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「私、〇〇 〇〇って言います!こちらこそよろしくお願いいたします…!!」
そう言ってその人は…〇〇さんは、微笑んだ。
さっきは俺が声を掛けたせいで、驚いてか、怯えてかは分からないけど、確実にビクッと体を跳ねさせていた。
その後、俺を真っ直ぐ見て、目を丸くしたかと思えば、何か言いたそうに口を開けたり閉じたりしていた。
意外にも、その表情は、嬉しそうだったり、困っているようだったりで、外見の割には柔らかな人なんだと感じた。
そうだ。本来の要件を聞かなければ。
そう思い、また〇〇さんに話しかけた。
「〇〇さんは、どうしてここへ?」
そう尋ねられ、私はハッとした。
そうだった。私は今、男バレの見学に来てるんだった。全く…それを忘れる程のイケメンなんて…末恐ろしいぜ…
「えっと、マネージャーになり、たくて…」
言っている途中でとある考えが浮かび、最後のほうは声が小さくなってしまった。
『こんなイケメンが居るんだから、男目当てでマネージャーをやりたいと思う人もいるんじゃ…??』ということだ。
そう思った私は、慌てて付け加える。
「あ、男目当てとかじゃないですよ!!」
声に出したあと、すぐに後悔した。
こんなこと言う方が言い訳臭くて、怪しいじゃないか。
でも、赤葦さんは微笑み、優しい声色で言った。
「そんなこと考えてもいませんよ。でも…何故マネージャーをやろうと思ったかは聞いておきたいです。」
私がマネージャーになりたい理由…
どうして見学に来たか尋ねると、〇〇さんはマネージャーになりたいからと答えた。
予想が当たったな…なんて考えていると、
「あ、男目当てとかじゃないですよ!!」
と、〇〇さんが言った。
そんな不誠実な人にはとても見えないのに、面白いことを言う人だ。
冗談で言ったのかと思ったが、彼女の顔が想像以上に不安そうだったから、本気でそう思われていると感じているんだろう。
彼女を安心させる言葉を送ろう。
そう思って、
「そんなこと考えてもいませんよ。」
と、伝えた。
とはいえ、志望理由は聞きたいところだから、ついでに
「でも…何故マネージャーをやろうと思ったかは聞いておきたいです。」
と付け加えた。
すると、〇〇さんは少し考えるような…いや、躊躇うような素振りを見せたあと、真っ直ぐに俺の目を見つめてきた。
「私…バレーが好きなんです。 」
よくある理由だが、そんな簡単なものでなく、この言葉に深い意味がありそうだと思った。
そう理由を語る〇〇さんの表情はどこか寂しそうだったからだ。