ぺ( …..、
1人で夜景を見る。
俺は精神疾患を抱えていて、今は入院中。
基本そこまでやばくはないと思う。
けどたまに凄く優れない日があるから。
制御出来ないのが辛く悪化していくばかり。
ぺ( はぁ…..,
ここから飛び降りられたら楽なのになぁ,
ガチャ
屋上の扉が開く音がした。
ぺ( ….?
誰か来たのかな。珍しいな。
( やっぱりここにいたんだ
聞き慣れた声。
ら( なぁに、悩み事?
この人は俺の担当医。
最近別の病院から移動して来た人。
まぁ俺は人と話すの好きじゃないから全然話した事ないんだけど。
ぺ( …..
ら( ねーたまにはお話しない?
ぺ( …….。
ら( …..隣、座るね。
そう言って俺の隣に座った。
ら( 今日は星も月も綺麗だねー、
ぺ( …..
この人は何を考えてるか分からない。
医者のような誠実さは感じない。
ら( ぺいんとくんはどっちが好き?
たまには返事してあげるか、
ぺ( 星。
ら( !! そっか、
少し驚いた様子をしていた。
ら( 最近、体と心の調子はどうかな?
ぺ( …..まぁまぁ。
ら( 具合悪いとかモヤモヤしてることない?
ぺ( …..
俺は黙って頷く。
この患者は扱いが少し難しい。
これは担当医から言われた言葉。
この病院はすごく大きな病院である。
医療科のほとんどが入っている。
誰でも知ってるもので言うと…
内科、外科、耳鼻科、小児科、精神科など
この5つの他にももう5つほどある。
そのため敷地も大きく設備も完璧。
俺は医療科の中の1つ、精神科医である。
外科などとは違い大きな手術は少ない方。
けれど患者に優しく寄り添わなければならない。
ある意味すごく繊細な仕事。
そして先月、俺はここの病院へ移動になった。
前の病院でもいい成績だったため、すぐに担当医としての仕事が始まった。
丁度空きが1つあるらしく前の担当医と話をした。
( 次の担当医の方ですか?
ら( はい
( じゃあこの患者の説明をしますね、….
その先生はすごく疲れた表情だった。
それも話を聞き終わると納得出来るもので。
まず、患者の名前は「ぺいんと」
性別は男性で年齢は15歳。
病名は「 難治性うつ病 」である。
落ち着いた時とそうでない時の差が他の患者よりも明らかに大きいらしい。
自〇未遂で病院に運ばれ診断をしたとの事。
その後も改善が見られないため入院。
( こんな感じです…、
ら( なるほど….,
ら( 今日この後挨拶に行きたいんですが、調子どうでした?
( 今日は落ち着いている方だと思います
…
俺は病室まで行き扉をノックする。
ら( 入るねー
そう言って入るとカーテンが閉まっていた。
ら( ぺいんとくん、カーテン開けてもいいかな?
ぺ( ………ん。
無愛想な返事が聞こえた。
ら( ありがとう、開けるね、
ガラカラ
カーテンを開けるとそこには
ぺ( ………….
瞳と髪が山吹色で、月明かりに照らされた男の子が1人。
ら( はじめまして。
ら( 今日から担当医になりました。
ら( らっだぁです、よろしくね
ぺ( ……
ら( なにかお願いごととかある?
ぺ( …….
まぁ無視か、と思っていると
ぺ( 屋上連れてって。
そう言われた。
ら( わかった。いいよ
屋上に着くと黙って空を見上げていた。
ら( 星好きなの?
ぺ( 別に。
ぺ( アイツ元気かなって。
ら( あいつって?
少しした後、話してくれた。
… 数年前。夏。
ぺ( ××ー!今日暇ー?
( もちろん!
放課後。
チャイムと同時に親友のクラスへ走る。
ぺ( 今日流星群らしいよ!
( お!見に行くか!!
2人でランドセルを背負い走る。
これはいつものこと。
一緒に帰って、一緒に遊んで、一緒に笑う。
怒られる時も泣く時も一緒だった。
自分の生活には必要不可欠な存在だった。
中学校も同じ中学へ行った。
しかし、そこから楽しかった日々は変わった。
初めの頃はいつも通りだった。
こんな日がこの先もずっと続くと思っていた。
けれどそんなことは全くなかった。
中学1年生の夏休み明け、××は来なかった。
その次の日も、その次の日も。
××の姿はどこにもなかった。
俺は2年生になってから、××のクラスには行かなくなった。
××は不登校になった。
俺に何も言わず、何も残さず。
俺は少し怒りを感じていた。
クラスは1番遠いクラスだった為知らなかった。
その日もいつも通り学校に行った。
けれどいつもと様子が違った。
廊下の雰囲気はすごく冷たかった。
みんなの顔は少し青ざめていた。
そしてあるクラスに人が集まっていた。
××のクラスだ。
気になって××のクラスに行った。
ぺ( はッ……、?
