テラーノベル
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久しぶりに見たぷーのすけは、あの頃とは違って大人っぽくなっていた。
昔から顔が整っているとは思っていたが、流石にこれは整いすぎている。いったいどこの韓国アイドルだよ。
この調子じゃきっと大学でもモテてるんだろうなあ、なんて考えを抱きつつ、ぷーのすけを観察する。
カフェの前だし、誰かと待ち合わせ?相手は誰だろう。彼女さんかな。ぷーのすけイケメンだもんな。
「……あれ、」
そこに現れたのは、ギャルらしき可愛い女の子だった。
……ん?ギャル?
「がちごめ、お待たせ!待ったよね!?」
「めーーーーっちゃ待った。」
「……てへぺろ!」
「かわいこぶんな〜笑」
「……めっちゃギャルじゃん。」
ぷーのすけってギャル苦手だったよね?好みが変わったとか?
てか絶対あれ彼女だって。声かけようとしたけどやめとこ。
気まずくなってその場を立ち去った、否、立ち去りたかった。
「あれ、あっきぃ?」
「げっ……」
立ち去れなかった。
え、なんで話しかけてくんの??彼女にもっと気遣って?彼女が可哀想。
「おい。げってなんなん。」
「んー?ぷりっつくんのお友達ですか?」
「ああ、まあ……そうです、」
「うち、ゆうって言いまぁす、よろです」
ああ、ギャルはギャルでも優しいギャルだった。
安堵しつつ、自己紹介を済ませる。
「それじゃ、デート楽しんで!」
少しでも早くこの場を立ち去りたかったため、早口でまくし立ててはそう述べた。
だが、ぷーのすけと彼女は目を丸くして、その後数秒お互いを見つめ、吹き出した。
「あっきぃーー??笑笑」
「うちら付き合ってませんよ笑」
「へ?」
思わず間抜けな声を出してしまった。めっちゃ恥ずかしい。
「ぷりっつくんの恋愛相談に乗ってたんですよ笑」
「あーもう、それ言わんといて言うたのに!!?」
「あ、ごめーん笑」
何気なくギャルから発された、ぷーのすけに好きな人がいるという驚きを隠せずに暫く硬直してしまった。
まあそりゃあ、普通はいるんだよね、好きな人くらい。
「ねーこの際告っちゃえば?」
「アホか、振られるに決まっとるやん!!」
近くに好きな人でもいるのだろうか、ギャルが提案を持ちかけた。
まあぷーのすけはバッサリ断ったけど。
「ほら、行けるって!」
そう言ってギャルがぷーのすけを俺の目の前まで押し出す。
「ちょ、マジ無理!!!」
ぷーのすけが俺に背を向けてその場にかがみ込んだ。
もう俺にはなにが起きてるのかわからない。もはや混乱状態だよ。
そんなぷーのすけに追い討ちをかけるようにギャルが辛辣な言葉をかける。
「ガチでさ、そんなんでひよってたら一生付き合えないよ?」
「ゔっ……」
見事にダメージを受けたぷーのすけはどうにか胸を抑えて立ち上がり、俺に向き直る。
「あっきぃ」
「ん?なあに?」
ぷーのすけが至近距離まで近づくので、思わず頬が赤く染まる。
「え、な…に、?」
必死に言葉を振り絞り、じっと瞳を見つめる。
ぷーのすけも見つめ返してくるので緊張してしまう。
「好きだよ」
……ん?
こんなことを言うためだけに?
「えー俺もぷーのすけのこと大好きだよ!」
ぷーのすけとギャルががっくりと肩を落としたのが伝わった。
なんでだよ。何がそんなにショックなの。
「もーぷりっつくん、行動で示さなきゃ!!」
「いやいや、だって恥ずいやん!!」
ぷしゅー、と音が鳴りそうなほど顔を赤くしたぷーのすけがそう叫んだ。
「恥ずかしくてもやる!男でしょ!?」
「んーん、いーやーや!」
「こら!わがまま言わないの!」
「ママー!!」
まるで劇を見ているかのようで笑みがこぼれる。
「ほらぷりっつくん、頑張って!応援してるから。」
「……わかった、」
ぷーのすけが覚悟を決めたかのような表情で再度俺の方を向く。
「好き」
そう2文字発しては、俺の唇にぷーのすけ自身の唇を重ねる。
それは数秒だったが、俺には数分の出来事のように感じた。
「……こういう意味で。」
「ナイスファイぷりっつくん!!」
そんなギャルの言葉も聞こえないくらいに俺は呆然とする。
……ぷーのすけが、俺のことを、好き?
「スキ……?オレノコトスキ?キス?プーノスケガ?」
「あーおかしくなっちゃった!?ぷりっつくん治して!!?」
「ど、どうやって!?!?」
「叩けば治る!!」
「あっきぃは昭和のテレビちゃうから!!」
「……っあ、」
ようやく状況を理解し、顔が真っ赤になった。
その瞬間、心臓がバクバクしだす。
この感覚、これは恋の感覚。
俺にはもう無くなっていたはずの、恋の感覚。
そうして俺は、またぷーのすけに恋をした。
コメント
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ギャル?ちゃん!ナイスすぎ〜!✨