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32
ゆ。
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#⛄️
kaede🍁
12,998
高桂!!
やっとこの𝖼𝗉を書けることへのよろこびが半端ない。
ちなみに高杉も同じ部屋で潜伏してるっていうね、笑
捏造しまくりの、 ちょいえろ高桂です。
※口調迷子
※捏造
夜と朝の境目は、いつも儚く、いつも酷く不透明だ。
江戸の空が濃紺から薄紫へと移り変わる刻限。
大川の川面からは湿った霧が立ち込め、潜伏先である古びた宿の障子の小さな隙間から、冷ややかな薄光が流れ込んできた。
俺は畳の上に座したまま微動だにしなかった。
膝の上に置いた両手は固く握り締められ、指先は血の気が引いて白くなっている。
行灯の日は疾くに消えており、部屋の中には冷えきった空気だけが滞留していた。
「 ……遅い 」
ぽつり、と漏れ出た声は自分でも驚くほど低く、掠れていた。
高杉がこの部屋を出て行ったのは、昨夜の亥の刻だ。
「ちょっと風に当たってくる」とだけ言い残し、黒色の羽織りを引っかけて出ていったきり、一度も戻ってきてはいない。
最初の一時間や二時間は、いつものことだと自分に言い聞かせていた。
あいつは野良猫のような男だ。
あてもなく街を彷徨い、屋根の上で煙草をふかして帰ってくることなど珍しくもないのだ。
だが、出ていってから三時間が過ぎ、四時間が過ぎた。
さすがに遅すぎる。
東の空が白み始めた頃には、俺の中で芽生えたのは侍としての警戒心だけではなかった。
ドロリとした、黒く濁った醜い感情。
───あいつは、誰と会っている?
───鬼兵隊の残党か?
───それとも……俺以外の「誰か」なのか?
頭の中で邪推が渦を巻く感覚がよく分かった。
高杉という男の妖しげなあの色香は、人を狂わせる。
天人であろうと、女であろうと、あるいは男であろうと。
あの男が向けた冷たい眼差し一つで、容易に毒に侵される。
( まさか……俺以外の奴に、あの熱を……? )
想像するだけで、胸の奥が焼き切れるような、締め付けられるような痛みに襲われた。
息が上手く吸えなくなり、段々と呼吸すら浅くなる。
手足の先端が痺れて、視界がぼやける。
───苦しい。
尊厳?矜恃?攘夷志士の指導者としての誇り?
どれも違う。
そんなものは、この狂おしい疑惑の前に何の意味となさなかった。
私はただ、一人の男の帰りを待つ、哀れな狂人に過ぎなかった。
「 っ……俺は、もう手遅れなのか、…? 」
すると、ギシ……と、階段を上がってくる足音が聞こえた。
不規則で、どこか滑らかな、聞き覚えのある足音。
障子がゆっくりと開いた。
そこに立っていたのは、朝霧の光を背に浴びた高杉晋助だった。
「 ……あ?なんだ、ヅラ。まだ起きてやがったのか 」
高杉は煙管を袂に放り込み、面倒臭そうに室内へと足を踏み入れた。
その足取りはどこか覚束なく、高杉からは酒の匂いを微かに纏っている。
羽織りは脱いでいたのか、紫色の着物だけ乱れており、胸元が大きくはだけていた。
俺は、立ち上がらなかった。
畳に座ったまま、温度のない視線で高杉を見上げた。
「 ……どこへ行っていた 」
「 あ? 」
高杉は眉をひそめて、部屋の隅にどかりと腰を下ろした。
「 どこへ行こうと俺の勝手だろ。お前に報告する筋合いはねぇ 」
「 っ、……答えろ、高杉! 」
思わず声を張り上げていた。
驚いた。
自分でも制しきれない激情が、声となって溢れ出る。
高杉は驚いた様子もなく目を細め、それから可笑しそうに口元を歪めた。
「 はっ……なんだその面は。取り調べのつもりか? 」
「 取り調べなどではない!俺は……お前が心配で……! 」
「 嘘をつけ 」
