テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
佐伯「」 宇佐美『』
逃げるskiをuseが追いかける話
本文伏字なし
みなさんどうも!
絶対的ヒーローの佐伯イッテツと申します!
実は佐伯イッテツ、現在人生最大の窮地に立たされております!!それは何かって?
俺の同期であり親友であり相棒、そして長年の片想い相手の…そう!!リトくんに絶賛全速力で追いかけられてるからでーす!!!!
なぜこんなことになったのかというと…
数分前僕とリトくんはオリエンスのアジトで今日のパトロールの報告書を書いていた
「なーテツ、俺さー今日本部で女の人から告白されたんだけどー」
『…え』
最初に感じたのはショックと悲しみ
リトくんが他の人に告白されて、それを俺に話すってことは彼はきっとそれを了承したんだろう…そう考えているうちに何故だか悲しみよりも大きな怒りが湧いてきた
俺の頭はリトくんの話でパニックになったのか情緒はまとまらず正常な思考回路でもなくなってしまったようで思ったことを全部口に出していたらしい
「へーー!!!そうなんだ!!それで?君はその告白を受け入れて?幸せハッピーエンドってか?!なんだよそれふざけんなよ!!そんな女より俺の方がリトくんのこと絶対楽しませられるしリトくんのことわかってるもん!!大体なんだよ!!俺が何年リトくんに片想い拗らけてると思ってるんだよ!そこらの奴らなんかとは想ってる年期がちがうんだってーの!!」
リトくんが目の前にいることもわすれて今更言っても意味のない文句やら怒りやらをひとしきり怒鳴り散らかした後、俺は急に糸が切れたかのように泣き出した
「俺の方がリトくんのこと何倍も好きなのに…」
『…テツ』
その時、ずっと黙って俺の話を聞いていたリトくんが突然口を開いた
そこで俺は正気に戻り恥ずかしさや後悔やいろんな感情が襲ってきて居ても立っても居られずにアジトを飛び出した。…
そして今に至るってわけ!!!!
『テツ!!!!逃げんな!!!!』
後ろからリトくんがものすごいスピードで追いかけてくる
俺も足は相当速い方なはずなのに追いつかれそうな雰囲気が出ている、こいつパワーだけでは飽き足らず足も速いのかよ?!そりゃ大層モテるでしょうね!!!
あーーもう嫌だ!!!なんでこんなに追いかけてくるんだよ!!そっとしといてくれよ!!そこまでして俺の告白を断りたいのか!!そりゃそうか!!ずっと友達だと思ってた男に急にキレられて泣かれて告白されたら気持ち悪いもんな!!今すぐにでも関係を切りたなるに決まってるよね!!!
そんなことを考えながら走っていると前の道が絶たれた
「…やべ」
今もさっきまでの反動で思考がうまく回らないせいか行き止まりの路地へ来てしまったらしい
佐伯イッテツピーンチ!!!捕まったら人生の終わりだぞ!!
『はぁ…はぁ…テツ…ッ!!!』
「…り、リトくん…」
はい終わったーー!!!!!!追いつかれましたー!!!さらば!!俺の長年の片想いと友人関係!!なんならこのまま同じチームだと気まずいかも!!!これからはチーム脱退して個人でやろうかな!!リトくんもそっちの方がやりやすいだろうし!!!
『おいテツちゃんとこっち向け』
「…………むり」
そんなの無理に決まってるでしょうが!今から拒絶されるのに相手の顔なんて見れないよ!!きっと心底嫌そうな顔をしてるんだ!!!
そう考えて顔を下に向けていると痺れを切らしたリトくんが俺の顎を掴みグイッと引き上げた
「えっリトくん?!?!ちょ、え、」
リトくんと目が合う、なんだか緊張してるような、少し甘いような目線だった
当然俺はパニックになるわけで、お得意のパッシブスキルが発動し目が面白いほどに泳いでいるのが自分でもわかる。
『お前黙って聞いてりゃ自分だけ言いたいこと言って逃げやがって…まだ俺の話も途中だし、答えも聞いてないだろ!』
「…答えって…?」
『さっきのお前の愛の告白以外何があるんだよ』
「デスヨネー…」
あぁ…もう嫌だ今すぐ己の五感全てを停止させたい、主に聴覚と視覚。なんであんなことを口走ってしまったのか…今更後悔したところで現実は何も変わらないが
「…で?君の答えとやらはなんなのさ…もう腹を括ることにするよ!!さぁ!盛大に俺のことを振ってくれ!!!一思いに!!さぁ!!」
俺は意を決して大きな声でさけんだ
「…は?」
その必死の意思表明をリトくんはお前何を言ってるんだみたいな顔で返してきた。…君が答えを教えてくれるって言ったんだろう?!自分の言葉には責任を持ってくれ
『なんで俺が断る前提なんだよ』
「…は?だって君、今日女の子に告白されて、OKしたんだろ?」
『だから話を最後まで聞けよ…断ったよ。好きなやついるから』
…なんだ断ったのか
これで僕の不安要素の一つは解消されたが…
もう一つの己の招いた特大のミスは解消されないままである
「でっ、でも!!君恋愛対象は女性だろ?!こんな可愛げも魅力もない、ましてや呪い持ちの成人男性の俺に好かれてるなんて…気持ち悪いだろう?だから一思いに振ってくれよ…変に引き伸ばされた方が帰って傷つくよ?俺」
リトくんは優しいからきっと俺の告白もいろんな言葉を選んで振ろうとしてくれるはずだ…だけどその優しさが、返って俺の心を抉ってくるのだ。今だけ、彼の底なしの優しさが憎い。
一思いに気持ち悪い、無理だとだけ言って突き放してくれればいいのに…
リトくんは口を開こうとすれば言葉を飲み込み、ただ俺のことをを見ていた
「リトくん、好きな人いたの俺気づかなくて…ごめんね!今後は絶対リトくんの邪魔になるようなことしないから!!気を使う必要なんてないよ?君と俺の仲だろ?今更気なんて…」
『俺の好きな人はテツだよ』
…なんですと??
