昨日の出来事のせいもあって、昨日はなかなか寝付けなかった。いつもより遅い朝を迎えても眠気が拭えず、力の入らない指で目を擦る。
もう少し寝ても良い気もしたが、下階から俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
kr「スマイルー、朝ご飯できたから起きろよー」
きりやんの無駄に大きい声に起こされて、嫌々与えられた自室をあとにする。
この建物は随分と広くて、廊下に出ると同じような扉がずらっと並んでいた。果てしなく続く廊下を歩いていると次第に迷子になってしまい、元いた部屋にも戻れなくなってしまった。
sm「どうしよ⋯⋯」
困り果ててさまよった始末、俺はその場に座り込んでしまった。大きくため息をつく。せめて来た道くらい覚えておけばよかったなあ⋯。
shk「⋯⋯おい」
ふいに後ろから声をかけられ、びくっと肩を跳ねさせる。聞き覚えのない低音。後ろを振り返ると、シャークんが居た。そんなに会話もしなかったし、声だけが印象に残っててそのどこか可愛らしさがある顔立ちとは同じと考えられなかったから、顔を見て初めて認識する。
sm「ぁ、シャークん⋯」
彼に反応すると、『早く行くぞ』と言わんばかりに俺の手を引くシャークん。急かしているのか怒っているのか、はたまた心配していたのか分からない。暫く歩いてシャークんが立ち止まったかと思うと、また大きな扉の前に立たされて扉が開いていく。中には俺とシャークんを除く4人が座っていて、視線がこちらに集まる。
ぶるーくやきんときに手招きされて、指定された席に座り、みんなで声を揃えて食事を始める。
WT「いただきます」
目の前に出されたのは今までに食べたことは愚か、見たことすらないくらい豪華な食事。一口食べて見ると、想像以上に美味しくて目を輝かせる。
sm「んま⋯ッ、」
思わず声を零すと、隣に座っていたきりやんがこちらを見て微笑む。
kr「ならよかった」
br「これ、やんさんの特製料理だから!!」
ここでしか食べれないよ、となぜかぶるーくが鼻を高くする。俺はそれに曖昧な返事をして食事を続けた。
みんなが完食し、またみんなで手を合わせる。
WT「ご馳走様でした」
食事が終わり、各々席を立つ。その中、俺はきりやんに話しかけた。
sm「なぁ、今日って俺⋯何すんの、?」
性処理は仕事が少ないから⋯って言ったって、暗殺だってしょっちゅうやる訳じゃない。
kr「あぁ、それならなかむに⋯」
すると、きりやんに被せるようになかむが答える。
nk「あぁ、スマイルにはこの施設の内部構造を理解してもらう為に今日は施設内の探検⋯かな?」
sm「探検?」
nk「だから、今日みたいに迷子になることがないように今日はスマイルにここを探検してもらいます!ってこと!」
sm「なるほど、?」
なんとなくイメージは掴めたが、一度きりで構造がわかるものだろうか。
kr「さすがにひとりで探検っつったらまた迷子になるから俺らの誰かひとりが付き添いした方がいいんじゃね?」
nk「あぁー⋯そうだね!」
br「今日は前から予定してた部隊の訓練があるから僕付き添い無理だぁ⋯」
kn「俺は外交⋯」
kr「俺も前から予定してた実験があるからね」
nk「俺は書類系の仕事が⋯」
br「⋯てなわけで、シャークんスマイルを任せたよ」
それぞれ事情を話し合い、沈黙していたシャークんに目が向けられる。シャークんの表情を伺うと、何とも言えない表情をしている。何を考えているのか分からない。
shk「⋯ん、分かった」
俺が思ったよりシャークんはすんなり頷く。てっきり嫌われていたものだと思っていた。シャークんは「行くぞ」と俺に声をかけて、手を引いてくれる。
sm「ん」
軽く返事をして従順にシャークんの後を着いていく。施設の探検、と言われてまず俺の頭に浮かんだ今日の目的は「脱出路の発見」だ。なんとか人目につかない出口を探り出す。
少し緊張した面持ちになっていたのか、シャークんが「力抜けよ」と少し笑う。
