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「お、傑!此処にいたのか!」
「何してんだよ。もう寝る時間だぞ?」
(傑)「…悟。」
此方を振り向いた傑の顔は、目の下には黒く、濃いクマが出来ていて、光の無い、虚ろな目をしていた。以前よりも痩せて、細くなっているのが、目に見えて分かる。
「こんな所で一人で何してんの?」
(傑)「特には何もしてないよ。…ただ、何となく座ってただけで。」
「そっか。」
(傑)「うん。」
「あのさ、傑。」
「やっぱ、なんかあったんじゃ————。」
五条が傑に問い掛けようとすると、傑は、其れを断ち切る様に立ち上がり、口を開いた。
(傑)「すまない。悟。」
「私はそろそろ、自分の部屋に戻って休むよ。」
「最近、任務続きだったんだ。」
「あ……そっか、ごめんな。」
「疲れてるよな。」
傑は、五条に背を向けて自室へと帰って行く。
「………ッ。」
「傑!!」
傑が、五条の声で振り返った。
(傑)「…悟……?」
五条は、傑の背中へ両腕を回した。驚いた様な声色で、傑は、五条の名前を呼んだ。
「傑。」
「あのさ。」
「僕……傑と出会えて良かったよ。」
「傑と…親友になれて良かった。」
「傑は、僕に沢山の事を教えてくれた。」
「寒い時は、二人でくっついたら温かくなる事。」
「高い食べ物より、一緒に食べるご飯の方が、何倍も美味しい事。」
「上げ出したらキリが無い程、沢山の事を、傑は僕に教えてくれた。」
「沢山のものを、僕にくれた。」
「お前は真面目で、責任感強くて、優しいからさ。」
「どれだけ辛い事があっても、全部、自分一人で抱え込もうとする。」
「きっと、悩みは聞いてくれても、話さないんだろ。」
「……僕は、傑の支えになれないけど。」
「だけど。」
「其れでも。」
「これからもずっと、傑が笑っていてくれる事を願ってる。」
(傑)「悟…?」
「急に、如何したん————。」
「傑。」
「今迄、本当にありがとう。」
傑の背中に触れている五条の手の平には、印が刻まれていた。五条は、其の印に、自分の呪力を流し込んだ。
「大好きだ。」
「傑。」
「さよなら。」
「傑。」