「ただいま…」
バイト帰りのシンが帰宅すると、家の灯りはついているのだが、いつもなら返ってくるはずの返事がない。
「ん?」
ふと、足元を見ると湊のではない靴が玄関にあった。
(来客か…?)
耳をすますと奥から話し声が聞こえる。
「湊…さん…?」
言いながらシンが靴を脱いで上がろうとすると、
「おっ!シン。おっかえり〜!」
暖簾を潜って明日香が顔を出す。
「英。お前、人ん家で何してんだよ」
怪訝そうにシンは明日香に問う。
「丁度良かった!シ〜ンちゃん」
何やら企んでいる顔をして明日香はシンに向かってニッコリと笑う。
「気持ち悪い呼び方やめろ」
明日香にシンは冷たい視線を向けて応える。
「アキラさ〜ん。シンちゃん帰ってきたよ~」
脱衣所に向かって話しかける。
「シンちゃんって呼ぶなって!って……えっ?湊さん脱衣所にいるのか?」
シンは明日香に近づく。
「おい!明日香、俺の着替えよこせっ!!」
脱衣所から湊の声が聞こえる。
「おいっ!英お前っ!脱衣所で湊さんに何してたんだよ!」
胸ぐらを掴むんで明日香を睨む。
「まーまーまー」
そう言ってシンをなだめながら、持っていた物を渡す。
「はい。これパス」
「はっ?何これ……えっ…湊さんの服!?」
驚きながら明日香に詰め寄る。
「アキラさーん。着替えね〜シンが持ってるから渡してもらってね〜」
湊が居る方へ向かって言った。
「英!!お前、湊さんに何した!」
シンが明日香に殴りかかろうとした時、
「明日香!いい加減に…ひっ…シン!」
脱衣所から湊が出てきが、シンを見るなり引き返してしまった。
「えっ?………」
シンは一瞬見えた湊の姿に驚いて、持っていた服を落としかけた。
「み…み…み…」
言葉が出てこない。
「あっ、電話だ」
唐突に明日香が言う。
「あっ、もしもし〜」
「おいっこら!明日香!電話なんか鳴ってね〜だろっ!」
湊は隠れたまま明日香に突っ込むが
「柊く〜ん。わかった〜すぐ行くね〜。」
そう言ってシンに、じゃあね♪と、手を振り、鳴っていない携帯を耳にあてながら明日香は出て行ってしまった。
「おいっ!明日香!無視すんなっ!かえんなぁ〜!」
そう言って湊が脱衣所から出てきた。
「………!!」
さらに驚いて声の出ないシンに向かって
「シン。服よこせ…」
冷静に言った。
「湊さん…」
シンは湊を上からゆっくり下まで見る。
目の前に立っている湊は、化粧をして胸下までの長さのある茶色のウィッグをつけ、膝丈までのピンクのワンピースを着ていた。
「何も言うな…!」
「あの……………」
「………シン……黙って俺の服よこせっ!」
シンの持っている服を奪おうと手を伸ばす。
「湊さん……かっ…」
「だァァァ!それ以上は言うなっ!」
静止しようとするが
「かわいい❤」
遅かった…。
シンの目は湊に釘付けだった。
「はぁぁぁ………」
湊は深いため息をつきながら
「明日香に騙されたんだよ…学園祭で女装するから実験台になってくれって無理やり…」
そう説明する。
シンは湊をうっとりと見つめたままだ。
「シ〜ン。聞いてる?湊さん騙されて無理やり女装させられたから、明日香くん帰ったしお着替えしたいんですけど?」
「………」
「おいっ!いい加減服よこせっ!」
「イヤです!」
湊の服を食卓に置く。
「はぁ?こんな足もとスースーする服さっさと脱ぎたいんですけどっ!」
「…………」
シンは湊と明日香の成り行きを想像した後
「……ムカつく……」
そう言って湊に近づきながら
「英に着替えさせられたの?」
目の前で止まる。
「……着てみせてって言うから脱衣場で自分で着替えたんだよ…」
「じゃ、湊さんの裸、英に見せてない?」
「……見せてない」
安堵の顔をすると
「良かった…でも……」
湊の頬に手をあてる。
「このグロス…あいつが塗ったの…?」
そう言って親指で唇をなぞる。
「……つけてみて…って」
「ここ…触られたの……?」
言いながらピンクのグロスを拭う。
「触られてねーって…」
近づいてくるシンの顔に照れながら湊は答える。
「ウソ…だ」
「んっ………!」
いきなりのシンの口づけに驚く。
「やめろってっ……」
シンを突き放すと赤くなりながら横を向く。
シンの唇に湊のつけていたグロスがつく。
「シン!さっさと着替えるから服よこせっ!」
横を向いたまま手を出す。
「湊さん…」
湊の顔を自分の方に無理やり向かせると
「そんなに脱ぎたいなら…俺が脱がせてあげましょうか……?」
そう言ってもう一度、今度は深く口づける。
「んんんっ……はぁ…」
シンの唇が離れると
