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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#恋愛
水無月 京
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#オフィスラブ
草原草原

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彼女になにか強要されているわけではなく、すべて俺が勝手にしているのだ。だから自分を責めないでほしい。
「五十嵐くんは自分の気持ちを優先せず、いつも私を支えようとしてくれてる。私はあなたの気持ちに気付かないふりをしてずっと曖昧にしてきたんだから、本当にずるい」
「そんなふうに思ってないよ」
「いつか五十嵐くんがこんな私に愛想をつかしそうで怖いの。今さらだけど、好きだからこれから先もずっとそばにいてほしいって言ったら、それはやっぱりワガママかな?」
ウルウルと涙目になりながら必死で訴える彼女の言葉を聞いた途端、俺は人目もはばからずに彼女をギュッと抱きしめた。
知らぬ間に彼女を精神的に追い詰めていたのかもしれない。悪いのは俺だ。
「言わせてごめん。振られるくらいなら、どんな形であってもあなたのそばにいたかった。だから俺もずっと曖昧にしてた」
拒絶されるのが怖かったんだ。もう顔も見たくない、消えろと万が一宣告されたら、俺は人生で光を失うのも同然だから。
「千春さん、俺はあなたが好きだ。はっきりと言葉にしてこなかったけど、出会ったころからずっと思い続けてた」
じっと見つめたまま長年の思いの丈を真剣に打ち明けたら、彼女の瞳からポロリと涙がこぼれた。
泣かせてしまった。でも、俺に向けてだと考えただけでその涙すら愛おしく感じるなんて、本当にどうしようもなく彼女に溺れている。
「俺はしつこいから逃げるのはもう無理だよ?」
「なにそれ。私も好きだって言ってるのに」
「じゃあ、俺と結婚しない?」
永遠に振り向いてもらえないと思っていた人が、俺の気持ちに応えてくれた。
朝陽のようにいきなりプロポーズしてもうまくいく保証はないし、さすがに急ぎすぎるという自覚はある。
だけどやっと両思いになれたといううれしさから、俺は逸る気持ちを抑えきれなかった。
「け、結婚?!」
「俺はあなたしか無理だから。……俺と結婚してください」
ビックリして目を見開く彼女と至近距離で視線を合わせる。
俺だって今日プロポーズすることになるとは思ってもみなかった。
本当なら雰囲気のいいレストランで食事をしながらとか、綺麗な夜景を見ながらとか、いろいろとプランを考えるべきなのだが、今の俺にそんな余裕はない。
シチュエーションがダメなのだとしたら何度でもやり直すから、頼むからとにかく首を縦に振ってほしいと心から願った。
「えっと……よろしくお願いします」
この人には手を伸ばしても届かないのだろうと、あきらめようとした時期もあった。
だからこうして彼女が振り向いてくれて、プロポーズまで受けてもらえるなんて、まるで天地がひっくり返ったような奇跡だ。一生分の運を使い切ってしまったのかもしれないけれど、それでもいい。
俺は感激して泣きそうになりながら、恥ずかしそうにはにかむ彼女の頭をゆっくりと撫でた。
「ありがとう。これからも変わらず、俺は千春を愛し続けるよ。いい夫になるって誓う」
「こちらこそ。私も全力で朔也を愛していくから」
“朔也”と名前で呼ばれたのは出会ってから一度もなかった。これが初めてだ。
そんな些細なことでも俺に感動を与えられる人は、目の前にいる彼女ただひとり。
「私たち、すごく遠回りしたね」
「そうだな。でも千春と死ぬまで一緒にいられるんだから、俺は幸せだ」
頬を赤く染め、照れながらフフッと笑った彼女の表情がこの上なくかわいい。我慢がきかなくなった俺は両手で彼女の頬を包んで唇を奪った。
この先の人生で、俺は彼女と一緒に暮らし、ふたりで愛を育んでいく。
思い描いていた夢がひとつひとつ叶っていくのだ。
なにがあっても絶対に彼女を離しはしない。
【END】
コメント
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「拒絶されるのが怖かったから曖昧にしてた」──その一言に、50話超の距離感が全部詰まってる気がしました。プロポーズ、急すぎるの分かってるけど「俺はあなたしか無理だから」という台詞一つで全ての説得になってるのが秀逸です。そして最後の“朔也”呼び…ここを初めての名前呼びにした構成が美しすぎる。遠回りした分だけ強度のあるハッピーエンド、胸に染みました。お幸せに…!