高杉は着物の襟を寛げながら、吐き捨てるように言った。
「 お前のその目は、心配してる奴の目じゃねぇよ 」
容赦ない指摘だった。
「 俺を疑ってんのか 」
高杉は立ち上がり、こちらに近づいてきた。
酒と、煙草と──そして、朝の冷気とは違う、甘ったるい 匂いが奴の身体から漂ってきた。
白檀の香水と、安っぽい油の匂い。
俺のものではない。
ましてやこの部屋のものでもなかった。
どこかの花街の、どこかの女の肌に染み付いているような
ら生臭く、酷く鼻につく甘い匂い。
頭の中で、何かがぶちりと弾けたような気がした。
「 ……高杉、お前、誰といた? 」
俺の声は、震えていて、小さく、されどはっきりとしていた。
「 っ……誰と会っていたんだ、高杉!その匂いは何だ!お前は……昨夜、俺をその手で抱いておきながら、外の女と戯れていたのか!? 」
「 ……ヅラ 」
「 ヅラじゃない、桂だ!!」
俺は思わず立ち上がり、高杉の着物の胸ぐらを掴みあげた。
高杉は少しも抵抗しなかった。
冷ややかな笑みを浮かべたまま、俺の取り乱した顔を見つめているだけ。
「 ……なんだ、その目は。何なんだその笑いは!俺を嘲笑っているのか?お前にとって、昨夜のあの熱は…… 」
目頭が熱くなっていた。
息苦しく、まるで水の中にいるようだった。
「 俺と交わしたあの約束は、その程度の軽さだったというのか……っ、? 」
嫉妬だ。
紛れもない、醜く凄惨な嫉妬だった。
「桂小太郎」という存在の全てが、この男の一挙一動で振り回され、何もかもを破壊されていく。
国を憂う志士としての尊厳すら、どこにも残っていなかった。
目の前の男を自分だけのものにしたい、ただそれだけが身勝手な欲望だけが己が身を焦がしていた。
「 ……頼む、答えてくれ、高杉…っ。俺以外の、他の誰かにその肌を触らせたのか……?! 」
既に目元に溜まっていた涙が、悔しさと情けなさで溢れそうになった。
胸ぐらを掴んだ手に力を込め、高杉を押し倒すように畳の上へ組み敷いた。
「 答えろ……っ。答えろ高杉、!! 」
高杉は、俺の乱れた姿を黙って見つめていたが、やがて次第に低い笑い声を漏らした。
「 ……くっくっ……はははっ! 」
「 何が可笑しい、! 」
「 っはは……可笑しいさ。あの『狂乱の貴公子』様が、目も血走らせて、女みてぇに泣きそうな面して俺に縋りついてやがる。可笑しいことこの上ないね 」
高杉の手が伸びてきて、俺の頬を強く掴んだ。
「 ……ぐっ、! 」
そして腕力だけで押され、気づいた時には視界が反転し、逆に組み敷かれる形になった。
奴の指先が皮膚に食い込み、痛みが走り、表情が歪む。
だが、その痛みすらも今の俺には心地よかった。
「 お前、本気で俺がその “ 他の誰か ” と寝てきたと思ってんのか? 」
「 ならばなぜ、匂いが……!お前から、見知らぬ奴の匂いがするんだ! 」
「 ……花街の客引きを数人叩きのめして、ついでにその酒場をぶち壊してきただけだ 」
そう言って、冷たく吐き捨てた。
「 あの生ぬるい街の空気が、服についてきただけだろうよ。俺が抱くのは……世界でお前一人だと言ったら、信じるか?ヅラ 」
「 ……ッ! 」
言葉を見失った。
高杉の右目が、妖しく、そして深く俺を射抜いていた。
その瞳の奥にあるのは嘘偽りない、破壊衝動と裏表の凄絶な執着だった。
「 俺ァ、お前以外の奴に触れられるくらいなら、己の肉を削ぎ落としでもした方がマシだ。……お前もそうだろ? 」
頬を掴んでいた高杉の手が首筋へと回り、強く締め上げられた。
「 ……ぁ、ぐ、 」
首が詰まる。息ができず、視界がちかちかと白く、黒く、弾けた。
逃げられない。
だがその圧迫感こそが、今の高杉が俺を所有しているという何よりの証拠だった。
「 他の奴の影に怯えてそんなにみっともなく乱れるってんなら……俺の手で、お前を壊してやるよ 」