××の席であろう場所には花が。
××はこの世から自ら去った。
彼が飛び降りたという歩道橋の手すりは酷く冷たかった。
そこから俺の体は少しずつおかしくなった。
俺も学校に行かなくなった。
ある雨の日。
傘もささずに夜、外に出た。
俺の大嫌いな歩道橋に来た。
彼が飛び降りた所に足をかけた。
深く深呼吸をして目を瞑る。
腕を広げて後ろに倒れた。
キキーー!!!
ブレーキの音と共に全身に痛みが走る。
視界はぼやけていて、鉄とガソリンの匂いがする。
腹部に手をやると手は赤黒く染まった。
あぁ、彼もこんな気持ちだったのかな。
やっと同じところに行ける、と目を瞑った。
しかし、次に目を開けたところは病室。
俺は精神科で難治性うつ病と診断された。
…
ら( ……、
すごく辛い話。
その歩道橋は取り壊しになったらしい。
ぺ( アイツが何抱えてたかは知らねぇけど
ぺ( せめて最後に挨拶くらいしてけよってな
ら( 辛いよね、よく頑張ったね。
ぺ( だから星のある日は屋上来てるだけ
少し悲しそうな切ない瞳だった。
ぺ( 俺もここから降りれたらいいのに。
小さくそう呟いたのを聞こえた。
ら( そう思っちゃうのも無理ないよね
ら( だけどその子に怒られるんじゃない?
あの日から俺と先生との日々は始まった。
初めは硬い感じだったのに、
ら( ぺんちゃー
ぺ( はぁ、
今じゃこれ。
ら( はぁってひどーい!
ぺ( ‥‥‥
ら( てか寝てるとこ見たことないんだけど
ら( ちゃんと寝てる?
ぺ( まぁまぁ
ら( いつも違う時間に来てるのに
寝てもいい夢見れないし、寝るのは好きじゃない。
ら( 体調は?大丈夫?
ぺ( ん
ら( じゃあまた後で来るね
ガラカラ
なんか今日は気持ちが優れないんだよなぁ。
‥‥ 夜
ぺ( ‥‥
ぺ( ‥‥ッ、?
ぺ( ッ‥‥‥!!!
急に嫌なことが蘇ってくる。
ぺ( はぁッはぁッ‥‥‥、!
久々すぎて自分でも制御できない。
「 ぺいんとー! 」
「 ××!! 」
「 キキーー!!! 」
「 グシャ 」
「 あいつ飛び降りて×んだらしいよ 」
「 こんな花置かなくていいだろ 」
「 あんなやつ 」
「 ぺいんとはいらない 」
「 こいつも来なくなるんじゃね 」
ぺ( あぁぁッ!!!泣
ぺ( 嫌だッ!!嫌ッ!!
ぺ( ごめんなさいッ!!泣やめてッ!!!
怒りと悲しさと虚しさが混ざり合う。
ガタガタッ!!
病室のものは良くない、と思い屋上へ走る。
ガラガラッ!!!
タッタッタッ
俺は走って屋上へ行く。
( ぺいんとさん!!
( らっだぁ先生はどこッ!!
( 早く探さなきゃッ!!
ら( んーー!!疲れたぁ、
ら( ぺいんとのとこ行こー
ガラカラ
ら( 入るよーッて‥‥‥
俺が病室に入ると、ぺいんとはいなかった。
枕や布団は床に落ちていて、
カーテンは所々外れていた。
サイドテーブルの上に置いていた物まで。
全てが床に散乱していた。
そして何より驚いたこと。
ら( ッ、これ、
シーツの上には血のような赤いものが。
これが、前の担当医が抱えていたこと。
自分でも制御出来ない、と言っていたらしい
恐らく引っ掻いて血が出たのだと思う。
俺は走って病院内を探した。
( らっだぁ先生!!
ら( あッ!ぺいんと知らないですか?!
( さっきあっちに走って行きましたッ!!!
ら( ありがとうございます!!
あっちは屋上だ。
ら( もしかしてッ!!
血の気が引きながらも急いだ。
‥‥ ガタ!!
扉を開けると、ぺいんとがいた。
明らかに様子が違った。
うなりながら苦しそうにうずくまっていた。
ら( ぺいんとッ!!!
ぺ( あぁぁぁッ!!!!!
ぺ( くッ‥‥‥‥、!!
ぺ( 来ないでッ!!!!!
自分の中の何かと戦っていた。
ら( そろそろ限界が‥‥‥、!
ら( ぺいんとッ!!!