俺たちが歩き出して1,2分程経っただろうか。恐らく何も触れずに通り過ぎて行った数々の部屋は部下の私室だろう。
終わりが見えないほど長い廊下に取り付けられた窓には、目立たない程度に小さい釘が打ち付けられて容易に出ることは出来なさそうだった。
シャークんは振り返って俺と目を合わせる。そして目の前のおおきい扉を指さして言った。
shk「ここが実験室」
「普段はきりやんがずっと居るからここはきりやんしか使ってないけどね」
多分今も中に居るんだろう、シャークんは軽くノックをして返事も聞かずにドアを開けた。
kr「おー、スマイルいらっしゃい」
あとシャークんも、と意地悪に付け足して笑顔で俺たちに挨拶すると、また気難しそうな顔に戻って試験管やらビーカーやらと睨みあっている。
きりやんは何も言わないしシャークんはそこで突っ立ってるだけだからどうしていいのか分からず、きょろきょろと周りの様子を伺っていると、シャークんが「自由に歩いていいよ」と頷き、俺は研究室の中へと入る。
研究室は白を基調にしたシンプルなデザインで、長ったらしい薬品名が記された瓶が大量に並べられている。
治療用から毒、爆発剤など、多様な種類の薬品が置いてあり、俺が見入っているときりやんが微笑んだ。
kr「いつでも来ていいからね」
どうやら研究室に鍵はかけていないようなので、脱出に使えそうなものがあったらくすねようと思いつつ頷く。
そうして研究室をあとにし、また長い廊下を歩き出す。突然、シャークんに声をかけられた。
shk「なあスマイル」
sm「ん?何?」
足を止め、振り向いた彼に俺が首を傾げると、シャークんはこう続けた。
shk「お前さ、無理やり犯された挙句、ここで働けとか言われて嫌じゃねえの?」
ただ気になっただけのようにも心配しているようにも見える彼の表情と質問に、俺は面食らう。
シャークんは犯してこなかったにしろ、奴等の仲間だ。
そんなことを考えるとは思わなかった。
sm「いやそりゃまあ⋯」
俺は正直に答えて頷き、目を逸らす。回答次第では俺の目論見がバレてしまうかもしれない。案の定、彼はまた口を開いたと思えば俺の考えていることを透かして見ているかのような質問をしてくる。
shk「じゃあさ、ここから逃げようとか思っても不思議じゃねえよな?」
どう答えるのが正解なのか。彼の顔色を窺いながら、頭をフル回転させて言葉を返す。
sm「まあ不思議では無いな。だけどこの施設、逃亡なんて容易く出来ないようにされてんだろ?」
もうとっくに諦めてるよ、と思わせるような表情を浮かべ、へらへらと笑う。
shk「お前みたいに凄腕の暗殺者ならそれくらい行ける⋯とか考えてんじゃねえの?」
しかし、あっさりと言い返される。
sm「⋯いやぁ?無理だね。」
shk「ふーん⋯ほんとは?まだ逃げようって思ってんじゃないの?」
じりじりとシャークんが近付いてくる。それに合わせるように俺は後退りをするが、とうとう壁に追い詰められた。
sm「⋯⋯⋯思ってない⋯、」
なんとなくもう誤魔化せない気がして、けど認めるのは何か負けた気がして目を逸らす。するとシャークんが俺の頬をつかみ、ぐいっと向きを変えさせる。
shk「ちゃんと俺の目を見て」
sm「ッん⋯」
どこかむず痒くて、すぐに視線を逸らしてしまう。その度にシャークんが俺と目を合わせてくる。
shk「言っとくけど逃げらんないよ?」
にや、とその鋭い歯を見せつけるようにしてシャークんは笑う。
sm「んう⋯いいからはなせ、」
シャークんの手を掴み、離すように促す。シャークんはからかうように笑みを浮かべると、俺の耳元まで顔を持ってきた。
shk「案外可愛いとこあんね」
小さく囁かれ、びくっとして力が抜けてしまう。
shk「あれ、耳弱いの?w」
ごめんねぇ〜、と微塵たりとも反省していなさそうな目で俺を見詰め、屈む。何をするのかと思えば、俺をおぶって歩き出した。
sm「わ、うわッ!!ちょ、歩けるって!」
ひょいと持ち上げられたことに動揺してじたばたと暴れるが、見た目に反してシャークんは力が強い。
