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無事愛の母親に了承を得たということで
愛に水人機械之都(みずときかいのみやこ)を案内してもらうことにしたヲノとダイン。
そこら中を歩いているのは、ヲノとダインにとっては見慣れない種族だらけ。
まずはマキナという種族。全身が完全に機械で覆われているヒトから
体の一部だけが機械のヒトまで、まとめてマキナという種族と呼ぶ。
元々はここまで種族が分かれていなかった頃に
寂しさを埋めるために作ったロボットに話しかけているうちに、そのロボットに自我が芽生え
自分の友達やパートナーを作り始め、子供も作り、それが発展していったのがマキナという種族だという。
ちなみにマキナの子供というのは、愛し合ったパートナー同士の体を構成している
機械の一部を組み合わせて生み出したもののこと。精神が大人になるにつれ
両親が自分の体のパーツを出し合って子供の体を大きくしていくのだという。
純粋なマキナというのは全身が機械でできたヒトのことであるが
Alma Limpiador(アルマ リンピアドール)の仕事や鍛治や加工の作業の最中に腕や脚を失ったりした場合
基本的にはNeutral Keeplayの医療機関にて、時間をかけて再生するのだが
どうしてもすぐさま取り戻したい場合やマキナという種族になりたいという場合には
Neutral Keeperにその旨を伝えることで
マキナのNeutral Keeperにより、マキナの種族になることができる。
お次はヒト型のスライムやエラ部分に水の塊を纏わせているのが水民(みずたみ)と呼ばれる種族。
水民は基本的に水の中で生活をする種族で、水の中に家やお店を構えている。
しかし、ニッポンジンが作る食事を摂りたかったり
ニッポンジンやマキナのために商売をする目的で地上に上がることもしばしば。
ヒト型のスライムの場合は地上に上がるのにはなんの苦もないのだが
一見ベーサーと変わらない外見をしているが、エラで呼吸する水民の場合は
基本的に水中ではエラから水の中の酸素を取り込み呼吸するため
地上に上がる際には、エラ部分に水の塊を纏わせて、その水から酸素を取り込んでいる。
一見するとエラ部分にまとわりつく水の塊は重力から切り離されており
魔法のようにも思えるが、水民曰く、これは魔法ではないらしい。
水民は水の中で生活する種族なため、水は神様であり、家族であり、友なのだそう。
なので水民は生まれながらにして水を操る能力を兼ね備えている。
なのでエラ部分にまとわりつく水の塊は、あくまでも魔法ではなく
家族や友などと一緒にいるようなもの。なのだそう。
そしてニッポンジン。愛やNeutral Keeperの中芽(なかめ)律人(りつと)もそうだが
基本的には艶のある綺麗な黒髪と、暗い茶色、もしくは黒の瞳が特徴。
生まれつき手先が器用なヒトが多く、生まれつき読心術が使える。
その手先の器用さから、マキナの体を構成するパーツをマキナと一緒に作ったり
マナトリアから採取された肉やニッポンジンと水民が協力して栽培している野菜を使って
繊細で色鮮やか、健康的で時間をかけた、美味しい料理を作ったりしている。
ニッポンジンは真面目な性格のヒトが多く、生まれつき備わっている読心術もあって
ヒーラー(治癒係)になるヒトが多い。さらにムアニエル地帯、水人機械之都、パッハ・ニラ・ボースクエにて
Neutral Keeperをするのは必ずニッポンジンがいる。
原則的にNeutral Keeperは2人1組で動いていて、同じ種族が暮らすエリアには割り当てられない。
たとえばここ水人機械之都を例に挙げるとしたら
水人機械之都にはマキナ、水民、ニッポンジンが暮らしている。
もしマキナのヒトがNeutral Keeperを目指し、Neutral Keeperになれたとしたら
マキナの暮らしいる水人機械之都ではなく
ムアニエル地帯やパッハ・ニラ・ボースクエでNeutral Keeperとして働くことになる。
