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17歳のころ憧れていた人がいた。
いつでも真っ直ぐでラップも強くて、頼りになって、俺を救ってくれた人。
そんな人とある 「 約束 」 をした
いつものように絡んで来た奴らとBattleして勝利して祝勝会という名の飲み会へ
その人もお酒を飲んでいた。何を飲んでいたか忘れてしまったがどんどん減っていく。
「そんなに旨いんすか?」
「あぁ、うまい。でもガキにはまだ早ぇよ。」
どうやら俺が羨ましそうに見ていたのを気づいていたらしい。まだ始まったばかりだというのに軽く酔っていてお酒のせいで顔が赤かった。
「いつか、一緒飲んでやるよ」
「、、それっていつっすか?」
「あー二十歳になった誕生日とか?」
俺の頭をわしゃわしゃと強引に撫で、柔らかく笑っていた。酔っている奴との約束なんて信用性が無いことくらい分かっていたのにこの人なら叶えてくれそうな気がして無性に嬉しかった。
あれから色々あり、あいつとの関係は悪化。
お互いの誤解は解けて和解はしたが元の関係には戻らない。
今日は7月26日 俺の誕生日だ。
弟達は二十歳になったことを盛大に祝ってくれた。最近は誕生日会の準備で二人とも夜更かしをしていたらしく先程、寝に行った。
今の時刻は23:39
約20分で明日になる。もう寝てしまおうとも思ったが何故か全く眠気は来ない。ぽつりと残されたリビングで
あの「約束」が脳裏をよぎる
絶対にあいつは来ない。そんな事は分かっている。なのに今日一日飲めるようになった酒を飲んでいなかった。
何も聞こえない静かな部屋で一人、立ち上がって冷蔵庫を開け、ご贔屓にしてもらっている依頼人さんから貰った缶ビールを取り出す。リビングに戻り開けて見るとプシュと子気味の良い音がした。
「乾杯」
なんて言ってみたが返答がある訳が無い、ただ静かな室内に声が広がっただけだ。
ゆっくりと口元に運び一口飲んでみる。
口にした瞬間広がったのは想像していたよりも強い苦みだった。
(偽りのいつかにさよならを)