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ネコばなーな🐾
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だいなそー
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なななす(テスト期間中)
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ぶっとびな祭 🍆
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止まった針の裏側、賑やかな喧騒が遠くの方で微かに響いている。
ここは、私立ドズル学園。
今日も熱狂が溢れ、誰かが笑い、生徒たちが奔走している。
そんな活気あふれる学園の中心から外れた場所に、その時計塔はあった。
学園の隅に佇む旧校舎のさらに上。とっくの昔に壊れて止まってしまった大時計。その裏側に、閉鎖された広場があった。
歩くたび、ギィ、と古びた床が鳴る。
俺は埃の舞う薄暗い空間の中で、誰も使わなくなった演劇部の衣装をそっと広げた。
手にしたのは、フリルが幾重にも重なった可憐なドレス。忘れられた衣装道具の中の一つ。
「……可愛いなぁ」
ぽつりと溢れた呟きは、誰の耳に届くことなく消えていく。指先がフリルに触れ、柔らかい質感が伝わる。
演劇部に入ったのは、芝居が好きだから。
それが半分。
「ここなら、違う誰かになれるかもしれない」
そんな淡い期待があった。
本当は、可愛いものが大好きだった。
本当は、きらきらしたドレスを着て、軽やかに笑う女の子になりたかった。
でも、自分の体は男として育っていく。
がっしりとしていく体つき、ごつごつとした手のひらに、低くなっていく声。
理想の自分から、一つ、また一つと引き剥がされていく恐怖に追われる。
幼い頃は可愛いものが好きだと言っても、女の子の服を着てはしゃいでも
「可愛いね」
そう言ってもらえた。男も女も関係なく、自分のままでいられた。
いつからだろう。周りの目が変わったのは。自分の身体という檻に閉じ込められ、息苦しさを感じ始めたのは。
「もし、女の子に生まれてたら……」
たらればの言葉が、苦く口の中に広がる。
もし、このドレスを着て舞台の真ん中を歩けたのなら。身体に合わせることすらできないドレスを、せめて羽織るようにして肩に掛けた。
壊れて止まった大時計の文字盤の裏側に向き合う。大きな動かない歯車。外の世界では仲間たちが、目まぐるしく進む時間の中で、に向かって進んでいる。
でも、この場所は違う。
止まったこの大時計だけが、俺を小さい頃のまま繋ぎ止めてくれる唯一なんだ。
「……ご覧なさい、今日の私は世界で一番素敵なの」
背筋を伸ばし、声をワントーン上げて演技をする。演劇部で培った技術のすべてを注ぎ込む。今この瞬間だけは、ドレスが似合う可憐な少女になりきってみせようじゃないか。
埃が光の粒のように舞い、壊れた歯車が舞台装置のように俺を囲い込む。
自分の少し骨張った指先も、高い身長も、この止まった時間の中なら、全部お芝居の中であればいい。
「私は、ここにいるわ」
誰もいない空間に向けて笑う。心が悲鳴を上げながら笑っていた。
止まった時計の裏側で、心だけはあの日のまま。
可愛いものを好きだと言って笑えた、幼い自分を忘れぬよう。
ずっと。
ずっと――。
学園の騒がしさ。
動きを止め、ドレスをきゅっと握りしめた。いつか、この芝居もできなくなったそのときは一体どこに行けばいいのだろう。
俺は静かに目を閉じ、叶わぬ夢を演じ続けた。
止まった時計の影に身を隠して。
コメント
1件
うわあ……すごく美しくて、同時に胸が締め付けられる話だった。止まった大時計の裏側っていう閉鎖空間を、自分を隠す場所として描くのが本当に巧い。「もし女の子に生まれてたら」の叶わない願いと、せめて演じることでしか理想の自分になれない切なさが、短い文章なのにびしばし伝わってきた。ドレスを“羽織るように”肩に掛ける動作の不器用さと、それでも“私はここにいる”と宣言するところの強さが印象的。この先、どうなるんだろう……続きが気になる。