それはなぜか。同種族だと、罪を犯していたとしても
同じ種族の情で見逃してしまうことがある懸念があるためである。
そして2人1組のもう1人は原則的にニッポンジンと決まっている。
それはニッポンジンが読心術を使えるからである。
このようにニッポンジンは真面目で人の役に立つことを自らする親切な種族である。
街を行き交う種族こそ違えど、街並みはムアニエル地帯に少しだけ似ており
水人機械之都にもヲノの家のメモトゲ家のような大きな城が建っており
その周囲にはNeutral Keeperが働いているNeutral Keeplayがグルッっと城を囲むように建っていて
その周囲に城下町のように、武器防具屋、加工所、飲食店、素材屋などが並んでいた。
しかしムアニエル地帯と少し違ったのが
ムアニエル地帯は武器防具屋、加工所、飲食店、素材屋もどの職業はどの種族がやるとかは決まっておらず
ベーサーやエルフ、ムスコル、3種族がやりたい職をやっていたが
水人機械之都では、武器防具屋、加工所を担当しているのは主にマキナ
飲食業、特に食に関しては主にニッポンジン、そして飲料や液体関係に関しては主に水民が担当していた。
素材屋に関しては水系のマナトリアの場合は水民、肉屋として肉や部品を採る場合はマキナ
もっと繊細に、貴重な素材を採りたいときはニッポンジン、という感じだった。しかも地区も分かれていた。
ムアニエル地帯ではベーサー、エルフ、ムスコルが入り混じるように暮らしている。
なのでベーサーのお隣がムスコルだったり、ムスコルの隣がエルフだったりする。
さらに城下町もムスコルが経営する武器屋とエルフが経営する加工所が隣同士だったりする。
しかし水人機械之都ではマキナはマキナのエリア、水民は水民のエリア
ニッポンジンはニッポンジンのエリアと分かれていた。
しかし愛曰く、種族間で遺恨や隔たりはなく、仲は良いらしい。
ではなぜエリアが分かれているのか。それは景観や規模によるもの、健康的観点かららしい。
マキナが働いている武器、防具生産所、加工所などは機械で溢れている。
高い煙突からは、見るからに体に害のありそうな黒々しい煙が上がっている。
武器、防具生産所、加工所で働いているマキナは
元エルフや元ムスコルで、“肉”体というものが大部分をしめていても
体の一部の機械部分に体内に取り込まれた工業的毒素を排出する機能があるパーツをつけているため
体に害はない。しかしニッポンジンや水民にとってはその煙は危険だったりする。
特に水民は、純度の高い水で構成されているスライムや純度の高い水の中で暮らしている水民ばかりなので
多少の毒素が入り込んだだけでも体調が悪くなるらしい。
そのため、マキナの商売エリア、ニッポンジンの商売エリア
水民の商売エリアとしっかりと分かれており、住宅も商売エリアのように分かれている。
「私たちニッポンジンが商売をしているエリアは和街道(わかいどう)と呼ばれています」
と愛が和街道を案内してくれた。赤い提灯がぶら下がっており
背の低い建物が立ち並んでいた。高くても2階建。
出店のように食べ物を売っていたり、店に入って食べることもできるようになっていた。
「めっちゃいい匂い…」
先程愛の母の料理を食べたというのに
「ぐぅ〜…」
とお腹が鳴るダイン。
「な、なにか食べますか?」
という愛の提案でいろいろなものを食べ歩いた。たこ焼き、イカ焼き、団子などなど。
ベンチに座って一休みすることに。
「オレここに住むわ」
と言うダイン。
「無理だろ。てかよくそんな食べれるな」
「食べてこその」
と言った後、右腕を曲げて、力こぶを出し
「この体よ」
と言うダイン。
「意外と力こぶ出てないよな」
「ま、腕全体が太いからね。力こぶが目立たんのだよ」
「なるほどね」
「スゴいですよね。鍛えられてるんですか?」
「まー、そこまで鍛えてはないですね。リンピアドールの仕事でハンマー振ってたら自然に鍛えられるんで」
「なるほど」
「あと、自分たちムスコルは筋肉がつきやすい体質なので、歩いてるだけでも筋肉増えますから」
「羨ましいです」
羨ましい?これが?柊さんが?
