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偶然と必然

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偶然と必然

1 - 偶然と必然

♥

526

2025年03月31日

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⚠️attention⚠️


BL表現あり

nmmn注意

ご本人様には一切関係ありません



紫桃


R18


オメガバース(初めてなので、少し設定がおかしい所があるかもしれません)


モブと恋愛関係の描写あり






俺は意を決して、大きく息を吸い、真剣にパソコンとにらめっこをしているその背中に、言葉をかけた。


🌸「ねぇ、いるま…」


緊張のせいで、吸った息の多さの割に声が小さい。


📢「ん…?」


俺の恋人は、俺が名前を呼ぶと、いつも通りの優しい声で返事をする。


🌸「俺たちさ…もう、終わりにしよ…」


ゆるゆるとこちらを向いたいるまは、驚きもせず、少しだけ悲しそうな顔をして、


📢「…そう、だな…」


とだけ呟いて、俺の提案を受け入れた。






俺たちは数日前に浮気をした。

俺は取引先の人と。

いるまは新しいスタッフと。

俺は先方と会った瞬間、“運命のつがい”だと確信して、身体が勝手に発情した。

イケナイコトだと分かっていても、本能には、

“運命”には、逆らえなかった。

それは、いるまも同じだったようで、本能に抗えず、体を重ねてしまったことを、俺に報告してきた。

もちろん、このまま俺たちが恋人で居続ける、という選択肢も無かった訳では無い。

しかし、またいつ、こうなることか分からない状況だと、お互い不安定になってしまうから。

もう、他人と行為をしてしまったから。

どちらも、幸せには、なれないから。

きっと、別れて、忘れるのが、一番良いのだと、ケジメをつけるべきだと、俺たちは自分自身に言い聞かせた。

全ては、俺たちが…“運命”ではなかったから。






📢「らん…いいか?」

🌸「…うん、いるま…」


いるまの端正な顔が迫って来て、俺をソファに押し倒す。

押し倒されながら見た、机の上に置いてあった、いるまのパソコンの画面には、

「運命の番 変更方法」などと言った、馬鹿らしい文字列が検索欄に映し出されていた。






🌸「ぅ゙ッ、あッ…//♡」

📢「んッ…はッ、♡」


部屋には、らんの喘ぎ声と俺の吐息、肉と肉がぶつかる鈍い音で満たされていた。


🌸「ぃるま゙ッ…//」


俺の体の下に居るらんが、今にも泣きそうな声で名前を呼ぶから、

いつもは「カワイイ」とか、「キモチイ」としか思わないのに、どうしても悲しさが横入りしてくる。

これで最後なのにな、

そう考えながら、俺はらんの腰を持って、力いっぱい打ち付ける。


🌸「ん゙ッ、やぁ゙ッ…//♡」

📢「らんッ…♡」

🌸「ッいるまぁ…んッ//」


名前を呼ぶ度に、名前を呼ばれる度に、鼻の奥がツンとする。

行為に集中したいのに、

これで体を重ねるのは最後、だとか、

こうやって、らんの名前を呼べるのは、あと何回なんだろうか、とか。

余計なことばっか心に浮かんで、脳を支配する。


📢「ごめんなッ…」


罪悪感から、自然と謝罪の言葉を紡ぐ。


🌸「ん゙、あッ〜〜//♡」


らんを上擦った声で鳴かせて、俺の脳内を満たしたい。


🌸「いるまッ♡もっとッ…//♡」


とろけた顔でこちらを見つめ、俺を求めるその瞳は、今までで一番愛おしい。


📢「らんッ、くたばんなよッ…♡」

🌸「ぁ゙ッ〜〜♡」


何度、うなじを噛もうと思ったか。

何度、ナカに出してしまおうと思ったか。

どちらも叶わぬまま、この関係を終えることになる。

俺たちは番にはならなかった。

それぞれの活動・生活を大事にして、とのことであったから。

それでも、恋人ではあったし、らんがヒートの時には、俺が相手だった。


🌸「ぁッ…//ぃるまッ、いきそッ…///♡」

📢「んッ♡、いいよ//」

🌸「いっしょにッ、♡」


ギュッ、とらんが俺の手を握ってくる。

それに応えるように、俺も強く握り返し、ピストンを速くする。

俺より大きくて、案外男らしくゴツゴツしたこの手が大好きだった。

うなじは噛めないから、代わりに首元を舐める。


🌸「んッ…ぁ゙〜〜ッッッ///♡」

📢「ん゙ッ〜〜ッッ//♡」


らんの白濁液が俺の顔にかかり、それを見たらんが満足そうにして、頬にキスを落とす。

そして、いつものように、愛おしそうに目を細めて、名前を呼んでくれる。


🌸「いるま…//♡」


この表情も、仕草も、もう、俺だけのものでは、無くなってしまうのだろうか。





📢「荷物、ダンボールに入れ忘れないか?」

🌸「うん、大丈夫だと思う」


今日で俺たちの愛の巣は売り払うことになっている。

既に、部屋は空っぽで、あとは俺たちが出て行くだけ。

別々の場所で暮らすのだ。

これから、「ただいま」を言っても、いるまの返事は帰ってこないし、

たまに作ってくれる、あまり上手とは言い難いけど、愛情深くて、世界一美味しい晩御飯が並んでることもない。

寝る前にベッドで一緒にドラマを観ることもないし、

結局いるまが先に寝て、俺が布団を掛けてやることもない。

朝起きた時、俺の腰にいるまが抱き着いていることだって、もう二度とない。


📢「これから、らんの居ない家に帰んのか…」


きっと、似たようなことを考えている。

涙が零れてしまうから、今のはいるまの独り言ということにして、返事はしなかった。


📢「らん、」


前を向くと、目の縁いっぱいに涙を溜めた、いるまが居た。


📢「愛してるっ…」


耐えきれなくなったのか、ポロポロと涙を溢れさせて俺を抱きしめながら愛の言葉を吐く。


📢「愛してるからっ…!」


そう言って、また、力を強くして抱きしめる。


🌸「っ俺もッ…愛してる、!」


気付いたら、俺の頬にも涙が伝っていた。


🌸「ぅあ゙ッ…ぃるまぁ゙ッ…」


“運命”とは何だろうか。

きっと、最初から神様が決めてたことで、言わば“必然”。

では、俺たちの出会いは?

きっと、奇跡的に出会い、恋をし、愛し合った、人生のイレギュラーである“偶然”だろう。

そうでなければ、“運命の番”がいるまではないことに、説明がつかない。

おかしいだろ。

こんなに愛し合ってるのに。

こんなにも、一緒に居たいと心から思ってるのに。

俺たちだって、出来るなら、運命に抗いたかった。

でも、俺たちはお互いその提案は出来なかった。

“運命”と言うものが、どれ程強力かが分かったからだ。

俺たちの愛では、“運命”は動かせなかった。


📢「“運命”って、残酷だな…ッ」


本当に、その通りだと思う。


📢「らん、」

🌸「いるま…」


その言葉を合図に、口付けをする。


君と、最後の___




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コメント

4

ユーザー

泣きます〜(T ^ T)これで、泣かない人居ません〜😭

ユーザー
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