テラーノベル
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任務が終わり 他の隊員たちがそれぞれ解散していく
平和になったとはいえ小さな抗争は続いている
四季をそれに習いその場を離れた
疲れているし今すぐベットに寝転びたい
だがすぐに戻りたくなかった
それがなぜなのかはわからない
その行動理由に名前をつける前にふらふらと歩き始めた
けど大っぴらに歩けるわけもないので屋根から屋根へ飛び移っていくだけだが
それを続けてどれくらいたったか
少し飛び移って行くのにも疲れたので古びたビルの屋上のうえで足を止めた
当然だか誰もいないその空間は静かだったが
下を除けば別次元のように輝き、明るい世界が広がっている
今にも壊れそうな安全柵らしき低めの柵にもたれ掛かるように下を見た
流石東京というべきか 夜ということを感じさせない明るさだ
そのままその景色をぼーっと眺める
仲よさげに笑い合いながら歩いていく家族
少し甘さを含んだような距離の恋人
無邪気に走る学生達
くたびれたスーツを着て疲れ顔な人
この人達は知らないのだろう ついさっきまで近くで戦闘が起きていたことが
否、知らなくていい
そんなことを知らないで生きていってほしい
その為に戦っているのだから
ふと空から光が差した
雲に隠れていた月が見えたようだ
そのぼぅっと月を見上げる
三日月とも満月とも取れない曖昧な形の月
まるで自分を見ているようだ
戦闘ではまだ役に立つほうだがそれでもムダ先には敵わない
チャラ先みたいに味方を自然と安心させるような雰囲気も持てていない
皇后崎みたいな機転が利く頭もない
真澄隊長みたいな冷静さもない
それに紫苑さんこの気持ちを伝えれない意気地なし
言おうとはしたことはある
だけど紫苑さんの隣にはいつもキレーな女の人が居た
その構図は俺ではつとまらないと実感して
だけどこの恋心を捨てれずぐたぐたと引きずっている
そんな曖昧で不格好なところが見ている月にどこか自分が重なった
月はあともう少し日が経てば半月になる
俺はもっと頑張れば半人前にはなれるかもしれない
月は更に日が経てば満月になる
俺はさらに、もっと頑張ればこれまで以上に役に立つかもしれない
もしそうなら死者や怪我人を救え
もしそうなれば迷惑をかけずに済む
たくさんのIfが頭のなかに浮かぶ
けどそれはタラレバを含む
考えるだけ仕方ないのかもしれない
「はぁ、…俺はもっと強くなってみんな救ってこれまで以上に平和にして誰かが涙を流す必要なんかない暮らしにして_」
理想が自分の中から出ていく
いつまでもこんなのだからだめなのかもしれない
「なんか疲れたな」
息を吐くように本音が漏れた
言っておいて自分で驚いた
こんな言葉正規隊員として所属してから言わなくなった
だってみんなのほうがもっと疲れている
鬼神の力を継いでる俺が、
みんなより恵まれた力を持っている俺が、
そんな弱音をこぼす訳にはいかないから自然と封印した言葉なのに
「だっせぇな俺」
自虐的に呟いた細い細い声は誰に聞かれることなく空気に溶け___
「なにしてんの」
なかった
一人だと思っていたのに自分と違う声が聞こえてきて急いでその声のしたほうを見ると、隣だった
いつからいたのだろう 気配には敏感になったと思ってたのに
「…紫苑さんこそ、なんでいんだよ」
「散歩」
「は?散歩?」
「何その反応」
「いや、紫苑さんが散歩するイメージ無かったから」
「お前は俺のことどんなイメージなわけ」
「彼女を次々に作っていったりお金を返さないクズ代表みたいな人」
「言い方ヒデェな」
「…事実だし」
「反応冷てーな 冷たい男はモテねぇーぞ」
「別にいいし」
「強がりかよ」
「強がってねぇ~し!」
「どうだかな」
そう言うと煽るように紫苑さんは笑った
その余裕そうなこっちを見下すような態度が嫌いで、たまらなく好きだった
月光で照らされる紫苑さんはいつも以上に魅力的に見えた
ずっと見ていたと思った
するとふとこっちを見た いきなりだったので目が合った
すると
「__月、綺麗だな」
「へ?月?あの形のどこがだよ」
何を言い出すかと思えばあのなんとも言えないあの形の月を綺麗だと言い出した
俺の言葉を聞いた紫苑さんは呆れたようにため息を吐いた
「はぁ、ガキには早かったか」
「はぁぁ!?ガキじゃねぇーし!」
「ガキはガキだ …けどここまでとは思わなかった」
またため息を吐いて片手で困ったように顔を押さえた ムカつく
「へーへー ガキで悪かったな」
「…お前マジで意味知らねぇのかよ」
「なんのだよ」
その返答に「マジかコイツ」みたいな表情を浮かべて四季を見た
「『月が綺麗ですね』って意味調べろ」
「なんでだよ」
その答えをなんてことないように
「俺がお前にどう思ってるかわかるから」
とんでもないことを言ってきた
「はっ、、?」
「じゃあな 明日でも返事聞かせろよ まぁわかってるけど」
そう言うとふらりと何処かへ行った
俺は動くことができなかった
事の処理に脳が動いていない
それでもスマホを取り出しさっきの言葉を調べて、画面に表示された検索結果に体温がどんどん上昇していくのが自分でわかった
「くっそ…ずりぃ」
ずるずるとその場にへたれ込んだ
月光に照らされるその顔は赤く火照っていた
その頃__
暗闇の道に溶け込むように気配を消しながら歩く
けど天は逃す気がないようで月光が差し込んでくる
その男の楽しそうな笑みを照らし出した
「月はどんな姿でも綺麗で好きに決まってるだろ」
その言葉は誰に聞かれることなく空気の中に溶けていった
コメント
1件
**はる。だわ!** 第1話からもう刺さりまくったんだけど!「月が綺麗ですね」の意味を知らない四季くんと、それを知ってて敢えて使う紫苑さんの温度差がエモすぎる。屋上で一人で弱音吐いてる四季くんに「なにしてんの」って現れる紫苑さん、ずるすぎるだろ…!最後の「月はどんな姿でも綺麗で好き」ってセリフでやられた。これは続きが気になりすぎる🔥
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辛い壁 〝からいかべ〟
753
るの@キモオタ㌠
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