今確かにリトくんは口を開いて言ったよな?
“俺の好きな人はテツ”と
俺の脳は思考を一瞬でやめてしまった
「…だから、俺に気なんて使わなくていいって…」
『今更お前に気なんて使わねえよ。』
「…」
『テツ』
やめてくれ、そんな甘い声で呼ばれたら
『テツ』
やめてくれ、そんな溶けるような目で見られたら
期待、しちゃうだろ…
『テツ、好きだよ。…全部心から思ってる。俺の本心』
「……ほんと?」
『うん。ほんと』
「嘘じゃない?」
『全部本心だって』
…知ってる君はこういう時は絶対にふざけたり嘘ついたりしないことくらい、何年一緒にいると思ってるんだ
『テツのことが好きだよ。だからさ、俺と付き合って?』
あぁ、先ほどまで引っ込んでいた涙がまた出てくる
今度は悲しさからではなく、嬉しさからの涙
君の顔をしっかり見たいのに、今君がどんな顔をして、どんな目を俺に向けてるのか
涙で揺れる視界ではそれは叶わない
「…うん、おれも、リトくんのこと、好き…」
揺れる視界の中、でも君のことをちゃんと見て
ちゃんと答えられた気がする
『泣くなよ』
「だって…僕が何年君のことを想ってたと…」
『知ってるよ。俺も同じくらいテツのこと好きだったし』
「えっ」
それは初耳だ
そんな様子今まで少しもなかったしリトくんの恋愛対象は女性で間違っていないはず、
初出しの情報に驚いて固まる俺を見てリトくんは鶏のようなあまりにも個性的すぎる笑い方をして俺のことを見た
「テツがヒーローになるずっと前から。俺はお前のことしか見えてねーんだよ」
わかったかと言って俺の髪を撫で付ける仕草は彼の相棒のキリンちゃんや他の仲間に見せるものとは別物で、俺は顔に熱が一気に集まってくるのを感じた
『ははっっ!!テツ真っ赤じゃーんwかわいーなーお前!食ってやろうか』
「なっこれはっ!!リトくんがいきなり撫でたりするから…!!というかなに食ってやろうかって?!怖すぎ!!!君が言うと洒落にならないよ!!」
必死に反論する俺を見てリトくんはコココ、と鶏のような笑い声をあげた
『あーwおもしれーwなぁテツ!やっぱ俺お前のこと大好きだわ!!』
そう言ってリトくんは俺の手を半ば強引に握ってアジトの方に向かって歩き出した
『帰ったらマナたちにも報告しようぜ!!』
「ええ報告早くない?!」
そんな他愛のない会話
いつもと同じような会話のはずなのに繋がれた手のせいでリトくんと恋人同士になったんだと意識させられて、俺は変に湧いてきた優越感に浸っていた。どうだ君たちの好きだったリトくんは俺のものだぞという感覚、それがたまらなく嬉しかった
アジトに帰るとマナくんとウェンくんが出迎えてくれてリトくんが2人に今あったことを自慢げに話した。
すっごく恥ずかしかったけど2人は俺たちのことをたくさん祝福してくれた。とても優しい同期たちで本当に良かったと思う。
特にマナくんは「お前らやっと…!!やっとくっついたんやな…!!!」とずっと追っていた少女漫画のラストを見届けるような熱量で祝ってくれた…というかなんで俺がリトくんのこと好きってバレてたんだろう、誰にも言ったことないんだけどなぁ…
マナくんとウェンくんに祝福されている間もリトくんは俺の手をしばらく離そうとしなくて、ウェンくんには呆れられた。…けど正直、それがたまらなく嬉しかったのは俺の心に留めておこうと思う
#🌩️🦒🤝
つわもの
53
#スカッと
コメント
1件
わあ~、第3話読み終えました!😊 もう、テツくんのパニックっぷりが可愛すぎてたまらなかったです!「逃げるskiをuseが追いかける」ってタイトルからしてツボでしたけど、本編も期待通りで…!リトくんが「好きなやついるから」って告白断ってたのが実はテツくんだったっていう伏線の回し方、すごく好きです。二人ともずっと片想いしてたなんて…!同期のマナくんの「やっとくっついたんやな…!!」にも思わずニコニコしちゃいました。両思いの甘さがじわじわ沁みますね🌷