俺はぺいんとの元まで走り俺の上着を被せた。
ぺ( 嫌!!!嫌だッ!
ら( ぺいんと、俺だよ!!!!!
背中を軽く叩きながら耳元で声をかける。
ぺ( あぁぁぁッ!!!泣
ら( ぺいんとッ!!!!!
ぺ( はぁッ!!あぁ!!! グスッ
ぺ( はぁッ!!はぁッ‥‥‥、!
少し治まったか‥‥‥?
今度は背中を優しく撫でた。
ぺ( ヒュー、ゲホゲホッ
ぺ( はぁッ、はッ
そして一気に脱力した感じがした。
ら( ぺいんと。
ぺ( らッッッ‥‥‥、
ら( そうだよ。俺だよ
ら( 大丈夫、大丈夫。 深呼吸して。
ぺ( ごめんなさいッ泣
ら( 大丈夫。よく頑張ったね
ら( 病室戻れる?怪我処置しようね
ぺ( もうちょッ、とッ、
ら( うん、わかった、
その間もずっと背中をさすった。
‥.
ら( 戻れる?
ぺ( …”
何も言わず、頷いていた。
車椅子に座らせて病室まで戻る。
ぺ( ぁ、また、
荒れた病室を見て呆然としていた。
ら( 大丈夫だよ
俺はシーツを変えるよう看護師に言った。
その間、怪我の処置をした。
ら( 腕だけ?
ぺ( ….”
静かに頷いていたので腕を見る。
沢山の消えない傷痕があった。
直ぐに処置を終わらせる。
丁度シーツも変え終わった為、ベッドに移動させる。
ぺ( ごめん、
ら( 謝ることないよ
サイドテーブルにあったものを拾う。
ベッド横にある椅子に腰掛けた。
ら( 辛かったね
ぺ( 自分でも制御できなくてッ、
ら( 急に来るものなのかな?
ぺ( 数時間前から違和感は感じる
ぺ( 来る直前もだけど、来た瞬間は一気に来る。
ら( そっか、
ら( ご飯まだだよね、食べれる?
ぺ( ちょっとだけなら、
ら( 持ってくるね、待ってられる?
ぺ( …”
ら( わかった、待っててね
背中のジャージからは先生の匂いがする。
サイズが多くてダボダボだけど落ち着く。
ガラカラ
ら( 持ってきたよー
机の上に置いてもらって、少しずつ食べ始めた。
ベット横の机にノートパソコンを置いて開く。
今回のことについてまとめた。
ら( ちょっと質問していい?
ぺ( ん..
ら( 大体どのくらいで来るとかあるの?
ぺ( 月1回あるかないか、不定期だけど
ら( 前の担当医も含めて、何したら少しでも落ち着く?
ぺ( 前の担当医は全然。
ら( じゃあ、俺の対応どうだったかな?
ら( ここだめだったとか
ぺ( んー…、
ぺ( なんでもいーの…?
ら( なんでもいいよ
ぺ( じゃあ、抱きしめてほしい、…、
ら( わかった、他にはある?
ぺ( 名前、呼んでくれるのとか背中さすってくれるの良かった
ら( ありがとう
ら( 睡眠も原因だと思うから、薬処方するね
ぺ( 寝ると、いやな夢見るから、
ら( そこも改善できるようにしておくね
ぺ( ありがとう…
…
ぺ( もういいや、
ら( 食べれただけ偉いよ、片してくるね
ガラカラ
ら( 薬剤師さーん、
( はい!
ら( 108号室、ぺいんとに睡眠の薬お願い
ら( 悪夢減少と睡眠向上、錠剤で
( はい!
…
ガラカラ
病室に戻ると、ぺいんとは寝ていた。
今日は満月。
月明かりに照らされた寝顔は綺麗だった。
すごく切なくて儚い表情。
俺は初めて見たこの綺麗な表情を忘れない。
中途半端な終わり方ですがいかがでしょう。
ずっと書きたかった話なので長くなってしまいました。
もう1つ下書きがある為、没にならなければ投稿してからリクエストの作品は書きたいと思いますので少々お時間かかりますが待ってくださると嬉しいです。
ここまで読んでくださった読者様に1つご提案なのですが、リクエストは常に募集しているので、サイトを作ってそこにリクエストしてもらう形しようかなと思っています。
読者様がコメントにリクエストする方がいいか、サイトにリクエストする方がいいか、コメントで教えて下さると嬉しいです。
(サイトの場合、リクエストして下さった読者様の名前は表示されず、匿名です。)
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ ♡1000
コメント
2件
ひょえ~~!!?めっちゃ好きです!!🥰💕 rdさんってやっぱり先生系めっちゃ 似合いますね…にしてもpnちゃんカワヨ