はぁ〜あ。桃梅花魁は自分の部屋の小さな小窓からどんよりと曇った空を見上げた。帯留めが消えてからというもの客を取るのが嫌いになった。だから水戸屋に来店する客の数は減った。桃梅のような一流の花魁と会うために来店するのが7割ほど。そのうちの4割が桃梅花魁目当てなのだ。だから店はいつでもがら〜んとしており、やりての柚はご立腹。
「花魁。いるかい?」柚の声がしました。「…はい?用があるなら早く申してくださんし」「まあまあ。そう冷たくしなくたっていいじゃない」すっとふすまが開いて、柚が入ってきました。「杉山様がいらっしゃったよ。花魁。仕事だよ」「…、よ‥」「ん?なんだい?」「わっちといたって楽しくなるとは思えないと思えんすよ」この一言に柚の目がちょっとだけキッと上がった。「楽しくさせるかさせないかは花魁と客にかかってる。ほらほら」と着替えをせきたてられ、絢爛豪華な着物を着て花魁道中で屋敷まで行った。
屋敷にいたのは裕福な身なりの男。顔は良くも悪くもなく、どちらかと言ったらまあいいほうかな?という感じだった。
しかし、杉山様は性格は良さそうで、頭のよさそうな人でした。
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