テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
98,180
トラォ
日奈
421
ある日、生徒から告白された。
彼は頭が悪い訳でもないのに、化学だけ出来ないらしく、いつも補習に来ている。若干おかしいなと感じるものの、人には得意不得意があると言うことで割り切っている。僕とは違い、背丈が高くて顔も整ってる。おまけに成績優秀。女の子からたくさんモテるんだろうな、とずっと思っていた。そして何より、僕の初恋の人と顔も雰囲気もそっくりなのだ。そんな生徒から告白された時は、困惑で頭がいっぱいだった。
月日は早いもので、その日から数ヶ月経とうとしている。
「しっかり復習してきたー?」
いつも通り授業を行う。けれど、彼からの視線を気にしてしまう。僕は教師で彼は生徒なのに。
「先生、ここ質問いい?」
放課後、いつも彼は質問しにくる。
「ここ、難しいのによく頑張ってるね。」
「先生に褒められるために頑張ってんの。ねぇ、今度のテストも点数よかったらご褒美ちょーだい?」
「なーにバカげたこと言ってんだ。この前洗いざらい話したじゃないか。」
「もっと先生のこと知りたいもん。」
そんな子犬みたいな目でこちらを見つめてこられると断れない気分になる。
「分かった。ただし、今回のテストは難しいから80点でいいよ。」
ふふん。絶対に80点取れないテストにしてみせる。そもそも、毎回赤点だった生徒なんだから、前回のは奇跡というものに違いない。
「やった!!言ったこと、忘れないでね?」
そう言いった後、彼は教室からスタスタと出て帰っていく。
やっぱり、笑った顔が僕の初恋の人にそっくり。男子高校生というものは妄想ばかりしてしまうもので、学生の頃は誰もいない教室でキスしたいとか、それ以上の事をしてみたいとか、色々な事を考えていた。結局勇気が出なくて、その人には告白出来ない3年間を過ごしたけれど。
──────
「ゲッ、」
テストの採点中、つい声に出してしまった。彼の答案の点数はゆうに80点を超えていたのだ。もちろん良いことだ。だが、こちらとしては困った結果になってしまった。
「あっ、先生!!やっと見つけた!!今日の放課後、ご褒美ちょーだい」
ドタバタとこちらにやってくる。
「何が望みなんだ。」
「それは秘密。放課後、空き教室で待ってるね。」
時間になってしまったので空き教室に移動する。何だかとても危ない予感がする。あと緊張するし…
「待ってたよ、先生。ね?ゆった通り、俺結果出したでしょ?」
「何が覚醒したのかは分からないけど、まさかの結果だな。で、僕は何をすればいいの?」
「キス。」
「え?」
「だーかーらー、キス。先生にキスしてもいい?」
「はッ!?///」
「僕と君は教師と生徒なんだぞ。なのにキスってッ、」
言っている途中なのに、思いっきり唇を捕まえられてしまった。
教室には唇と舌の交わる音だけが残る。キスなんて、何年ぶりだろう。
「いつも皆が勉強してる教室でキスって、何だか興奮しますね。」
「き、君ッ!誰かに見られていたらどうするつもりだったんだ!!」
「見られたって、先生は俺のって紹介できるからいいもん。」
こっちは教師生命かかってるのにこの子は何を言ってるんだ。
「こんな所で子供っぽくしたって無駄だからな。 」
「でも先生気持ち良さそうだったじゃん。ホントに嫌だったら身体ごと飛ばされると思ってた笑」
「ちがっ//もし誰かに見られたりしたらどうすしようとか、そんなことを考えてっ」
「じゃあ試しにもう1回する?」
「恥ずかしいからもうやめなさい!!///」
「先生、顔真っ赤じゃん。かわいー」
そりゃ僕だってそんなイケメンにキスされたら顔も真っ赤になりますよ。調子に乗るから口には出さないが。
「80点で難しいテストにしたはずなのに…なんでこんな恥ずかしい事をしなきゃなんないんだ!!//」
「いつかテストで負かせられるといーね、先生。まあ、俺が先生の事を好きな限り、先生に負けることはないけど。」
「君が負けたら僕だってご褒美もらうからな!!」
そう言って教室を後にした。ふんっ!のんきにしてられるのも今のうち!!次は甘いテストなんて作らないから!
…まあ、たまになら妄想の中でしか出来ないことをするのもありだけど。
…… 恥っず!!///今何考えてたんだ!!
どうやら先生の妄想癖まだ治っていないらしい。
コメント
1件
あらら、先生が完全に沼ってるじゃないですか…!(笑) 生徒のあの「俺が先生の事を好きな限り、先生に負けることはない」って台詞、めっちゃズルいですよね。教師と生徒の立場逆転してる感じがたまらない…。でもラストで先生の妄想癖が炸裂してるところ、思わず笑っちゃいました。teethさん、続き気になります…!