「ねぇ兄貴」
「んだよ」
「花火見に行かない?」
「別にいいけど」
「えっっっっ?!」
そんな流れで、今日の夜あいつと2人で花火を見に行くことになった。
きっとカップルが多いのだろう。あんなカスとなのは腹が立つが、今年の花火ももう直ぐ終ってしまう。
そんなことを考えていたらあっという間に授業が終わって下校のチャイムが鳴る。
足早に家へ帰るとあいつはまだ帰っていなかった。花火は7時から。時間まであと三時間ほどか。
何故だか落ち着かない。
テレビを見たり宿題を進めたりして時間を潰しているといつの間にか時間が経っていた。
いつもより気合いが入ったような服を着て、髪を整える。
あいつは先に行って待っているとのこと。
家を出て歩き出す。だんだんと歩調が速くなっていく。
会場の入り口に見慣れた黄色い頭が見える。
「あっ🍑!」
「こっちこっち!!」
あいつと並んで歩き出す。
「場所は取ってあるから!」
こいつはこういう時だけ用意周到なんだよな、、、
「わぁ!始まった!」
「すごーい!」
笑顔で空を見上げるあいつの横顔を眺める。
花火も見ずに俺は何をしているんだ。
高鳴る心音を爆音がかき消す。
長いように思えた花火もあっという間に終わりを迎える。
「花火、綺麗だったね!」
「、、、ああ」
「珍しく兄貴が素直なんだけどぉ!」
「うるせぇ」
2人並んで歩く。今日も、明日も。
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