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イルミネーションでキンキンに冷えて
帰ろうと電車に乗って座席に座った。酔った男女や仕事帰りのサラリーマンが乗ってくる。
自分も社会人になったら、あんなにくたびれた顔をしてしまうんだと思うと憂鬱でしかない。
イヤホンを両耳につける。ポップな恋愛ソングが心に染み渡って暖かくなっていく。音楽はいつも勇気をくれる。だから好きだ。
イルミネーション会場から最寄りまで3駅ぐらいを通過する。あれは2駅目くらいだろうか。
お姉さんと若い男性の数名がベロベロで、
酔って乗ってきた。僕はそこでお姉さんが浮気している事に気づいた。
どうしようもない憤りを覚えて震えだしたが、一旦、自制して車両を移った。
お姉さんの連れの男が自分に話しかけてきた。
「なにこっち見てるんだよ」
「お姉さんの連れだろ。俺は彼氏だ」
「ふ〜ん。碧彼氏がいるぞ」
お姉さんは起きていることを理解するまで
時間を要したのか。顔が青ざめ始めた。
「あ…あのね。そるとくん。これは違うの」
「何が違うの?もう何も喋らないで」
「ごめん…ごめんね…」
「…こんなブスと別れられて良かったわ」
「節操なしの女に興味ねぇんだわ」と
文句を1言吐いて立ち去ろうと思った。
彼女を意図的に怒らせて、叩かせた。
叩かれて彼女への未練も一切無くなった。
彼女と別れて最寄りについて夜道を家まで
歩く。
「はぁ。これで良かったんだ。」と言い聞かす
「…ちょっと。ちょっと待って」
彼女は最寄り駅まで追いかけて来たらしい。
「もう言うこと無いから…」と一蹴し、
静かに泣きながら家へ帰った。