ご家族みんなで美味しく食べてもらえたらいいな。
私のパンで笑顔になって、ほんの少しでも「幸せ」を感じてもらえたら、それが作り手として1番嬉しいことだから。
お客様の姿が見えなくなるまで手を振って、そして頭を下げた。
顔を上げ、ふと空を見たら、とても青くて綺麗な空が広がってた。
今日も……良い天気だな。
私は、お店の近くにある桜の木々に目を移した。
大きくて立派な木が、道路脇に等間隔ではるか向こうまで並んでる。
満開で見頃を迎え、たくさんの人が立ち止まって鑑賞している。
ジョギングをしてる人、ペットの散歩をしてる人も、思わず足を止めていた。
桜には人を惹き付ける美しさがある。
若い人も、年齢を重ねた人も、カップルだったり、ご夫婦だったり……
みんなが、いろんな思いでこの桜に見入っているんだろう。
私は……
さっきのお客様みたいに立派な母親になれたのかな?
ふと思った。
子育てに正解なんてないとは思う。
だけど、正孝があんなに素敵な家族を作ることができたんだから……それが全てだよね。
こんな私を今まで支え、守ってくれた人達。
そして、夫として祐誠さんがいつも側にいて励ましてくれたから……
だから私は子育ても仕事も全て頑張ってこられた。
私の人生は、幸せそのもの。
あの時出した答えは、間違いじゃなかった。
桜は……あとしばらく、誇らしく咲き続ける。
たとえ全て散ってしまったとしても、必ず、毎年、毎年、見事な花を咲かせて、その美麗な姿を私達に見せてくれる。
「あっ……」
春の風が、桜の花びらをほんの少しだけ散らして……
私の前に、「春の雪」みたいにフワッと舞った。
祐誠さんとの奇跡のような出会い。
あの時から私の人生は変わった。
大好きな大好きな祐誠さん。
これから先の大切な残りの人生も、2人で手を取り合ってどこまでも一緒に歩んでね。
目を閉じれば浮かぶ、私を大切に思ってくれたみんなの人生も、この先、最後の最後まで、春のひだまりみたいにポカポカした暖かい日々でありますように……
私は、ずっと祈ってるよ。
本当に……ありがとう。
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