「 ……ぁ”……っ、高、杉……ッ 」
俺の手が何かを掴もうと必死に足掻いたが、それは無慈悲に苦しさが上回ったのか、空を切った。
落ちた手は、畳を引っ掻く。
「 お前の尊厳も、綺麗な理想も、全部俺が壊してやる。二度と俺以外の奴を考えられねぇようにしやる……! 」
高杉の唇が、俺のそれに激しく重ねられた。
「 ん……っ、ふ、ッ……! 」
昨夜以上の、強引で容赦ない口付けだった。
見知らぬ匂いは、もはや高杉の吐き出す激しい熱と煙と酒の苦い味が口腔内に広がる。
舌が絡み合い、互いの唾液と酒の味が混ざり会う。
「 ……はっ、ぁ……、っ”……♡ 」
息をしたいのに、息ができほどの圧迫感が全身を支配する。
首は締められ、まだ続く激しい口付けは、鼻で呼吸をすることを強制的に忘れさせてくる。
( ……高杉、っ )
高杉の胸を強く押したが、奴はびくともせず、むしろ体重をかけてきた。
息苦しさと、迫る快感におそわれ、俺は高杉の肩に爪を立てて、自らその熱の中へ沈んでいく。
闇よりも深く黒く、希望よりももっと眩しい世界。
嫉妬に狂い、プライドすらも投げ捨て、ただただ高杉の毒に侵されていく自分を、どこか歓喜をもって受け入れている俺がいた。
ようやくして、高杉は唇を離した。
「 っ、はぁ……はっ…… 」
酸素を求め、大きく口を開いた。胸が大きく上下する。
窒息寸前で、頭に血がのぼらなかったせいか、ぼーっとする。頬も紅潮し、着物も汗ばんでいる。
しかし首にかかる圧迫感は未だ緩められていなかった。
高杉は俺の首筋に顔をうずめ、ちろりと舌を這わせた。
「 っ、…ぅ 」
そしてその合間に、引き裂けるのではと思うほど、強引に無理やり着物を解いた。
奴は俺の肩口に容赦なく歯を立て、噛み付いた。
「 ぐ、…ッ! 」
血が滲み、ぽたりと一滴二滴と畳に染みをつけた。
痛みで口元が一文字に結ばれ、歪む。
「 ッ……俺を壊してみろ、高杉。やれるものならな 」
「 はっ、言われなくとも、逃がしゃしねぇさ。ヅラぁ 」
両者ともに不敵な笑みを浮かべた。
「 ……あの、そろそろ苦しいから手を離してくれまいか 」
「 あ?……あぁ、無意識だった。気にすんな 」
「 いや、締まって息苦しい、 」
「 気にすんなって言ってんだろ。俺ァ、ここからテメェを見下ろすこの眺め、結構気に入ってんだ 」
「 いや、死ぬって!だから離せ高杉! 」
「 ほぅ……ンな軽口叩けるたァ、随分と元気じゃねぇか。まだ楽しませてくれよ 」
「 ……え?ま、待て高杉。昨夜もヤっただろう?だから、その、腰が痛くてだな?あっ、ちょ、脱がすなぁ! 」
高杉は指で、顎をくいっと持ち上げられた。
「 俺ァ “ 約束 ” は守る質だぜ、ヅラ 」
「 っ、!// 」
つい、顔を背けてしまった。
胸が躍動している、というか、心臓が尋常じゃない速度で脈を打っていた。
そんな俺をニヤニヤしたまま黙っていた高杉は、俺のはだけた着物を更にぐっと下げた。
「 ……なっ、おい!聞かぬか! 」
「 何を聞けって? 」
奴の指先が、俺の胸を這った。
そしてそのまま小さく張り詰めたその突起をくりっと弄った。
「 っ、ん、……ふ…… 」
びくっと、身体が震える。
「 なんだ、感度いいじゃねぇか。感じてんのか? 」
ニヤリと笑って。
「 無理やり犯されて 」
「 っ、!!/////
なっ、ば、馬鹿か貴様は!そんなわけ……! 」
「 可愛いもんじゃねぇか。ンなこと言っといて、ここ、おっ勃ててんぜ 」
顔が熱くなった。
赤くなっていた顔が、さらに赤くなる。
「 〜ッ、み、見るな!馬鹿! 」
「 馬鹿で結構だ。なぁ、どうして欲しいか言えよヅラ。今日だけお前の機嫌取りになってやろうか 」
「 ………え、今、なんて……? 」
ぽかんとした表情で高杉を見つめた。
つまり、要望さえ言えば、あの高杉があんなことやこんなこともしてくれるのか?
