僕の見る世界は生まれつき、”イロ”が無かった。
見える物は全部白黒でみんなの言う「赤」も「青」もわからない。
それで不便なことといえばカラフルな絵を描くことができないくらいだし日常に支障はないから大丈夫だけど、、
一度はイロを見てみたいと思ってる。
幼稚園児の時、絵が描けなくて笑われた。
そこから二度と絵を描かなくなったっけ?
小学校低学年の頃は虐められてた。そんな酷いものではなく、「イロが見えないなんてかわいそーw」程度。
みんなが笑ってたから僕はそれでいいと思った。
小学校高学年の時に転校した。
転校しても、状況は変わらなかったけどね。
中学生になって、、
初めて、好きな子ができた。
その子はイロのない僕から見ても綺麗な人だった。顔が整ってて、勉強はそこそこ。運動神経はめっちゃいい。
嫌いな人がいないのではないかと思うくらい、普通の、いい子だった。
高校生になった時、初めて告白した。
相手は初恋のあの子。
最初は戸惑ってた。普通じゃない僕が普通の子を好きになってる~って、回りが、うるさかった…
でも彼女は、周りに向かって怒ってた。
「なんでそんなこと言うの?あなた達の普通は私や彼にとっての普通じゃないんだよ?」って。
気、使わせてるなぁ。って改めて感じた瞬間だったよ。
その日、僕は彼女と話さず、逃げるように学校から飛び出した。
そこから、彼女と一回も話せてない。
って言っても、もう何年も前であの子も忘れてるだろうね
僕が好きになったのは後にも先にも、あの子だけ。
ある日、誰かから連絡きてた。見たら小学校の同級生から。
内容は「同窓会あるから是非来てね」と言うもの。
あいつらが何を思って僕をいじめたのか、少しだけ。本当に少しだけ気になったから行ってみることにする。
ダメだ 。あいつらは何一つ変わってない。
僕をみた第一声が「イロ無し君が来たぞー!ww」とか最悪。
僕のあだ名が”イロ無し君”だったことを久しぶりに思い出した。
僕の好きなあの子が小学生の時も同じ学校だったとは思わなかったし気づかなかった。
あの子が僕を見つけ、声をかけてくれた
「告白の…返事、したくて…」
「あのっ…」
「僕じゃダメだ」
え…?と声にならない声で彼女が言った。僕は続ける。
「僕は君を幸せにすることなんてできない。それに、普通じゃない僕と一緒にいたら君まで、”普通じゃない人”って認識されちゃうから…」
ごめん…と小さな声で謝る。
「そんなのどうでもいいよ」
「私が好きなのはイロ無し君じゃない。君自身が好きなんだよ。周りにつけられた肩書きなんて気にしない。」
「私は、君と一緒に話したり、お出掛けすることができるだけで幸せ。」
「私じゃダメですか…?」
驚いた。彼女がそんな気持ちでいてくれたなんて…
僕は知らず知らずのうちに、言葉で彼女を傷つけていた。気づけなかった自分は馬鹿だ。
「あの…答えは?」
「お願いします…!」
その時、視界がスッと晴れた気がした。
初めて僕の目に鮮やかな色が写る。
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