ー暗い、洞窟のような空間。
ぽつりと残される。
先程までのきみの温もりは
驚く程に、冷えてゆく。
ー
「…」
暗い。
くらい
くらい…
ひとり
独り 。
「とおくに行きたかったんでしょ?」
「ならいいじゃない」
ーもうひとりのわたしが笑う。
ー
もういっそ
このまま
消えてしまったとしても 。
ただきみに
1度だけ
“好き”を伝えたい
お人好しのあなたは
きっと、私じゃなくてもー…。
ーーー
暫く進むと
水が張っていて、怪異がたくさん居る場所へと来た。
黒い炭のようなものがボロボロと出ていて
下の空間には何も無い。
これが、死後の世界というものなのだろうか。
天国は、本当は無いのだろうか。
ーー…いや
親友と、親友の想い人を騙し、陥れた私何かが
天国になんて、行けないか……
。
7番様…寧々ちゃんの好きな人に出会った。
電車に乗らなければ、あの世に行かなければ
魂ごと消滅してしまうらしいから。
小さな、兎のような可愛い生き物を抱え、電車へ乗った。
彼岸。
あの世。
その言葉は、前々から”七不思議”の噂で耳にすることはあったものの、実際に存在するだなんてとてもじゃないけれど思えなくて
ー今、この瞬間が
夢なのではないかと
寧ろ、夢であって欲しいと深く願ってしまうほどに
現実的ではなかった。
ーー
どうだった?
今生は。
7番様から、そう聞かれた。
私の、今生は。
嘘にまみれた、暗くじめじめとした今生で。
、太陽の様な、茜くんや寧々ちゃんとは正反対で。
きっとこんなんだから、私は何十年後かのあの世でも
茜くんや寧々ちゃんとは、巡り会えることなんて無いんだろうな。
ぎゅ、と胸が締め付けられるけれど、これはきっと償いとして当たり前の事で。
ふと、数年前…中等部の頃に見た、記憶の欠片が再生される。
「葵!私、最近ナズナを育て始めたのよ!」
____春の桜と、いつもの通学路。
入学してすぐ……。
同じ部活に入って、それなりに仲は良かったけれど
まだ一度も一緒に下校したことは無かった
寧々ちゃんとの帰り道。
桜の花が、私と彼女の間を散りばめ
“その場所”が。いつもと同じ通学路が、目が眩むほどに輝いて見えたあの日。
もしも、戻れるなら。
あの頃に。
ーー自業自得、という言葉が
私には一番似合う気がした。
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