テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
注意
*💜🎯×🧡💤
*作者の癖。
*物語系
*匂わせ程度の左右
地雷さん🔙推奨。
*一言:過去作リメイク。作者が未だ気に入ってる設定です。
*設定:
橙様→箱入り息子 15歳
紫様→怪盗 24歳ほど
雰囲気は中世と現代の間。
くに side
満月。
それは御伽話でよくある特別な月。
寒さもこれからどんどんと勢いを増す、
空気が冷え込んだ秋夜、
薄手の上着を羽織って、ベランダから月を眺めていた。
今日は月がよく見える日だ。
今日は特別な日。
…いや、一般的には来年こそが特別な日と解釈されるだろうか。
まぁそんなこと、今の俺に関係ないが。
…15年。
この屋敷に来てから、
この屋敷に閉じ込められてから長い年月が過ぎた。
檻、と言うには大きすぎるこの箱庭は俺を縛り付けるには十分すぎた。
ここから出たいと思ったことはあった。
だが、外にでたところで箱庭で育った俺一人で生きているかと考えると、体が動くことはなかった。
ただそれだけ。
来年、俺はこの箱庭を出ることになる。
16になると俺はいわゆる婿入りをするらしく、もうじきその期限は半年を切る。
相手の顔も、性格も、名前すら知らない。
でも来年から俺は何も知らない誰かと共に暮らすことになる。
それだけは決定事項だった。
…そんなことを聞かされたのは3年前。
当時は全く理解ができなかったが、
もうどうしようもないことだったから、諦めた。
雲に囲われた暗い空にほんのりと明るい月が浮かんでいる。
優しい包み込むような明るさが心地よくて。
もう秋と呼んでもいい時期なのに、まだ少し夏が残る暑さの外
でも風が吹けば秋らしさを感じられる。
このなんとも言えない空気が、とても好きだ。
本で読んだような、シュチュエーション。
「 はぁ…俺にも現れないかな…御伽話のような王子様。 」
そんな叶うはずのない願いを呟いた。
もうこの際、誰だって構わない。
逆な気がするけどお姫様でも構わない。
『 …呼びました~?、w 』
「 へぇおぁ、!? 」
『 わぁ驚き方独特…w 』
呟いたと同時に突然目の前に現れた紫髪の男。
さらりと揺れる髪と同じ色をした紫の瞳が、宝石のように美しく写った。
俺より少し高いくらいの身長で、
不思議な雰囲気を纏う彼に目を奪われた。
「 …不法侵入で訴えますよ 」
『 っは、この流れで最初に出てくる言葉がそれ、?w 』
微かに目を細めて笑う不法侵入の男。
『 …いやぁ俺怪盗なんだけどさ、 』
「 え 」
怪盗…??怪盗ってあの…??
あまりに突然過ぎるカミングアウトに思わず硬直。
「 か、怪盗、、!? 」
『 そ~、怪盗。お宝盗んじゃうぞ~! 』
子供に言うみたいにぱぁっと笑う怪盗を名乗る不審者。情緒大丈夫だろうか…、、
『 で、偶然、君の話を聞いちゃってね、? 』
『 なら俺が連れてっちゃおうかな~って、思ってさ。 』
「 そんな軽いノリでいいんですか 」
驚きつつ、なんとか絞り出した言葉を発する。
『 え~、だって可哀想じゃん、ずっとこんな屋敷に閉じ籠るの 』
…この人は不思議な人だな。
『 で、俺と一緒に来るの?来ないの? 』
「 …そんなの、 」
怪しさしかなかった。
でもどこか不思議な雰囲気に釣られて
俺は名前も知らないその男の手を掴んだ。
『 …さて、何処まで行きたい? 』
「 …見たことない場所まで。俺が見たことない世界全てを見たい。 」
今日は特別な日。
明るい満月の晩。
あの日から、
俺の時間の止まった世界が色付いていく気がした。
" 月夜の晩には 。 "
一言:テラーもSC少ない…
next_♡70
コメント
4件
投稿ありがとうございます!! やばい好き過ぎる、、✨ こういう系すっごい好きで、こたくにで書いてくれるのめっちゃ嬉しいです!! SC少ないですよね〜、私も今度書こうかな、、?
これめちゃくちゃいいですね、、、