テラーノベル
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みんながそれぞれ椅子に座る。時刻はちょうど10時ごろだった。まだ2日目だが、未だ誰かが怪しいような動きは見えなかった。
2時間前、あの不愉快な声が言っていた。またまた今日も話をすると。……でも、もう話す内容なんてものはない。
そんなことはみんな思っているだろう、約束の10時になっても皆口を開くことはしなかった。
【もう話す内容はないだろう。だから、私の方から写真を送った。これを元に話をしてくれ】
そうして簡潔に言ったあとすぐにその声を切ってしまった。
「……What?写真?」
すぐに音声を切ってたところに不信感を抱くが、それよりも写真というところに気になる。すると、どこからか写真が出てきた。
「……いや、今どこから出てきたの?」
「なんも見えなかったな。」
各々がいろんな感情を持っていると、イヴァンがその写真へと手を伸ばすのが見えた。そんな光景を横目に見ながら自分も写真へと目線を向ける。
すると、写真へと手を伸ばしていたイヴァンが口を開く。
「これ、南下政策の時だ」
「……Wow、見てよ兄弟。これ、戦時中の時の写真だ」
マシューの言葉に彼の手にある写真へと目線を向けた。そこには嘘ではなく、本当に戦時中の写真があった。
しかも、新しく撮られた訳でもなく、ちゃんと当時の写真だった。……なんだか、少し気味が悪い。
「つまりこの写真は、俺達18世紀から20世紀にかけての写真ってことか?」
「そういうことになるあるな……というか、ここまで写真が残ってる、って言うのも少し変に感じるある」
ぽつりと王がそう言葉をこぼす。それは、さっきまでの自分が考えていたことに全く一緒だった。
俺達は写真をあまり撮らない。今は皆各々楽しそうに撮っているが。
が、昔はそうはいかなかった。その写真のせいでどこから情報が漏れるかわからない。というか、そもそもカメラというもの自体を知らなかった可能性もある。
……どこの誰が一体。
そこで一つ、咳払いが響く。その音の方へと目線を向けると、ルートヴィッヒがまとめようと口を開こうとしていた。
「とりあえず、その写真から見てわかるように、1人一枚は必ずあるだろう。また順番に話していくぞ」
その言葉に声には出さないが皆が賛成し、沈黙が流れると同時に話を振る。
「そうだな……今度も兄貴からでいいだろうか?」
「わかったぜ!」
そうして、またまた話し合いが続いていった。
あのアヘン野郎の話はなんかもう聞くだけでイライラするある〜!!
小さく息をつき、次の番の菊の話へと耳を傾ける。当の本人は写真片手に俯いたままだが。
菊は、どんな話をするのだろうか。そんなことを思いながら菊の言葉を待った。
そうして、何十秒ほど経った頃だろうか。菊が口を開いた。
「そう、ですね。」
俯いたままの状態な彼がどんな顔をしているかなんて、予想はつかないが少し経った後に発せられた声からはなぜか感情という感情が伝わらなかった。
おかしい。
なにかが、ちがう。
「……みなさんは、もちろん覚えていらっしゃいますよね?あの、戦争も終わりの頃の、出来事を」
思わず目をぱちくりとする。ちがうって、なにが違うのだろう?彼は、いや菊は我の大事な弟だ。
それに話し始めた内容も身に覚えしかない。ふう、とまた一つ小さく息をついた後話へと意識を向けた。
「……流石に、忘れているとか言わないよね」
「忘れては、いませんけど……」
その、と言い淀む。やはり、話していいのかと不安になっているのだろうか。
別に急かす気もないため、そのまま話に耳を傾けた。それは皆も同じなようで、話の続きをまった。
「………あのことを、思い出すたびに”痛み”が私の身体中を巡るのです。ぐるぐる、ぐるぐると」
そしてぽつりと話始める。その話はわからなくもない。
我達国は普通の人間とは違い死ぬことはない。だからといって怪我をしないわけでもない。
痛みは、いつでも自分の気持ちを引きずっていく。
「そのせい、で……」
「何もかもが、痛みに洗脳されて……」
ちがう。
ぴくりと体を揺らす。隣の話を聞いていたフランシスがちらりとこちらを見た気がするが、今はそんなことは気にしない。
「ごめんなさい……謝るべきではない、ですよね」
ちがう。
「──私には、彼らに謝る資格などないというのに」
「ちがう!!!」
どんっと机が音を立てる。驚いた顔のみんなの目線がこちらを貫いているのがわかるが、今はそんなのを気にしている場合じゃない。
「ちょ、ちょっと王?何が違うのよ?菊ちゃんが今話してる内容はみんなわかってることで…」
「ちがうある。……いや、合ってはいるか。でも、お前がそんなことを言うはずなんてないある」
下を向きながらそんなことを吐き出すように言った後、菊の方へと目線を向けた。
意外にも、菊の表情からは悲しいという感情は読み取れず、真顔でこちらを見つめているだけだった。
そんな不気味なほどに濁りのない黒曜石は、彼が菊という人間……いや、”日本”という国ではないことを示していた。
「ちがう、とは……はて?なんのことやら」
「しらばっくれるんじゃないある。お前は日本に似た何か。……お前は、誰あるか」
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