いやまぁ、いつもしているんだが??
などとゴニョニョと口篭るばかりで、奴にどう言えばいいのか、俺の中で答えが一向に見つからなかった。
いや、あるのだが選択肢が多すぎて選べない、というか。
「 ぁ、いや、その、… 」
「 なんだ。言ってみな 」
「 ……さ、触って欲しい、 」
「 どんな風にだ? 」
高杉は依然として笑みを浮かべていた。
え、どんな風に?どんな風に……って、どんな風に?!
「 えっと…だから、その 」
「 三秒数えるまでに言わなかったらやらねぇからな。
さん、にー、 」
「 ……え?!あっ、 」
「 ──いち。残念だなぁ、ヅラ。せっかくのチャンスを無駄にした 」
ただ、あの頃みたいに無邪気で意地悪な笑みだった。
高杉は俺の着物を元のように整え、そのまま立ち上がり自身の着物の袂から煙管を取り出した。
「 まぁ、これに懲りたら疑うのをやめるこったな 」
紫煙をくゆらせながら、窓辺の柵に腰を下ろす。
奴の目に巻いていた包帯が、少し緩くなり解けかけているのに気づいたが、言わないことにした。
ふと、高杉が口を開いた。
「 なぁヅラ。お前、何も守れなかった、変えられなかった俺の傍にいて、いいのか?俺ァ、お前が止めても壊すぞ。この腐りきった世界を。先生を奪ったこの世界を 」
「 ……高杉 」
名前を呼んだ。意味もなく、ただ呼びたかった。
じゃないとお前がどこか遠くに行ってしまいそうな気がした。
「 ……俺ァ、お前らだけにゃ、死んでほしくねぇ 」
「 ……え?」
「 いや、何でもねぇさ。もうそろそろ、それも萎えただろ 」
反射的に自分の下半身を見た。 ……が、まだちょっと反応していたようで、恥ずかしいこと極まりない。
しかしそれは置いといてだな、と思いつつ、また高杉に視線を向けた。
「 ……高杉。お前が世界を壊すと言うなら、俺は、お前が壊した世界を何度でも創り直すぞ。何度でもだ。そして、お前も必ず救ってみせる 」
「 はっ、随分と綺麗な理想論だ。先が思いやられるな 」
そして、やっと振り向いた高杉は、届きそうで届かない遠い、どこか寂しげな表情をしていた。
だがすぐに不敵な笑みに逆戻りした。
「 ───でもまぁ、楽しみにしてるぜ 」
「 ……あぁ 」
朝霧はとっくに消え入り、外界では新しい一日が始まろうとしていたが、俺たちの時間だけは、永遠にこの闇と熱の中に閉じ込められたまま。
俺の中で、お前は、ずっと──────
───────────────────────
……………なぁ、高杉。
俺も、いや俺たちも同じなんだ。
俺たちはお前を独りにしない。死なせたくない。
俺たちの、行く末はきっと同じ場所だ。
だから、せめて最後くらいは、笑っていてくれ。
fin
6000文字越え死ぬ。力尽きました……。
オチが意味不とか気にしないでね!
コメント
3件
みぅです🥀 t w i l i g h t、読ませてもらいました。 高桂、しかも嫉妬に狂う桂……めちゃくちゃ刺さりました。 「外の女の匂い」に気づいてからの、プライドも理性も全部投げ出して高杉に縋りつく桂の壊れ方が、重くて美しくて、何度も読み返したくなる。 しかも高杉も「お前以外の奴に触れるくらいなら肉を削ぐ」って言い切る執着の返し。お互いに狂ってるのに、それが“愛”の形になってるのが、本当に好きです。 6000字超え、お疲れさまです。力作をありがとうございました🌙