○月△✕日
僕は止まった電車の中で立っていた。
駅のホームには、僕と全く一緒の少女が立っていた。
○月△日
また同じ場所へ居た。少女は何か叫んでいる。
1歩踏み出して電車を出ようとしたら、目が覚めた。
○月□日
ほんとは むかえ がほしいの
あのね それじゃ おやすみ
なにこれ、書いた記憶がない
○月☆日
僕は駅のホームに居た。
少女はむかいのホームに居る。
少女は何かを叫んだ後消えた。
○月▽日
夢を見ていない。
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「なんだったんだろ、この夢」
ましろは夢日記をつけた後、ノートをパタンと閉じた。
僕が降りようとした”あの駅”はきさらぎ駅だったはず。いや、間違いない。
しかし、☆日に僕が立っていた駅はきさらぎ駅ではなかった。だって向かいの駅がきさらぎ駅だったのだもの。看板に書いてあった。
あの少女は誰だったのだろう。どこか懐かしいような……。
「ま、いいや。面白い夢だったな~!」
ファ○マで優雅にアマプラを見るといういつもの日課を果たすため、外に出かけようとした時、ふと一つの記事が目に止まった。
『にじさんじ新人募集』
「にじさんじ……?なにこれ」
ましろはVTuberというジャンルに触れてきてなく、物珍しそうに詳細を見た。
にじさんじ、というものはどうやらヤバい物揃いの自由な事務所……らしい。
鬼が居たり幽霊が居たり……人種を超えて幅広く集まっていた。
「ふーん、面白そうじゃん。
……もしかして心霊スポット巡りできちゃう?」
見れば見るほど興味が湧いてきた。
もともと人と話すことは嫌いではないし、どうせこのまま過ごしても楽しいことなんか舞い降りてこないだろう。
そうと決まれば行動は早い。ましろはワクワクと顔を揺らしながらスマホを覗き込んだ。
これはデビューする数ヶ月前のお話。