「いい加減にしねーと、湊さん本気で怒るぞ」
上目遣いでシンを睨む。
「そんな可愛い格好しながら睨んでも説得力ないですよ。むしろ誘ってるとしか思えない……」
そう言って、湊の腰に手をかけ引き寄せる。
「おいっ……」
シンは黙って反対の手でスカートの裾から出ている湊の太腿を触る。
「やめろって…」
「………」
シンの手がスカートの裾をたくし上げ内腿を擦る。
「んっ…っ」
「下着は男物なんですね…」
「あ…たり前だろっ…ってかもう、離せ……」
「イヤです…」
シンの手が擦るように太腿を嬲る。
「んんっ…んっ…」
シンの手の動きがいやらしく太腿を這う度、湊は自分の感情を我慢できなくなっていった。
「湊さん…感じてます……?」
着慣れないスカートの無防備な感覚が湊の感情を鈍らせる。
「シン……///」
ねだる瞳でシンを見る。
湊の要求に応えるようにシンは湊の唇に口づけをした後、耳朶、首筋へとキスをする。
「俺の部屋の方が近いから…」
そう言って湊の右手を掴み手首に唇を這わせ、そのまま掴むと部屋へと連れて行く。
湊をベッドに押し倒すと、その上にまたがって
「コスプレプレイですね…」
そう言いながら湊のつけているウィッグを撫でる。
「これも似合ってます……」
茶色の軽くウェーブのかかったロングのウィッグは湊の地毛の色と良く似ている。
「…かわいい」
そう言って、湊に口づける。
舌と舌を絡め舌に吸い付く。
「ん…はぁ…」
シンが離れると
「お前が…脱がすんじゃねーのかよ……」
強がってみるが、言葉とは裏腹にもっと触れて欲しいと言う感情が湧き上がってきていた。
「脱がしますよ…でも…もう少しこの姿…見ていたい………」
そう言って再び湊の太腿を弄る。
「はぁ…んっ……」
いつもと違う。着慣れないスカートのせいか湊の身体は敏感に反応する。
その様子を見ていたシンは湊の下着を脱がせる。
「ぃや……だ…っっ…」
湊は恥ずかしそうに顔を隠す。
スカートの裾から湊自身が露わになった。
「いつもより感じてる……」
そう言って、湊自身を手で触る。
「シン…布に擦れてなんか…へん……」
湊の亀頭がスカートの布に擦れて一層感じやすくなる。
シンも自分の服を脱ぎ、シン自身を湊自身に当てがう。
互いのモノが擦れて2人の呼吸が荒くなっていく。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
「なんか…へんな感じですね…湊さん女性の格好…なのに…」
「女装させられただけだ…身体は男のままだろっ……」
「そうなんですけど…うっ…はぁ…はぁ……犯してるみたいで…はぁ…はぁ…なんか興奮する…はぁ…はぁ…」
「だめっ…シン…出るっ……」
「俺もっ……はぁぁぁっ…っ」
互いに迸ったモノが湊のワンピースにかかってしまった。
「やばっ……」
服に付いた精液を急いでティッシュで拭き取るが落ちない…
「明日香に怒られる……」
うなだれる湊に
「どうせ落ちないなら、このまま続けて良いですか………?」
「えっ…まだヤるのか……」
「ここ…早く欲しいって言ってますよ……」
そう言いながら湊の蕾を指で確認すると湊の両足を広げて下腹部に顔を埋める。
足を押さえ込み、スカートの裾から顔を入れ舌先で湊の蕾をほぐす。
「あ…ん……っ」
舌に唾液湿らせ舌先を抜き差しする。程よくほぐれた所で両手の人差し指も加えさらに広げながらほぐしていく。
「やっ………シ…ン…」
湊は身体を捻って抵抗する。
が、抑え込まれた体制では大した抵抗はできなかった。
シンの舌先の動きと増えていく指の数に湊の中心が疼いてくる。
「あっ…んっん……」
自然と腰を浮かし始める。
「もう、我慢できない?」
いじわるにシンが聞く。
焦らすように服の上から胸の突起を弄られ、湊はシンの腰を引き寄せると
「わかってんだろ……ば…か……」
いつもに増してかわいい表情で言う湊に
「我慢できないのは…俺のほうです……」
そう言って、湊の首筋を舐める。
「はぁぁぁっ……っ」
感じている湊の身体を確認したところで、さっきほぐした蕾に自身を挿入した。
「ああああっ…!は…んっ……ああぁぁっ!」
一気に奥まで差し込まれ、湊は声を荒げる。
シンの動きにスカートが揺れる。
「あっ…あっ………あっ…んっあっ……」
着衣のままなのがいつもより興奮を高めている。
「湊さん…かわいすぎ…」
シンの動きが早くなる。
「やっ…んっ……ぁんっ…や…やだっ………」
シンのが湊の感じる部分に当たると
「あっ…ん…あああぁぁっ…!
