あ、終わった…
そう思った
そして頭よりさきに足が動いた。
逃げよう
あれ?
足が動かない
足元に視線を向けるとそこには手があった。
正確に言うとあの黒い塊がこちらまで手を伸ばして足を掴んでいた。
最悪だ…
なんでこんな目に…
足を掴んでる手を振り払おうとしてもビクともしない
ズルッッッ
「あっ…」
まずい非常にまずい
いきなり引っ張られ対処出来ずに転んでしまった。
「やっやだ…」
普段なら出さないような情けない声が自分の口からでた。
必死にもがいても逃げることができない。
どんどん黒い塊に近づいている。
そして今気づいたが黒い塊は人の形をしている。怨念の塊みたいなかんじだ。
その黒い塊は俺を近くまで引っ張るとニヤッと笑った気がした。
俺の足を引っ張っていた手が離れていて逃げるなら今だと思ったが腰が抜けてしまって立ち上がれなかった。
黒い塊は俺の体を触ってなにかしていた。
「んっ…….」
触り方が撫で回すような感じで思わず変な声がでた。
やめろ
そう言いたいのに声がでない。
(誰か助けて…)
俺がこいつに何をしたっていうんだ。
そんなことを考えてるうちに黒い塊が俺の体を撫でる範囲が広がる。
気色悪い
「やっ…め」
すると黒い塊はいきなり動きを止めこう言った
そして黒い塊が俺に顔らしきものを近づけてきた。俺の口にそいつの口らしきものがついた。
まさかこいつ、
俺と入れ替わろうとしてる…?
悪霊とかはよく生きている人間と入れ替わろうとする。どうやって入れ替わるのかは知らないがなんとなくこいつは俺と入れ替わろうとしてるんだなと思った。おそらくこいつは物理的に口から俺の中に入ってこの体を乗っ取ろうとしてるんだろう。
「んぐっ…」
こいつ…無理やり入る気だ…
苦しい…
助けて
ドサッ
「んっ、…やめっ…」
黒い塊が先程よりも強い力で押し倒してきた。
助けを求めようと周りを見回すが不自然な程に誰もいなかった。
助けて
「カハッ…」
息ができない
助けて
木兎さん、
あかーしっ!!!!!!
木兎さんの幻聴が聞こえる。
そんなことを酸素が足りなくなってきてボーッとする頭で考えてた。
ドカッッッ
何かを殴る音が聞こえたのと体が軽くなるのは同時だった。
「ヒュッ…ハァ、ハァ…」
突然楽になった俺は足りなかった酸素を取り戻すように深呼吸した。
何が起きたんだ?
「えっ…?木兎さん?」
そこにはさっきまで俺を押し倒してた黒い塊と木兎さんがいた。
なんで木兎さんがここに?と疑問に思ってたらふいに木兎さんが拳をあげた。そして、それを黒い塊に向かって思い切り振り落とした。
ドカッッッ
静寂に包まれる暗闇に鈍い音が響く。
えっ…木兎さんが殴った…。
殴られた黒い塊は砂のようにサァッと消えてった。
そして木兎さんが俺の方を振り返った。
「あかーし大丈夫?!」
さっき霊を殴ったとは思えないほどのテンションで俺に聞いてきた。
「大丈夫、ですけど…なんで木兎さんがここ
に?てか今のやつみえるんですか?」
「なんか嫌な予感がしてさ〜自分の勘を信じて
適当に走ってたらあかーしが変な奴に押し倒
されてキスされてたからムカついて殴った!!」
「すごいですね…」
「あいつどこいったの?消えちゃった!!」
「木兎さんが殴ったことによって消えたんでし
ょうね。そんな除霊の方法聞いた事ないです
けど。」
「え…まってまって除霊って…俺が殴ったやつ死
んでんの?」
「そうですよ」
「俺っ!!初めてお化けみた!!!!俺ずっとお化けっ
て白いゆらゆらしてるやつだと思ってた!!」
「高校生にもなって幽霊のイメージが白いゆら
ゆらしたやつって言ってる人初めてみまし
た。」
「お化けって大胆だな〜まさかあかーしを襲う
とは…許せねぇ!!もう一発殴りたい!!」
「手を怪我してはいけないのでやめてくださ
い」
「はーい…。てかあかーしなんでお化けにあっ
たのにそんな冷静なの?!」
「慣れてるんで」
「ずっとお化けみえてたの?」
「まぁはい。慣れてるとはいえさっきは結構焦
りました。」
「なんでお化けはあかーし襲ったんだろ、あか
ーしに一目惚れしたのかなあ」
「そんなわけないでしょう。俺がみえるってわ
かったから襲ったんですよ。」
「大変そう…でもあかーしが助かって良かっ
た〜!!」
そう言って木兎さんは俺に抱きついた。
「木兎さん苦しいです。」
「ほんとに心配したんだからな!!これからはも
う1人で帰らせない!!」
「俺高校生ですよ?1人で大丈夫です。」
「今日大丈夫じゃなかったじゃん!!これからは
絶対一緒に帰ろう!!」
そんじゃ帰るか〜
そう言って木兎さんは俺を抱きしめるのをやめた。なんだか寂しくなった。もっと抱きしめてほしい。そんな俺の気持ちを読み取ったのか知らないが木兎さんはそっと俺の手を取って、歩き出した。
今が夜で良かった。絶対今俺顔赤い…。
END(これで完結でいい?それとも続ける?こ の選択をみんなに任せた!!)
コメント
20件
木兎さん強すぎ笑ストーリー最高すぎる!続き見たいです!
やばい…好きすぎてもう1回読んでまたもう1回読んでる!そして♡を押す手がとまらん笑
やっば〜!食いついてに見ちゃた!!兎赤の要素も話を邪魔しない程度に入っててめっちゃよかった!!上手いすぎ! 続き見たいな〜!