テラーノベル
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「パパ!前アタシがお願いしたやつはぁ? 早く部屋に飾りたいんだけどぉ〜!」
「はは、ネオンはせっかちだなぁ、ほれ。 ネオンがずっと欲しがってたジャン皇子のホルマリン漬け大腸の瓶!パパなぁ、ネオンのために頑張ったんだぞ〜」
「わーい、!パパだぁいすき♡ネオン、これ大事にするぅ!」
違う…違う違う違う!!!
アタシが欲しいものはそんな、何処の国のジャン皇子とかいう訳解んないヤツの汚い腸なんかじゃない!!
アタシが…アタシが…本当に欲しいものは…
──────────────
「どうしてかしら…なんで 出なくなったんだろう……」
『あの日』を境に、ネオンのペンから
占いの自動書紀をはじめる『天使』が出てこなくなってしまった、すなわち凄腕の占い師の彼女の一番のアイデンティティである占いは出来なくなってしまったということ。
父親にとって人生で最もと言っても過言ではない異常事態だと言えるだろう。
娘を利用してこの裏社会をのし上がってきた父親にとっては、今のネオンなど
ただの使えない役立たずの娘にしか過ぎなかった。
───────
早暁。朝が訪れその光がカーテン越しに差し込み、シングルベッドの上で絡まっていた、男と小娘を照らしていた。
ネオンの目覚めは今までの十数年の人生の中で最も最悪であった。いや、目覚めてすらいなかったのだ。意識が遠のく途中だった。
「ん——…」
パチリと目が開いた。何が起きているか
理解をする前に、気管が潰された。
声にならない声を出して、ぱちぱちと青い瞳が瞬いて、父親の顔を捉えた。信じられないものを見る目。
ネオンは暴れた。手足をばたつかせ、父の腕を猫のように引っ掻き、枕元のナイフに手を伸ばそうとした。しかし大の男の全体重を乗せた絞首から逃れる術など存在しなかった。じきにネオンの抵抗が弱まった。十代後半の少女の握力では、鍛え上げられたマフィアのボスの腕など外せない。
「——、ぱ——」
口から唾液が溢れて。舌が出た。両目が飛び出さんばかりに見開かれ、足の指が痙攣している。酸素を求めて胸がびくびくと跳ねる。それをライトは無表情で見ていた。
この小さな少女の身体が必死に生きようとしているのを…。
「──────────っ!!!」
父親が何を言っているのかはネオンには理解などできなかった。
父親の手の力は一切緩まず、
やがてネオンの痙攣が小さくなり、最後にびくんと一度大きく跳ねて、それきり動かなくなった。だらりと垂れた四肢。開ききった瞳孔。口から流れ出る唾液と泡。
ネオンの意識が闇へと沈んでいく直前、走馬灯のように駆け巡ったのは怒りでも恨みでもなかった。
『ああ、死ぬんだなアタシ……』
小さい頃、大好きだった。母親が死んだ時と同じだった。あの飛行船墜落事故のときも、誰もネオンを抱きしめてなどくれなかった。最愛の妻が死んだのにもかかわらずに父親は泣きなどしなかった、むしろ母親の内蔵を持って帰ってきたのだ。
そして言った言葉が
「高く売れるな」
であった。
あの日からだろう。
幼いネオンの中で本能が。
いや、ナニカが壊れて、人体に執着するようになった。人の身体が欲しかった。生きている温もりが欲しくて、でも誰もネオンを見てくれないから、せめてその一部だけでも手元に置きたかった。
首を絞める革手袋の感触。父親は無表情だった。
『ア、アタシって結局こういう存在なんだ。邪魔になったら捨てられる。コレクション…モノ以下なんだ。』
『ごめんね、パパ、絞めないで…ごめん。アタシのこと嫌いになっちゃったの…?』
『アタシ、天使なのに。こんなにかわいいのに。なんで誰も抱きしめてくれないの』
『ねえ、パパは何でもくれるよね。』
『じゃあさ。』
『なんで…なんで、パパはネオンに愛情をくれなかったの?』
Fin,
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しわす
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コメント
1件
いや…最後まで読んでちょっと息が止まったわ。ネオンが父親に「愛情をくれなかったの?」って問いかけるシーン、グッときた。ずっと「天使」って言われて大事にされてるフリだけされてたんだな…。ホルマリン漬けの腸とか母親の内蔵とか、父親の異常性が静かに怖すぎる。1話でここまで心抉られるの、久しぶりだわ。続きあるなら絶対読みたい。