はぁっん…!」
一層声を高める。
シンの足に自分の足を絡める。
もう、どうしようもなくなった自分の身体を慰めて欲しかった。
(シン……の…匂いがする…)
いつもと違い、シンのベッドでの行為も湊の気持ちを高ぶらせていた。
「んんんっ……はぁん…っ……」
もっと欲しいと、湊はシンに絡めた足を擦りはじめる。
突然シンは、するっと湊から自身を抜いた。
「えっ……?」
驚いた湊に
「湊さんうつ伏せになってください…」
そう言って、身体を半回転させた。
「腰、高く上げて…」
言われた通り湊は、うつ伏せになり腰を高くあげた。
湊の腰を片手で押え、スカートを腰まで捲り上げるとシンは一気に挿入してきた。
「あああぁぁぁぁっ…!!」
一番奥までシンのソレが届くと、湊は声の大きさを制御できなかった。
「あんっ………あんっ…あんっ……」
シンの腰の動きに合わせて声が出る。
あまりの気持ち良さに膝が崩れ落ちそうになる。
「シン…っん……はぁん…はぁん」
時々身体が痙攣してビクっビクっと動く。
「湊さん…もう…限界……?」
湊の着ているワンピースの背中のチャックを下ろしながらシンが尋ねる。
チャックを下まで下げたワンピースは殆どその役目をはたしていない。
「ぅ…はぁっ…ぅん……出そう……」
露わになった背中に唇を這わせる。
舌先で、つぅーと背中を舐めあげる
「はぁぁぁっ…んっ…」
湊の身体が反り返る。
シンは腰の動きを早めながら、更に奥へ奥へと進めていく。
「あっんっ…ああぁ……んっ…んっ…あんっ」
「湊さん…中に…出していい……?」
シンの枕を必死で掴んで堪えていた湊は
「いっ…いい……っ…んんっ………出して…」
哀願するように、シンのモノを求めた。
シンが一気に奥まで突き上げると
「あああぁっん…あっ…んっ…あんっ…んっ…ああああぁぁ…っ…」
湊は腰をシンに強く当て、さらに奥を求めた。
「あああっん!やぁ…っ…はぁっんっ…」
「湊さん…エロ過ぎ…」
シンも腰をもっと深く進める。
「あんっ…あっん……んっんっ…やああぁぁああっ…!!」
湊が果てたあと、シンも湊の中で果てた…
「ヤバい…絶対明日香に怒られる……」
シワシワになったワンピースを広げて湊が落ち込んでいると。
LINEの着信音がする。
「英からです」
シンがスマホに手を伸ばしLINEを読む。
「明日香…なんだって……?」
うなだれたまま湊が尋ねる。
「湊さん。服は返さなくて良いそうです」
「………えっ?」
「学園祭は先週終わったらしいです」
「………はぁっ?‼」
ワンピースを持つ湊の手が震える。
「……シン」
「はいっ」
「ちょっと、今から明日香しばきに行ってくらぁ〜!」
「えっ!」
「明日香のヤロー……」
「ちょっ…湊さん…?」
慌てて後を追うようにシンも湊に着いて行った。
そんな事を知らない明日香は鼻歌を歌いながら上機嫌だった。
「アキラさんて、本当騙されやすいよな〜♪」
【あとがき】
最近はSteal a Kissを鬼リピして聴いている作者です 笑
この作品はSteal a Kissの歌詞と少しだけリンクさせて頂いています。何処かわかるかな……
内容には今回も触れません 笑
最後までお読みいただきありがとうございました♪
次回作でまたお会いできますように…
月乃水萌
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