 日 、 海 晴 の 事 だ け 考 え て
毎 日 毎 日 、 愛 さ れ た い と 思 っ た 。
@ も し 、 君 に 愛 し て 貰 え た ら 。
あっと言う間に1年なんか過ぎてしまって。
もしかしたらお父さんはこの事忘れてるかな、なんて淡い期待を抱いたけれど。
「 雨嶺 」
1年前とは違って、嬉しそうな、冷たい声。
『 …ひゅッ、 』
手には果物ナイフを持ってて、本気なんだと思った。
どうせ僕は要らない子。
「 …どうせなら、思う存分殴ってからにするかぁ 」
そう、扉の向こうにナイフを置いて、僕を殴り始める。
馬乗り状態で僕の頭を殴り、急に立ち上がったと思えば全体重で踏んでくる。
いつもなら5分程で飛んでいた記憶が、20分経っても冴えたまま。
『 ぁ”がッッ 』
「 …ぁ”? 」
お父さんも疲れて来たようで、いつもより耐える僕に苛立ちの目を向ける。
1番暴れられずに殺せるのは、眠っている時だけだから。
つ ま り 、 僕 の 意 識 が 飛 ん だ 時 、
僕 は 殺 さ れ る 。
『 ( …耐えろ、ッ耐えろッ!!! ) 』
「 さっさと…死ねよッ!!! 」
タ イ ミ ン グ 。
焦 り と 苛 立 ち を 含 ん だ 、
” 最 後 の 一 発 “ が 来 る 時 。
今 、 こ の 時 、 こ の 瞬 間 。
今 な ら 、 当 た る 。
小学6年生とは言え、喧嘩ばかりしていた所為か人並み以上に力だけはあった。
お父さんが振りかぶって来たその時、思いっきり横腹を殴った。
「 はッ 」
少し後、お父さんの1番重たい一発が僕の口元を殴る。
少 し 乱 れ た こ の 瞬 間 。
お 父 さ ん が 、 目 を 見 開 い て 、
ナ イ フ を 取 り に 立 ち 上 が る 。
今 し か な い 。
今 じ ゃ な い と 、
も う 僕 は 死 ん で し ま う 。
それからの事はあまり覚えていない。
只々走って、走って、走った。
1つ覚えている事と言えば、二の腕を切られた事。
それから、公園でブランコに乗って居た時に海晴と会った事。
「 …雨嶺? 」
『 !海晴、 』
殴られ過ぎて意識が朦朧としていた僕は、座っているのがやっとだった。
黒の半袖Tシャツに、血がじんわりと滲んでいくのもよく分かった。
「 その傷ッ、大丈夫かッ!? 」
持っていた自転車を放って、僕の方へ駆けてくる。
『 み、はる ────── 』
その次目を覚ますと、見えたのは海晴じゃなくて、怒った顔のお父さん。
「 …雨嶺 」
『 ……へ、ぁ、っ? 』
「 念の為今日は入院としますが… 」
「 すいません、コイツよく喧嘩するもんで… 」
自分がした、とバレないように僕をヤンキーだと仕立て上げる。
「 では、後は御家族でごゆっくり。 」
医師が出て行ったと共に、お父さんの温度のない声。
「 …雨嶺、お前ほんとゴミだな 」
「 ……次は、バレないようにしないとね 」
お母さんとお父さんが、そう呟く。
『 … 』
折角、逃げられたと思ったのに。
それから、毎日毎日殴られるだけの日々。
毎日毎日痣が出来て、
毎日毎日その痣の上から更に痣が出来る。
今 日 は 、 1 2 歳 の 誕 生 日 。
そ し て 、 ク リ ス マ ス 。
1 5 歳 の 誕 生 日 、
お 父 さ ん を 殺 す 。
そ し て 、 1 6 歳 の 誕 生 日 。
海 晴 に 伝 え よ う 。
” 死 な せ て “ 、 と 。
そ し て 、 ” 死 ぬ ま で 愛 し て “ 、 と 。
否 、 愛 さ れ て 死 に た い な 。
” 死 ぬ 程 愛 し て “ 、 に し よ う 。
元 々 、 未 来 が 描 け ず に い た 。
1 7 歳 か ら 先 の 未 来 が 見 え な い 。
も し 、
こ れ か ら 先 も 見 え な か っ た ら 。
そ の 時 は 、
海 晴 の 前 か ら 姿 を 消 そ う 。
「 ───── 、 雨嶺 」
『 はい、っ? 』
嗚呼、しまった。
昔の事を思い出して考え過ぎていたようだった。
「 ここの公式は何番を使う? 」
『 …んーーー…3番…? 』
「 正解、ぼーっとすんなよー 」
『 はーい… 』
勘で答えたが当たっていたらしい。
気が付けばもう残り5分。
授業は何1つ聞いていないし、おまけにノートも真っ白だ。
『 ( …最悪、 ) 』
びゅう、と少し開けた窓から吹き抜ける風が寒過ぎて心地よい。
明 日 は 、 1 2 月 2 5 日 。
ク リ ス マ ス 、 そ し て 。
僕 の 1 7 歳 の 誕 生 日 。
@ こ ん な 僕 で も 愛 し て よ …
♭ ば ー か 、 俺 し か 愛 せ な い っ て の