本音は建前より美しい

F：「」

K：『』

※登場人物および物語は全てフィクションです。

「…はよ」

『おはよう』

俺たちの日常はこれからも続いていく。

俺だけのキミでいてくれるのも、キミだけの俺でいられるのも、ほんの僅かな時間だけ。

スタジオに響くシャッターの音。

背中を預けるキミの表情は見えない。

あの夜の俺たちは二人だけの秘密、という事になっている。

秘密というのは、守られれば続けてもいいらしい。

新しくバスローブを買った。

もう一つ枕が必要になるかもしれない。

そうやってキミのかけらが俺の部屋に増えていくように、俺たちの秘密も一つずつ増えていくのかな。

「なに考えてんの」

『え？ああ、ごめん、ちょっとお腹が空いていてね』

「腹減ってるとそんな物憂げな顔すんだ」

『満腹よりずっと憂鬱でしょ？』

「青椒肉絲」

『あ〜天津飯』

「小籠包」

『マンゴープリン？』

「〆んのはえーよ」

キミが引き出した笑顔が誌面を飾る。

そう、これも秘密の一つ。

秘密は嘘でも建前でもなく、最も真実に近い本音なのだ。

『俺ほんっと、好きだな〜』

「俺も」

end.