と思うヲノ。
「そうだ。柊さん」
ダインが改めて聞く。
「はい」
「その、妹さんを助けるためのー」
「絵本に出てきた葉ですね?」
「それです。それは水人機械之都にはなかったんですよね?」
「はい。そのはずです。絵本の絵が正しければ
そもそもその葉がある景色はここ(水人機械之都)にはないんです。
それでも“絵本”ですからね。もしかしたらと思って、ずっと、ついこの間まで
ここ(水人機械之都)を隅から隅まで探しました。でも、…ありませんでした。
なので、ムアニエル地帯に行ってみたらあんな事態に…」
「すみません」という感じでペコッっと頭を軽く下げる愛。
「じゃ…ここ(水人機械之都)は、早々に切り上げても、いい…ん、ですかね」
と言うヲノ。
「そうですね。早々に切り上g」
と言いかける愛に
「いや!相当長くいましょう!」
と被せて言うダイン。
「…。ダインは食べたいだけだろ」
「うん!」
「うん!じゃねぇーよ」
クスッっと笑う愛。
「ま、柊さんのためでもあるしなぁ〜。てか…なんてーの?」
と漠然としたことをヲノに聞くダイン。
「なにが」
「いや、おっちゃんから聞いたじゃん?世界層の話」
「あぁ」
「この上の世界?ま、ほんとにあんのかは知らんけど。もしあるとしたらさ、どうやったら行けんだろーな」
と言われて「そういえばたしかに」と空を見て考える愛とヲノ。
信じられないが、今、愛、ヲノ、ダインが見上げている
白い雲、そして鳥人が飛んでいる青い空は偽物の空だという。
愛、ヲノ、ダイン、この世界に住むものたちは本物の空を知らない。
なので今見上げている空が偽物だということはほとんどが知らないだろう。
本物だと信じている。というよりも偽物とさえ疑っていない。
「たしかに。オレも意気揚々と世界を上るって言ったけど、行き方がわかんなければ行き様もないよな」
「な」
「たしかにそうですね」
しばらく3人でベンチで空を見上げながら考えたが、結論は出るわけもなく
気がつけば偽物の空の偽物の太陽が沈みかけ、偽物の空がが赤らみ始めたので
愛の母に言われた食材を買って柊家へと帰った。
愛と愛の母が作った料理を美味しく食べ、愛にとある部屋に案内された。
1階の廊下を進んだ突き当たりの部屋。扉をギイィ〜っと開けると、窓際にベッドが置いてあり
窓から入ってきた微かな月明かりで照らされたベッドに、寝ている女の子が目に入った。
「灯ー。調子はどお?少しはいい?」
愛がベッドに寝ている灯と呼ばれる女の子に声をかける。しかし灯は反応しない。
「紹介しますね。私の妹の灯です」
愛が妹の灯を紹介した。
「あ、え…」
と動揺するダイン。もちろんヲノも動揺したが
「はじめまして。お邪魔させていただいております。
ヲノ・テキシ・メモトゲといいます。よろしくお願いします」
と眠ったままの灯に自己紹介をした。それを見たダインも
「あ、え、えぇ、オレはダイン・ボルニ・アマキク、です。よろしく、ね?」
と自己紹介をした。灯の腕からはチューブが伸びており、チューブの先には点滴が吊り下げられていた。
ヲノ、ダインの考えが読めた愛は
「夜ご飯なんです。口からは食べられないので」
と説明した。
「あ、なるほど」
愛は灯の頭を優しく撫でて
「じゃ、お姉ちゃんもう寝るね?灯もご飯終わったら早く寝なね?おやすみ」
と言った。ヲノもダインも
「おやすみなさい」
「お、おやすみなさい」
と灯に挨拶してから愛に促されて部屋を出た。そしてヲノ、ダインが泊まる部屋に案内してくれた。
「一応2部屋あるんですけど」
と言う愛に
「あ、一緒で大丈夫っすよ!な!」
と言うダインに
「別でお願いします」
と言うヲノ。
「なんでだよ」
「ひさしぶりにゆっくり寝たいんだよ」
「いつもオレの部屋でゆっくり寝てんだろ」
「ダインのいびきのおかげで寝るまでにどれだけ時間かかることか」
「え、あ、そうなん?」
というわけでヲノとダインは別の部屋で寝ることになった。
「ちなみにダインさんの部屋は父が使っていた部屋で、ヲノさんの部屋は祖母が使っていた部屋です」
「ってことはあの絵本が?」
とダインがヲノが泊まる愛の祖母の部屋に入る。ヲノもダインに続いて入る。