shk「じゃ次の部屋は〜、ーー!!」
ーー
sm「はぁ、⋯疲れた。」
shk「おつかれーw」
sm「施設案内するだけなのになんでこんなに疲れんだよ⋯」
歩きすぎたせいか、それともシャークんのおちょくりのせいか、大分体力を消耗した気がする。
疲れで動ける気がしなくて、近くにあった椅子にだらしなく腰掛ける。
shk「疲れちゃったなら俺の部屋で休んでく?」
からかうように目を細めて口角を上げ、俺の顔をのぞき込む彼。
sm「お前といるともっと疲れるからまた明日」
俺はそう言い放ち、小さく手を振って自室へ歩き出す。これから夕食があるらしいが、食欲も湧かないし疲れが溜まったから食べない、とみんなに伝えるようにシャークんに頼んだ。
シャークんは少しつまらなそうに口をとがらせていたが、頷いてくれた。
そうこうしていると自室に着いた。相変わらずたてつけられた扉が無駄なほど立派だなぁ、なんて思いながら中に入る。ふと顔を上げると、そこにはなかむが居た。
nk「え?」
sm「⋯え」
疲れきった顔で彼は振り向き、驚いた表情を浮かべている。⋯あれ、部屋間違えたかな。
部屋間違えたわ、と踵を返そうとするとなかむに呼び止められる。
nk「スマイル疲れてんじゃない?ちょっと俺の部屋で休んでいけば?」
なかむが座っていた椅子の隣に置かれた、立派なベッドをぽんぽん、と叩いて俺に手招きをする。
sm「ん、いやいいよ。自分の部屋で休むし⋯」
首を横に振ると、それに被せるようになかむが言う。
nk「ここからスマイルの部屋までめっちゃ遠いよ?w」
東棟と西棟間違えたんじゃない、と笑いながらなかむが言う。それならお言葉に甘えさせてもらうわ⋯となかむの方へ重い足を動かす。
nk「おつかれ、俺のベッドで寝てていいよ」
sm「ん⋯ありがと、」
俺は言われた通りになかむのベッドに腰かけ、なかむに目をやる。書類関連の仕事⋯⋯って言ってたっけ。朝は気付かなかったけど目の隈が酷い。俺はなかむも休んだ方がいいのではないか、と無性に心配になって声をかける。
sm「⋯⋯なかむ、ここ来て」
俺の隣に来るように促すと、なかむはこちらにゆっくりと歩き出した。
nk「どしたのスマイル⋯ってぅわ!?」
ぐいっとなかむの袖を引っ張ってベッドに寝転がす。俺は驚いた表情をして俺を見詰めているなかむに言葉をかけた。
sm「疲れてんでしょ、なかむも休めば」
不器用ながらに声をかけ、逃げられないようになかむの服をきゅっと掴む。なかむは苦笑して答えた。
nk「大丈夫だよ、ほらスマイル早く寝な」
笑顔を貼り付けてそう促す彼をどうしても休ませたくて、俺は彼を見詰めながら言う。
sm「⋯俺と一緒に寝よ、?」
我ながら恥ずかしいと思ったが、実際そうしようと思っていたことなので仕方がない。
なかむはぶわっと顔を赤くして俺に言葉を返す。
nk「⋯⋯ッ、ちょっとだけなら⋯ね、?/」
なかむはゆっくりとベッドに寝転がり、俺の方を向いてはにかんだ。俺はどこか照れくさくて目を合わせられない。ベッドが大きいので少し距離を置いて寝ようとすると、なかむに頬をつつかれる。
nk「一緒に寝よって言ったのスマイルでしょ、なんで遠く行っちゃうの?」
不安げに瞳を揺らし、後ろから俺に抱きつくなかむ。
sm「ッッ〜〜、勝手にしろッ、!!」
そう言うとなかむは嬉しそうにして、そのままの態勢で眠りについた。俺はと言うと顔が火照って暑いせいで中々寝付けなかった⋯というのは内緒のお話。
ーー
)どうでしたか、!!
スランプ回復後(?)というのもあって少し長くなってしまったのと語彙力の無さが垣間見える場面もありましたが暖かい目で見守ってくださったら光栄です!
nextのハートを達成しても中々更新できないということもあり、次のハート(目標?)は設定しません!!
恐縮ですが気長に待っていただけると幸いです!
コメント
2件
う”っ…(悶)シャークんかっこいい!スマイルさんかわいい!なかむさんと一緒に寝るの最高ですか!?全然スランプなんてしてないですよ!