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ピピピッとけたたましい目覚まし時計の音で、レオはガバッと起き上がった!
今日は試合だ!
ピョンッとベットから飛び降り、乱雑な自分の机の上をチラリと見る
それは新学期の保健だよりの、内科検診前のアンケートだった
レオはジーッと、そのアンケートの一つの項目を見る
Q、心電図を受ける前にからだでどこか気になる所がありますか?
レオはその項目にボールペンでサラサラ書いた
A、はらにカエルがいる
::.*゜:.
レオは顔を洗って急いでリビングに入ってきた
「おはよう!母ちゃん!あのさ!今日の試合に友達が来るかも―」
パシンッッ
「レオ!・・・ごめんっ 」
レオの母親が目の前で手を合わせ頭を下げた
「・・・来れないのか?」
レオが心配そうに首を傾げて母の顔を見る。途端に母がその場に座り込み、ボロボロ涙を流す
うわ~~~~ん!!
「なんでこんな日に大事な客の予約が入るのよ!母ちゃんレオの試合を観るのだけが人生の楽しみなのに~~~」
わんわん泣きながら、母がレオの腰にしがみつく
お~~い!お~~い・・・・(泣)
「仕事行きたくないよぉ~~レオの試合観たいよぉ~~~ 」
ったく・・・・「しょ~がね~だろ!泣くな!試合なんかまたいくらでもあんだから!俺はかまわないから仕事行って来いよ!」
レオが母親の背中をポンポン叩く
えぐえぐっ・・ヒック・・・「働きたくないよ~~~~~(泣)」
「またそんな我儘を言う~~~まったくどっちが子供かわからねぇぜ!」
母親はまだダダをこねている、そんな母親を放って、レオが母のバッグに出勤道具を詰める
若くしてレオを産んだ母親は今でもとても美人だ、そして東京の表参道で鍛えた腕前と、離婚した旧姓だけをひっさげて、レオと地元に帰ってきて、美容室をオープンした
レオの自慢の母は、美人な上に敏腕カリスマ美容師だ
「俺達は人生の荒波を乗り越えるチームなんだろ!母ちゃんは仕事!俺はサッカーの試合!お互いの役目をこなそうぜ!」
うっうっっ・・・「レオ~~~~~~ 」
レオが母親にティッシュを渡し、頭を撫でながら言う
「ほら・・・カリスマ美容師が朝からこんな泣き顔はカッコわるいだろ!母ちゃんを頼りにしてるお客さん・・・綺麗にしてやれよ 」
ぐすん・・・ぐすん・・「お昼ごはん・・・」
「コンビニで何か買うから気にするな」
それから気を取り直した母と朝食を食べて、試合の準備をしたレオも母と同時に家を出た
ブルルル・・・「じゃあ・・・行ってくる・・・」
「おう!今夜くら寿司な!」
まだ母が通勤車の運転席から、名残り惜しそうにレオの顔を見る
「・・・わかった・・・次は絶対観に行くから・・負けないでよ・・」
レオが素敵な笑顔を母に向けた
「忘れたのか?俺はあきれるほど強いんだぜ!」
二人はにっこり微笑んで拳を突き合わせた
車のフロントガラスから手を振る母親を見送る
レオも急いで走り出す、サッカーグランドはここから10分ほどだ
しかし走っていた足がどんどん遅くなって、最後はとうとう歩き出した
そしてレオはピタリと立ち止まり、小さな小石を蹴り飛ばした
「チェッ・・・・・」