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*クリスが可哀想
*登場人物はほぼほぼクリスとスージィのみ
街に暗い静寂が際立つ中、1つの家がハイテンションな音楽を奏でながらドタドタとリズミカルな振動音が聞こえる。
「*アッハハ!こんな楽しい夜はないわ!」
愉快な音楽が流れながら白い動物の見た目をしている彼女の頬は恍惚しているかのように火照っている彼女がそう呟く。
その隣でダンスをしている全身が骨でパーカーを着ている男がつまらないギャグを言いながら共に楽しんでいる様だ。
…その上の一室では、1人の青年が苦しんでいた。
「*…”。」
声は出さないものの、耳栓が欲しいのか枕を耳栓代わりにしている様で、耳を押さえつけ左右に頻度よくごろ、と揺れており苦しんでいる様子が伺える。
青年が足を向けている方に赤い煌めきを放つ今の青年に必須な タマシイ と呼ばれている物が
鳥籠の中に囚われている。
正確にいえば、青年が自ら閉じ込めたのだが。
ドンッ と枕を壁に叩きつけたかと思うと、ベットからゆらりと立ち上がり、部屋の中間にある窓に近寄る。
窓に手をつき、外を見やるとスージィの後ろ姿が少しずつ遠ざかっているのが見える。
「* … 。」
その後ろ姿を見ていると、余計に逃げ出したくなった。
不安に揺らぎながらも希望を捨てない人物
そんなスージィとバカな事をやっている時が1番自分の存在意味があると思えた
だからこそ… 逃げ出したくなった。
自分の意思だけで好きな事をしたいが為に
1人でもなんでも出来るんだという自己暗示の為に
からり、と小さく音を立てながら窓を開ける
出ちゃいけないのは分かっている、だけれど
足は既に乗り出して、飛び降りた。
「*…っ、」
闇の世界で高い所から何回も飛び降りている為、少し慣れつつもやはり足の負担は来るようで、少しの間だけしゃがみこんだ。
「*…あ…?」
静寂な夜に響く落下の衝撃音は小さくても響くのか、その音に気付いたスージィが此方の方に振りかえろうとしている。
相手がスージィであろうと、今は逃げ出したい。
その心だけで直ぐ様立ち上がり、じんわりと出てくる冷や汗を気にも止めないまま、思い切り走る。
「*…クリ…」
「*??????」
「*……ってオイ!どこいくんだよ!」
青年の名前を呼びかけようとしたバッドガールの横を思い切り走って通り過ぎていく。それにびっくりした様な顔を見せて少しの間硬直するも、すぐに大声で青年の方にそう呼び掛ける。
「*…は ぁっ … 、」
“何処かに逃げたい。
闇の世界に逃げたい。”自分だけ”でも、自分だけでも”入れるはず”なんだ。そんな心境で一心不乱に学校の方へ走ってゆく。
後ろから追いかけてくる足音と、青年の名前を呼ぶ声が聞こえる。
「*…、!……っ、」
そんな声を無視しながら学校の玄関前まで着いた。
…が、施錠されており、入る事が出来ない。
どんっ と玄関の扉を叩いて、膝から崩れ落ちた。
そもそもその話、中に入れなかった。
そんな事がわからなかった自分が憎くて、座り込んだまま下を俯いた。
少しすると、息を切らしながら此方に走ってきたスージィの声と足音がする。
足音が段々と静かになるのが分かる。ついに追い付かれてしまったのか、足音はピタリと止む。
「*… っ は ぁ …、おい、クリ…」
「*…、。」
学校の玄関前の方に顔を俯かせ、崩れ落ちている無言の青年の姿を見て、困った様な顔をスージィは浮かび上がらせる。
「*…あー、なんだ……その…」
「*…、池の方で 話そうぜ。」
スージィなりの優しさなのか、考え抜いたあとにそう青年に伝える。後ろ髪で顔が見えないが、青年はコクリと少し上下に頭を動かす。
「*…ほら、立てよ。」
少し無理矢理ではあるが、片腕をグイッと引っ張られ、少し転びそうになりながらも立ち、スージィが先頭を切ってくれるらしく、顔は見られないまま着いていく。
…
池に着き、池を見ながらお互い座り込む。
暫くの沈黙の後、沈黙を破ったのはスージィだった。
「*…どうしたんだよ、お前。」
「*…あー、いや…聞くのは良くないか。流石のオレでもわかるしな…」
その会話に、只々返事をせず、池を見つめ続ける。
それに少々彼女は困惑しながらも、話を続けてくれた。
「*…ほら、明日は祭りだしよ。」
「*…あー、本当はラルセイも来れたら良かったんだけどな。」
「*明日はオレたち…と、ノエルの3人で楽しもうぜ」
「*…。」
そう言ってくれたのにも関わらず、声が出ない。
それもそうだ、折角追いかけてくれたのに無視して、今更返事できる勇気がなかった。
「*なあ。」
「*いい加減返事したらどうなんだよ?」
「*…話さないってなら、勝手に喋らしてもらうけどよ。」
「*……」
それでもスージィは諦めずに言葉を続ける
少しだけ頷いているのが見えていたらしい。
「*…咆哮の騎士と戦ってわかったんだよ。」
「*やっぱりお前とラルセイが本当の 友達 なんだな って」
「*全員瀕死で、もうやられるかもしれないって時 すげぇ実感湧いたんだよ。」
「* … … 。 」
体が少し震える、スージィの言葉が心に響いて、温まっていく感覚がする。
「*まあ実際オレたちの勝ちだったけどな!」
ガハハ、と元気よく笑うスージィの声が隣から聞こえた。
その笑い声に此方も小さな笑い声がこぼれる。
その笑い声が聞こえたのか お という顔をして青年の方を見ている。
「*…んで、元気になったかよ?」
肩を掴んで来てはスージィの方に向かせられ、バシバシと肩を叩いて来る、正直まあまあ痛いがその痛みを無視しつつ その質問にこくりと頷く。
「*そんなら、良かったけどよ。」
肩を叩いてくるのを辞め、はぁ と安堵の溜息がスージィの方から聞こえてくる。
スージィに感謝を伝えないと ありがとうって伝えるべきだ。そう思った。 まだ震える口で彼女の名前を呼ぶ
「*…スー…ジィ。」
「*…あ?なんだよ」
ん?と言いたげな少し困った様な顔をしながら此方を見てくる。ちゃんと伝えないといけない。ふー、と深呼吸をし
口を開く。
「*…あり」
ドンッ
言っている途中に背後から衝撃を感じ、とても苦しくなった。衝撃でスージィの方へと少し倒れてしまう が間一髪支えてくれ、共倒れする事なくぽすんと座り込む。
「*…うおっ!? おい、大丈夫かよ」
心配声を出しながら此方を見てくる。
さっきまで空っぽだった所が 埋まって 苦しくて、痛い。
はくはくと呼吸をしようとする、が体が反して動き始める
「*…クリス?」
クリス と名前を呼びかけるスージィ
それに返事を返す
「 ありがとう スージィ。 」
本来の声ではない 何か越しからそう感謝の言葉を クリス は述べた。