「あ、いえ。絵本なら灯、妹の部屋にあります」
と言って愛がその絵本を持ってきてくれた。タイトルは「きみとまた」
内容としては男の子が原因不明に手が動かなくなってしまった女の子とまた手を繋ぎたい。
そのためにその不思議な葉っぱを手に入れてまた女の子と手を繋いで歩く。
女の子が原因不明で脚が動かなくなってしまった男の子にまたおんぶをしてもらいたい。
そのためにその不思議な葉っぱを手に入れてまた男の子におんぶをしてもらう。
男の子が原因不明で脚が動かなくなってしまった男の子とまたかけっこをしたい。
そのためにその不思議な葉っぱを手に入れてまた男の子とかけっこをする。
女の子が原因不明に手が動かなくなってしまった女の子とまた手を繋いで振って歩きたい。
そのためにその不思議な葉っぱを手に入れてまた女の子と手を繋いで振って歩く。など
他にもお父さんとかお母さん、おじいちゃんおばあちゃんなどのバージョンもある絵本だった。
その絵本の一番最初のページに、その不思議な葉っぱの在り方であろう場所が描(えが)かれていた。
薄い緑の幹に淡く黄色に光る葉をつけた木が1本だけ生えた丘。
木の周りには草は生えておらず、その代わり、淡く光る芽が出ていた。
「これです」
愛がその芽を指指した。
「あ、え、あ、こっちなんだ?」
ダインが驚く。ヲノも同じことを思っていた。
「はい。いろいろなヒトに聞いたり、本で調べたりしました。
もちろん場所についての記載はなかったし、場所を知っているヒトもいませんでした。
でも、どうやらこの大きな木が周りに生やす芽に不思議な力が宿るんだそうです。
その芽についた小さな葉を食べさせるんだそうです。
芽自体を抜き取るとそのヒト自身に災いが降りかかるんだそうです」
「はあぁ〜。なるほどな?」
「でもたしかに、一見するとここ(水人機械之都)にはなさそうですね」
「そうなんです」
水人機械之都にはムアニエル地帯と違ってマナトリアが生息するエリアが分かれている。
たとえば。水人機械之都に来るときに水のバリアのようなものが張られていた。
それは水の中に住むマナトリアを水人機械之都が管理できるエリア外に出さないようにするため。
ということで、まずは水の中にマナトリアがいる。もちろん水中だけでなく水辺にいるマナトリアもいるため
水、そして砂浜や水辺一帯といったほうがいいだろう。
そして、種族でいえばニッポンジンのようなマナトリアが生息するエリア。
それは竹林が生い茂るエリア。竹林が生い茂るエリアには廃れた神社があったり
お寺があったり、大きな杉の木が生えていたりする。
そこにある狛犬という犬の像の犬部分が無くなっていて、その狛犬のようなマナトリアがいたりする。
そしてその竹林の竹が枯れて、なにもない、まるで焼き払われたような荒野には
種族でいえばマキナのような、機械の混じったマナトリアが生息するエリアがある。
そう。水人機械之都には木が非常に少ないのである。生えていても杉の木。
絵本に描(えが)かれている木とは程遠い。
「それでも探したんですか」
ダインが聞く。
「はい。もしかしたら。ということもあるかもしれなかったので」
「そっかぁ〜…。じゃ、明日にでももう1つの大陸に行くしかないですね」
とダインが言う。
「ダインは行ったことあるのか?」
「んや?ない。オレも初めて行くところだ」
「そっか…」
と「どうしよう」と考えていたら
「そうだ」
思いついたことがあった。
「ダイン、NK(Neutral Keeperの略称)に顔見知りの人いるよな?あの今朝ここ(柊家)に来た」
「あぁ、ジョゼさんと中芽さんな?」
「あぁ。ジョゼ?さんは鳥人だよな?」
「あぁ」
ヲノの考えが、読心術を使わずにわかった愛。
「一旦聞いてみたほうがいいかもな。もう1つの大陸について」
「なるほどな!よし!もしかしたらまだここ(水人機械之都)にいるかもしれないからな!明日探してみよう!」
ということでその日は眠ることになった。
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