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注意書き
この小説は、”強姦”、”和姦”、”自殺”、”犯罪”等の表現が含まれております。
苦手な方は今すぐ読むのをおやめ下さい。
また、読んで不快になられても一切の責任を負いません。
198X年 2月 X日。 第二情熱学園。
その日は豪雨だった。
「キャー!!」
鈍い音が街中に響き、稲妻が雲を駆け抜けどこかに落ちる。
教室の女子達がそれと同時に叫び声を上げた。
「おい女子うるさいぞ!」
「そうだそうだ!高校生になってそんなの恥ずかしいぞ!」
授業中だってのに騒ぎ立てるなと男子がヤジを飛ばす。
「怖いものは怖いのよ!」
女子が反論する。
(ここは全く静まりのないクラスだぜ…)
「おまえら静かにしろ」
「はーい」
うるさくなると、授業をしている先公が注意して、生徒がそれに応じ
静かになる。
これは今日でなくてもよくあることだ。
それにしても今日はアイツを見ていない。
アイツとは、別のクラスで桜田剱太の
想い人とでも言おうか。
こんな豪雨ならいつもは騒ぎ立てたり、校庭ではしゃいだりする
お調子者モノの天野竜慶。
幼馴染でもあり、相当仲が良いので休むときは必ずポケットベルで
連絡をするだろうに。
そもそも今日は通学路でも見ていない、何かあったのだろうか。
こうなったら学校を抜け出す他ない。
「先生!俺腹痛いんでトイレに行ってもいいですか」
「む、桜田珍しいな、さっさと行ってこい」
「ありがとうございます」
(さて、一刻も早くアイツを探そう。)
廊下を突っ走り、ちょろっと竜慶のクラスを覗くが案の定居ない。
とりあえずは竜慶の家に行こうか…。
土砂降りの中、傘をささずに走ったため、体はびしょ濡れだが、
無事に竜慶の家まで着いた。
インターホンを鳴らすが誰も出ない。
よく見るとドアが開いているではないか。
「…竜慶?入るぞ」
ギィと音を立てドアが開けられる。
明かりは着いておらず、物音ひとつもしない。
家全体をくまなく探すが、人の気配はない。
最後に竜慶の部屋に入ると、机の上に封筒がある。
(なんだ、これ…)
剱太はその封を見て驚愕した。
遺書だ、竜慶が書いた遺書だったのだ。
「は、遺書、アイツが?そんな、なんで…」
しかし、家には誰も居ないのだ。
(どこだ、竜慶、どこなんだ!お前はどこにいる…!!!)
ここで、焦ってはいけない、遺書になにかあるかもしれないと中を開いた。
“きっとこの遺書を最初に見ているのはお前だろう剱太よ。
俺、クラスの奴に虐げられてたんだ。もう辛いって思っちまった。
最期は、苦しくないのがいいな。歌舞伎町とか行ったら、気持ちよく
死ねるかな。剱太、自分を責めないでくれ。俺はお前と話してる時、遊んでる時
ずっと楽しかったぜ。ごめんな。”
「…歌舞伎町…」
剱太は走った。
(まだ間に合うさ、昨日まで学校に来ていたじゃないか。まだ三時間目の時間だ。きっと。)
剱太はずっと走っていた。雨で視界が悪かろうと、地面で滑って転けようとも、
すぐに立ち直り、止まることをしらぬかのように夢中で走った。
歌舞伎町でも人を押し退け走った。
走って走って走りまくった。
「なぁ、さっきの高校生まじヨかったな」
「あぁ、自殺願望があるからどうにでもしていいってな」
「俺ら殺人罪に問われないよな」
「まさか」
剱太は男達の話を耳に挟み、初めて足の動きを止めた。
(………え…?それって、もしかして……うそだ…今に分かるぞ、嘘だって…)
「すみません」
「な、なんだよ驚かせやがって」
「先程話していたことについて聞かせて欲しいのだが」
どうするよ、と男達は話す。
「いいだろ、言っちまえ」
「ああ、さっきタッパのある高校生の兄ちゃんがよォ、死にたいーってな、
何しても良いってんでよォ、犯してたんだけどよォ、首絞めながらヤってたら死んだわ」
「おいバカもっとオブラートに言えって、はは」
「死体はどこに?」
「その裏路地抜けた所だよ」
「ところで君、なんでそんなこと聞くんだよ、場合によっちゃ、痛い目に遭うぜ?」
「…同級生なんです、協力感謝します」
「あっ、おいちょっと!」
剱太は言われた道を進んだ。
(竜慶!そんな!本当に死んじゃったりしてないよな…!)
…………………………。
「……竜慶?」
そこには、竜慶であろう人型のものが地面に転がっていた。
「竜慶、そんなっ、竜慶ッ!」
剱太はそれに駆け寄った、名前を呼ぶが返事は帰ってこない。
服は脱がされ、身体は泥と雨と白い液体でグチャグチャになっていた。
「竜慶…お、お前…お前が苦しんでたこと分からなくてごめんな…」
「自分を責めるななんて無理だぜ…俺がもっと、お前を…う、ぐ…」
「幸せにしてやれなくてごめんな、俺、お前のこと好きだったのに…」
剱太は冷たく、うつ伏せになっている竜慶を起こした。
「ああ、竜慶…」
「君は死んでも美しいよ。」
剱太は死体にキスをした。
198X年 5月 X日。 第二情熱学園。
「そういえば、去年隣のクラスだった天野ってやつまだ行方不明らしいな」
「あぁ、二月頃にいきなり消えたってやつな」
「誘拐?」
「こわいなぁ」
「早く見つかるといいね…」
(早く家に帰りたいなぁ、 今日の晩御飯は何を食べさせてやろう、俺の 愛おしい竜慶)
完。