この作品はいかがでしたか?
149
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コニカルビーカー様主催、「コニカルコンクール」参加作品です。
直接的なシーンはありませんがR15くらいならあるかもしれません。
青桃です。自衛お願いします。
あれはまだ俺が12歳の頃やったかな、
中学校入学を機に海外から徳島へと引っ越しをした俺にはまだ仲のええこなんておらんかった。
それに俺の両親は関西出身やったこともあって日本語は英語まじりの関西弁やった。
まだ日本の慣習に慣れてないし、一応関西弁やけど英語のせいで訛っとったから中々クラスの人とも仲良くできんで孤立しとった。
そんな中彼女は「君いふって言う名前なん?かっこええやん!」と俺に話しかけてくれた。その子は少しピンク色の入った綺麗な色の茶髪で、色も白く、その子に俺は「一目惚れ」をしたんやろうな。
彼女はクラスの人気者らしく、彼女を通して俺はクラスの人達と仲良くなれた。クラスの人達と仲良くなった後も俺は彼女とはずっと仲が良く、阿波踊りに一緒に行くことになった。
海外にいた俺は阿波踊りなんて分からず、体育祭で踊るための練習をしていたみんなに少しだけ教えてもらった。男踊りをしている君を見て初めての感情に少し戸惑った。
待ち合わせをし、ヨーヨー屋さんやお面屋さんなども共に回って阿波踊りを見ていた。初恋やったし、慎重な俺は中々告白することができんかった。
一かけ
(今日、告白するって決めたんやから…)
二かけ
(落ち着け…)
三かけて
(…よし!)
四かけた踊りは止められぬ。
そんなやけに響く女踊りの掛け言葉。
気づいた時には彼女は横にいなかった。
「…ぇ、あ、」
「あれ、なんで俺1人で…」
「あ、総踊りや…」
そして終わった阿波踊り。帰ろうと立ち上がれば俺の膝から狐のお面と桃色のヨーヨーが転がり落ちた。
「あれ…いつ買うたっけ、」
なんだか大切なことを忘れている気がする。しなしいくらその2つを見つめていても喋り出すわけがない。そして俺は帰路へとついた。何故か寂しい右側も人混みで紛れさせて。
18歳最後の夏、俺はまた阿波踊りを見に来た。
俺は東京の大学に行く予定だから。
なんだか人生の節目節目で来ているような気がする。
年々減っている屋台。
シャッターの多くなった商店街。
初めてきた時に比べたら色々と寂しくなったが、相変わらず阿波踊りは綺麗だった。
総踊りも最後になり、観客が参加し始めた頃。
中々に珍しい狸面を付け、淡い桃色の浴衣を着た男の子がいた。
ライトに照らされた綺麗な髪から目を離せず、気づいたら彼の手を掴んでいた
「キョトン」
「…あ、いや、ごめん…」
「…ふふ、あははwwwおもろいな、お兄さん」
「っ、!///」
口元しか見えないが彼の笑い声に久しぶりの感情が溢れ出てきた。あれ、前どこで感じたんだっけ。まぁいいや、きみのそのからだにさわれるなら。そのしろくてうつくしいそのはだに。
「大丈夫?」
「…ぁ、」
「あれ、俺何して…」
「向こうに神社あるから一旦そこで休む?人酔いしたのかもしれんし。」
そして俺は男の子と神社へ向かった。境内に入れば不思議と涼しく、あの酔うような熱気は引いて行った。
その代わりまた彼から目を話せなくなって、
「…ぇ、」
気づいたら彼を押し倒していた。何故か彼を見ていると意識が朦朧としてくる。そんな中でも理性が働き、どう見ても中学生な彼を襲ってはいけないと、ギリギリで耐えている。
「…やっぱり男の姿だと抱きにくいよな、大丈夫、俺姿変えれるから」
彼はそう言い中学生ぐらいの女子へと変化した。しかし何故か俺はしっくりこず、
「なぁ、高校生くらいの男子になれる?」
と言ってしまった。それを聞いた彼は「物好きだね」と苦笑いをしながらも変化してくれた。
確かに今目の前にいる彼の体は男そのものだ。それでも不思議と漂う色気にあてられた俺は彼に襲いかかった。
「いっ、た…」
俺は体の節々から聞こえる悲鳴で目を覚ました。
隣を見れば彼が眠っていた。相変わらず狸面は付けていた。
お互い服ははだけていて何をしたのかなんて一目瞭然だった。
寝起きのせいかまだ働かない頭で空を見ていたら彼が起きてきた。
「んぅ…はは、お兄さん酷い顔www」
「って、なんで泣いとん?」
「ぇ、」
自分でも気付かぬうちに泣いていたようだ。
彼はそんな俺の涙を拭おうと頬に手を添えた。その瞬間久しぶりのあの胸の高鳴りを感じた。
周りに散乱するお面やヨーヨー。どれも見覚えのあるものだった。
「ない、こ、?」
「…おせぇよ、ばかっ、www」
「ないこ、ないこだ…!」
「うん、そうだよ…」
「ないこ、好きや。一目惚れやった。もう絶対離さん。」
そう言い彼を抱きしめた。
いや、正確には”抱きしめようとした”やな。俺が回した手は彼の温もりを感じることなく俺の元へと帰ってきた。
「ごめんね、まろ。また見つけてね」
「ないこっ、!」
「最後に抱いてくれてありがとう。俺のことは忘れてね、」
五かけ六かけ七かけて、
誰かが歌っている懐かしい掛け言葉。
俺はまたないこを離してしまった。
もう不思議と涙は出なかった。
「…ぁ、帰らな…」
痛む節々を無視して俺は駅へと向かう。
ひょうたんばかりが浮き物か
私の心も浮いてきた
浮いて踊るは阿波踊り
道路で踊るどこかの連。
もしかしたらないこは浮かれた俺が創り出した人物だったのかもしれない。
ワンマンに乗り2時間半ほど揺られながら帰路に着く。
ここ6年弱で見慣れた田舎町。また変わらず受験勉強をするのだろう。大きく息を吸い、駅のホームから降りる。
最後の一段。これを降りてしまえばまたしばらく阿波踊りを見に行くことは無いだろう。
「まろ!」
「っ、ないこ、?」
それでも阿波踊りより君との日常がいいんだ。
これは水ヨーヨーのように、割れにくく、手元から離れにくい俺ら2人の過去の話。
コメント
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コニカルビーカー様、素敵な企画ありがとうございました。m(*_ _)m 後書き的な 今回も時間にクオリティが伴わないという恐ろしい現象が起きました。不思議ですね。 そして相変わらずの文才。小学生なら褒められてます。 とりあえずひとつも終わってない課題をやってきます((