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kn「」
hb『 』
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雲雀sid
今日はハロウィン⋯!絶対 奏斗に悪戯してやる⋯!
10月31日
街は朝から晩までどこもかしこもハロウィン色で染まっている。コスプレをしている人など沢山いて、とても眩しかった。
俺はコスプレをする気なんて微塵も無いが、ハロウィンの日にのみ通用する“お菓子くれなきゃ悪戯しちゃうぞ”なんて文言を使って、奏斗に恥ずかしいコスプレをさせてやろうと思ったのだ。
⋯にしても我ながら天才だなぁ。
この作戦を実行する今日と言う日をどれだけ待ち望んでいた事か⋯!
俺は今日ずっと、作戦が成功して奏斗が恥ずかしがる姿を想像し、期待をどんどん膨らませていっていたのだ。
「⋯ばり〜⋯雲雀!」
『わ!!ごめん!ぼーっとしてた、』
「大丈夫?体調悪い?今日ずっと上の空だけど⋯」
『いやなんでもない、 大丈夫!』
びっくりしたぁ⋯あんま気持ちが浮き過ぎても駄目だな。気を付けないと⋯
奏斗sid
やっぱりおかしいよなぁ⋯?
いつもの雲雀なら僕が名前を呼ぶと1発で気づくし、嬉しそうにこっちへ向かってくるんだけど⋯
しかも今日ずっとにまにましてるし⋯何か良い事でもあったっけ?何かあったとしても普通すぐ報告してくれる のに⋯
僕の頭の中は“?”でいっぱいだった。雲雀の様子が明らかにいつもと違うのだ。
暫く考えていたが、全く心当たりがない。まぁいいや、と諦めかけていた時ふとカレンダーが僕の視界に入った。
なるほどねぇ⋯笑
ごめんひば。そう簡単には引っかからないわ。
雲雀sid
そろそろか⋯?
夜ご飯も食べ終わって奏斗が寛いでいるのを見てタイミングを見計らう。
よし、今だ!
『トリックオアトリート!!お菓子くれなきゃ悪戯しちゃうぞー!』
後ろから奏斗に思い切り抱きついて大きな声で言った。奏斗がどんな反応をするのか期待が高まる。
しかし、俺の予想と実際は違っていた。奏斗は一瞬びっくりした後すぐににやっとし、丁寧に包まれた箱を渡してきたのだ。
奏斗sid
『へ、?』
「雲雀〜僕がハロウィンの日にお菓子を持っていないとでも思ったの〜?」
まぁカレンダーのお陰なんだけど。
『え、だってなんも言ってこなかったじゃん!』
「だって雲雀がど〜しても言いたそうだったから」
『そんなことないだろ!』
「ほらひば、トリックオアトリート!お菓子どうせ用意してないんでしょ?」
「でも罰ゲーム?悪戯?は用意してるみたいだし」
僕は雲雀が隠し持っているコスプレ衣装を指差す。
『いやこれは奏斗用のやつだから!』
「そんなに身長差ないし着れるでしょ」
『いやいや無理無理無理!!』
全力で拒否する雲雀が可愛らしく、僕は少し意地悪な事をしてみようと思った。
「あ〜あ、ひばのコスプレすっごく楽しみにしてたのに〜お菓子もコスプレも無いんだったらもう構ってやんない!」
『べ、別にいいもんね〜』
「あそう、じゃあセラおとアキラでゲームしてこよーっと」
僕がそう言って自室に行こうとすると
『分かったよ!!着る⋯』
「そう来なくちゃね〜」
雲雀sid
なんでこうなったんだ⋯ 俺が立てた作戦だろぉー!?
なんで返り討ちにされてんだよ⋯
俺は自分の部屋でしゃがみこんだ。どうしようもないのにどうしよう、と頭の中で何度も繰り返す。
奏斗用に買った服で、やっぱり少しサイズが小さい。自分が着ることになるなんて思ってもいなかったのだから。
恥ずかしすぎて全身が熱くなっているのを感じる。
やっぱむりかも⋯
でも、着ることの恥ずかしさよりも奏斗が俺のいない所で2人と遊んでいる方がよっぽど嫌なのだ。
着替えるか⋯
俺は不満に思いつつも、少しずつ着替え始める。
何も考えずただひたすらに着替えていたら、いつの間にか着替え終わっていた。やっぱりきつい。というか露出度が高くて寒い。
さっさと見せて終わろ、
そう思った瞬間、ノック音がする。丁度奏斗が来たのだ。
「ひばー?遅くない?着替え終わった?」
『うん⋯着替えたけど⋯』
「ほんと!?」
『ほんとだよ!お前が言ったんだろー!』
「ごめんて笑」
「開けるよ?」
奏斗が扉を開ける。
黒猫のコスプレをした俺を驚いた顔でまじまじと見る。
そういえば奏斗は何のコスプレか知らないんだったな、
髪が乱れている上に衣装はパツっとしている為、あまりじっくり見られたくなかった。
『あんま見らんで⋯てかなんか言えよ』
「あ、ごめん」
「めちゃくちゃ可愛い⋯!!から写真撮ってもいい?」
『無理』
「お願い!1枚だけ⋯!」
『いや!!』
「えぇ〜⋯」
奏斗がしょげる。 ににこにこして頼み込んできたのに急に悲しむから、少し可哀想に感じた。
『⋯1枚だけな!』
「いいの?!」
暗くなった顔が一気に笑顔になる。
その顔が可愛いから毎回お願いを受け入れちゃうんだよなぁ、
自分の悪い所だとは分かっていてもなかなか直せない。実際直さなくてもいいと思っている節もあるけれど。
『その代わりツーショ!』
「分かった!」
奏斗は俺とのツーショを撮って満足げな表情を浮かべる。
「ありがとひば!」
奏斗が俺を強く抱きしめる。冷えきった身体が一気に温まった気がした。