テラーノベル
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ソファからだらりと垂れた腕。触ると粘土のように痕がついた。
あぁ。珈琲の香りがするね。
遠くから男の声がした。
珈琲の香り?違う。
これは腐敗臭だ。
封鎖された部屋。
そこには鼻を突き、胃を押し上げるような匂いが
充満している。
ソファから垂れた腕は確か私よりも早くからここにいた女だった。
次は私?
お腹が空いた。前にご飯をもらったのは2日程前。
封鎖された扉の奥には何があるのだろうか。
珈琲の香りがすると呟いた男がきっといる。
あいつはどうしてこんなことを?
そんな問いかけも部屋の中で響くだけ。
ねぇ。お願いだからここから出して。
どんな悪魔の手だって取るから。
なんだってするから。
そんな私の訴えが扉の外に届いたのだろうか。
あの男の笑い声がした。
ようやく。堕ちた。ここまで堕ちた。
ねぇ、次はどんな子にしようか。
男はそう言って扉を開き私を部屋の外に押し出した。
そこにはたくさんの人間がいた。
でもどの人も目が虚ろで同じピアスをしている。
さぁ。君も仲間入りさ。
男が言う。
痛っ。そう思ったときには私の耳には針が貫通していた。
でも痛みはそこで途絶えた。
もう、なにも痛くなかった。
男の手はゆっくりと私の耳へと伸びていった。
パチッ。
私の耳にもピアスがついた。
おそらく虚ろな目をした人たちと同じもの。
あぁ。そっか。私が次を連れてこなきゃ。
珈琲の香りが鼻を埋め尽くした。
コメント
1件
めっちゃ引き込まれた…!!(>_<)💦 最初の「珈琲の香り」と「腐敗臭」の重なり、ゾッとしたよ…。 それでいて文体が淡々としてるから余計に怖さが際立つというか…。 あと最後の「私が次を連れてこなきゃ」で、もう連鎖の歯車になっちゃったんだなって思うと切なすぎる😭💔 続きがすごく気になる…!✨