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殺人症候群の俺、人類に出会った憤りを憤怒の力”アングリー・バトルキラー”に変貌させ人類を殲滅する
俺は人が嫌いだ。
何故なら人は、全人類例外なくバカだからである。
大人になってもうんこやちんこ、人に対する悪口を見て笑う。
これがどれだけ滑稽な事か分かるだろう。
理解していても、彼らは止められない。
かくして。そんな同族に憤りを感じた俺は、コイツらを殲滅すると決めたのである。
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「これが力か…」
俺はある日の休日、トイレでフッフッフと邪悪な笑みを浮かべていた。
君達はさぞ驚くことだろう。なんせ、
“俺は神に選ばれたのである。”
手を天井のライトにすかすと、そこにはなんか結構強そうな刻印が刻まれていた。
「これは…神から授かりし素晴らしいものだ!」
きっと神も、多忙のなか時間を見繕ってこの力を授けてくれたに違いない。
何が使えるかは知らないが、とりあえずこの力を試す為に俺は外に出ることにした。
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「あ、タケちゃんじゃん!今何してんの?」
1人目の人類だ。ヤツはマルタマゴ・ゴハンクイ。
コイツは以前、宿題を忘れた事がある。
そこまではいい。ここからが問題だ。
俺の宿題を盗み、名前欄を書きかえて提出した極悪人である。
濡れ衣で廊下を立たされた俺は、
血涙を流す思いで女子の痛烈な視線を浴びるはめになったのだ。
コイツは一番最初に殺すと決めていた。
「タケちゃーん、もしかしてまた宿題忘れてね?なんつって!」
見れば見るほどブサイクだ。コイツの為にもやっぱり殺してあげよう。
“シュウイイイイイィーン…!”
刻印が反応している。俺はその刻印のついた手をヤツにかざし、力を込める。
“ボカン!”
すると、凄まじい勢いでヤツが爆発する。
と、同時に俺も爆発する。
「うわああああああ痛い痛い!」
叫び声がこだまする。
その野太い声は間違いなく俺の声だった。
「あー痛い!!痛ッ…本当に痛い…辛い…」
あまりの痛みで涙が出てきた。
膝が主に集中的に爆発していちばん痛い。
その時俺は気付いた。
「そうか、この能力は”道連れ”なのか…!」
確かにヤツは死んだ。きっと誰かが悲しむ事だろう。
だが、俺の方がずっと痛い!!
コイツはふざけているのか?
俺の方が何倍も痛い思いをしていると言うのに、何の声もあげずに死んだのだ。
だが、これは本当に人を殺せるという事が分かったのだから十分だろう。
俺はイライラしながら漆黒の膝に絆創膏を貼り、学校へと向かった。
_____
この力で次に殺すのは、やはり…
「ちょっとタケルくん。怪我してるじゃないの!ほら、こっち来て」
トオイ・ノゾミという女だ。
コイツは俺をよく気遣って世話をしたがる。
なので殺す。
「顔色も悪いし、なんだか元気もないよ。毎日ちゃんとギョニソ食べてる?」
あと、俺はギョニソ嫌いなのに滅茶苦茶勧めてくる。
殺すには十分過ぎる理由だ。
俺はソイツの目の前に手をかざし_
“シュウイイイイイィン…!”
「なあに?その模様…えっ!?」
“ボカン!”
「うわああああああああ!!痛痛痛痛痛痛ッ!!!ひいいッ!ひっ!痛っ!助けて!助けてええええ!」
突然爆発した俺と彼女にザワつく周囲を無視して、俺は盛大に声を荒らげた。
教室中を転がり回る。
よじった身体は机に激突し、落ちてきたトモエの水筒に頭をぶたれる。
即座にその水筒の蓋を開けると、頭から滝のようにその中身を浴びた。
「味噌汁じゃねえか!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!染みるッ!刻印に染みて痛すぎる!!」
トモエの足元でのたうち回る俺。
「キャアアアアアアアアアアアア!」
絶叫するトモエ。
コイツはなんなんだ?痛がるのは俺の特権なのに、叫んで怯えている。
俺は今痛いんだよ!邪魔すんな。
トモエにうっかり手をかざした俺は、刻印の事をすっかり忘れていた。
“シュウイイイイイィン…!”
“ボカン!”
「うわああああああああ!やめろおお!ギイイイイグギュッ!ぐギュッ!ギュッ!」
瞬間、あまりの痛みに人語が話せなくなった俺はオットセイのようにばちんばちんと顔と足を地面に打ち付け悶えた。
教室で俺を見下ろすヤツらは見物人のような顔でいる。
お前達は知らないんだろうな、この痛みを!
流した自身の涙が床に落ちる。
俺はその水滴を舌で舐めた。
「ウエッ!ゲホゲホッ!ギュッ!」
これは人生経験の味だ。俺の失敗を体現したような。
その味を噛み締めて、俺は宣言する。
「ギョギョギョギュイイイイイ!!!!」
“おれは おまえたち ぜんいんを ころす”
すると俺の鋭い咆哮に怯えたのか、ヤツらは一定の距離をとり始めた。
「何あいつ…キモッ」
「え怖っ!何が起きてんの?!」
「トモエちゃん大丈夫?!」
叫ぶ民衆は実に滑稽だ。
身体をくねらせながら、俺はヤツらを心底見下した。
コイツらは上っ面だけだ。この世の心理に気付いているのは俺だけ。
そうフッフッフ…と笑い、俺は当初の目的を進めようと明晰頭脳を超超回転させる。
「ギュギュボ…ゴボゥボボ…ビジュッ」
“だが こいつらを このいっしゅんでころす ほうほうなど…”
…!そうか!
思い立って直ぐに行動するのがこの俺だ。
俺は自身の焼け散らかした手を思い切り殴る。
「ひえっ…あ、あいつ何やってるの…!?」
「お腹空いた〜」
殴る、殴る、殴る。
跡形もなくしてしまうつもりで殴り続け、ついに手を天にかざすと
真っ赤に腫れて顔より巨大なサイズになった手がそこにはあった。
サイズは拡張した。これで…
コイツら全員を、殺せるッッ!!!
“シュウイイイイイィン…!”
“ボカン!”
「グギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュギュ!!!!!!!!!!」
“痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!!”
教室にいる全員分の相打ち爆発が俺の身を襲い、俺は痛みという次元を超えた。
もはや神の境地にいるとまで錯覚する。
俺は全裸だった。
唇はシワシワで、顔もブラック・ジャックの右側の黒髪くらいには焦げて黒かった。
教室ももはやテロ直後のようだ。
「ハア…ハア…!」
まさかここまで復讐への道が遠いとは思わなかった。
ケツも痛いし、鼻に灰が入って滅茶苦茶むせるし辛い。
「ギュ……」
“だが おれはきめたんだ”
「ゴキュギュビビュビボ…」
“ぜんいん ころしてやると かみにちかった”
俺は立ち上がり、天を仰ぐ。
その手を握りしめて、拳を高くつきあげる。
「ギビビュビッ!」
“このばしょが おれのスタートラインだ”
そうして俺は、この場所に殲滅を誓った。
「ふーん、面白そうなヤツ。久々に楽しめそうだね」