人が来て朝を教えてくれる
体を起こし目を開く
が、いつもどおりの真暗で何も見えない景色
私には目が見えない、視覚がない
後天性で7才までは見えていた
でも段々と視覚が悪くなっていった
はじめは気にしてなかったが気にし始めるようになり病院にも行った
けど原因は分からなくてついに片目が見えなくなった、そしてすぐにもう片方も見えなくなった
最初は何も見えないのが怖くて怖くて誰かの声を聞いていないと気が狂いそうだった
今じゃもう慣れてしまって大丈夫なのだけど……
私は原因を調べるため病院に入院する
病院は大体の時間が一人だから嫌だけどもしかしたら目が治るかもしれないと夢を見て入院している
治れば外に出て色んなものを見て遊べる!
だから早く治って…
「お〜い、遊びに来たぞ〜」
「あっ、いらっしゃい!!」
忙しくてたまに、本当にたまにになるけど友達が遊びに来てくれる
目が見えないから音には敏感になったから声で誰か分かるようになった
友達は来るたびにお土産とお話をしてくれる
とても心地良い声で聞いているだけで満足出来る
話を聞いていると今日は空がとても晴れていて雲ひとつない快晴らしい
空自体がうろ覚えであまりにどんなのか想像出来ないけど友達が気持ちが上がると言っているし元気のでる景色なのだろう
いつか見てみたいな
もちろん友達と一緒に!!
他には学校が大変で行きたくないとか、外で思いっきり遊びたいとか言っていた
今は外で思いっきり遊べないのかって聞いたら学校が忙しいんだって言ってた
学校……小学1年生になってからすくだったから私は学校に行きたいけど友達は違うみたい
学校に行きたいといったら危険だ駄目だと言われた
目が見えないと大変なことが多いからだろうけど、そこまで言うことなのかな?
それから数ヶ月がたったある日
友達が「ごめん、ここには来れなくなるかもしれない」それだけいって来なくなった
最初は冗談だと思っていた、そう思いたかったけど何ヶ月まっても本当に来なかった一ヶ月に一回は絶対に来てくれていたのに
友達が来なくなってからは月の楽しみが無くなって目を治すための治療、実験の繰り返しでとてもつまらなく時間がゆっくりに感じた
時間分からないんだけど
きっと学校の方が忙しくなったのか
学校での友達の方が良くなったか
月に一回は今まで絶対に時間を作っていたけどそれすらめんどくさくなったのだろうか…
何ヶ月たっても何年待っても来なかった
段々友達と話した思い出が薄れていって、もともと顔は思い出せなくなっていたけど面影すら分からなくなっていった
もう、ほとんど覚えてないけど忘れていっていることがとても辛かった
ある日の昼、部屋の扉が開く音が聞こえる
昼ご飯の時間かな、それとも点滴を交換する時間になったのかな
おかしい……
看護師さんだったら話しかけてくる
足音は聞こえないから動いてないのだろうけど、いったい誰?
「誰なの、私目が見えないの」
勇気を出して聞いてみる
「……知ってるよ、急に来なくなってごめん」
私に会いに来るのは看護師さんとお医者さんと友達だけだった
前に来てくれてるのも、言ってることも友達だ
だけど、誰?
声が違う
話した内容も面影も忘れてしまったけど声だけは忘れることはなかった
目が見えないかわりに耳だけは良くなったから、あの声は絶対に忘れることは無い
こんな低い声じゃなかった、もっと高い声だった
透き通るような男の子だとは思えないほど綺麗な声だもの
「違うよ、友達はそんなに声が低くないもの。もうここに来ないで」
「……ッ、君が望むならもう来ないよ、ごめんね」
そう言うと、その人は扉から出ていった音が聞こえた
なぜか、あの人の声は泣きそうな声だった気がした
でも、私の友達になりすますなんてなんでそんな意味の無いことしたんだろう
そんな少し疑問に思ったことも数日したら頭からなくなっていた
それからまた退屈でつまらない。一人で寂しい日が続いた
あの日来たあの人はあれから来ることはなかった
それから私は、私のせいで来ることのなくなった友達を目の見えない世界で待ち続けた
何年も何十年もずっとずっと……
私がやらかした取り返しのつかない言葉に気づくことすらないまま
コメント
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今回の話もとても深くていつの間にか読み終えてしまいました!ここまで熱中できる話を書ける作者さんはすごいです!目の見えない少女はいつか自分のやってしまったことに気づくといいですね。次も楽しみにしています。