テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
2月
つい先週、俺は赤の恋人、いわゆる彼氏というものになった。
別に、彼氏になったからどうとかはなくて、いつも通り今日も赤が俺の家に来ることになっていた。
紫「まさか自分たちでお互いの誕生日祝おうなんて言われると思ってなかったけどな、w」
昨日いきなり連絡が来て今日の朝、飾りやらご飯やらいろんな店を回って買い占めてきたところだった。
ケーキは赤が頼んでくれているらしく、それ以外全てが俺の担当だった。
紫「人使いが荒い、」
雪が降っている外の景色を見ながらぬくぬくの暖房の中のこたつに潜る。
紫「あったか〜……、」
入ってしまえばもう抜け出せない沼に浸かる。
まだ飾り付けできてないのに……と考えながらもウトウトと脳が限界を迎えていた。
紫「ちょっと……だけだ……から、」
結局そのままこたつでダウン。深い眠りに落ちた。
「______ぅま!」
……うるさい、今気持ちよく寝てて……
「______ぃるま‼︎___い!」
……だから……もうちょっと寝かせろって、
「____‼︎……___スする__から、!///」
………んん”ん”、?
赤「〜ッッ!紫ッッ‼︎起きろってッッ!///」
紫「ん”……え、赤?」
ふと目を覚ますと何故か顔を真っ赤にしている赤が写る。
赤「もう夕方なんですゲド、紫さん」
紫「ゑ、」
赤に言われ目を外に向けると真っ暗な景色が広がっていた。
冬は陽が落ちるのが早い。きっと5時くらいだろう。
赤「連絡しても出ないし、来てみれば寝てるしッッ!合鍵持っててよかったわほんと、」
紫「マジでごめんッッ、いや、寝てて、さっきまで起きてて、!」
赤「……〜ッッwふはっwあははッッww」
寝起きの頭で訳のわからないことを言いながら必死に謝る俺を見て突然ケラケラと笑い出す赤。
紫「何で笑うんだよ、」
赤「紫が謝る側なの珍しくてwwちょw面白っw」
腹を抱えて苦しそうに笑う赤を見ているとだんだん腹が立つのと同時に自分もおかしくなってくる。
紫「あんま笑うなよ!wほら、準備すんぞ!w」
赤「紫のせいだろッッ!wまぁ、俺も急だったし、アレだけど、」
もごもごと言い訳を始める赤にさっさと終わらせよと声をかけて立ち上がる。
結局準備が全て終わったのは2時間後の6時ごろ。
赤「それでは____ッッ!」
赤、紫「KP〜!w」
お互いコーラを片手に飯にがっつく。
今回はジュースと一緒に食べるのでチキンやサラダ、ちゃんとハンバーガーもある。
ズラッとテーブルびっしりに並んだ飯を見て1週間くらいかなと平らげるのに予想期間を立てつつどんどん食べていく。
赤「んんぅ〜っ!んまぁ、!」
紫「やっぱハンバーガーなんやw」
赤「クレープもあるぜw」
紫「そういう意味じゃねーよw」
赤「最近油もん食べすぎてやばい、」
紫「太ってきたん?」
赤「デリカシーのかけらもねーw」
そんな何でもない会話をしながら、横目で赤を見る。
口いっぱいに物を詰め込み口を手で隠しながらモグモグと一生懸命食べる赤。
意外とちゃんと行儀がいいなと思いつつもポテトを口に放り込む。
じんわりと塩の味が広がってやはり罪な食べ物だと自覚する。
赤「…ゴクッ、紫と食べる飯やっぱうまいわ」
紫「それはよかったw」
突然そんなことを口にする赤もなかなか罪な人間だなと思う。
赤はいつも唐突。
思い浮かぶとすぐに行動に移す。決めたことは最後までやり抜く。
すごくかっこいい、毎回感じる感想。
今回の誕生日だってそうだもんな、
赤「ろうそく何本たてる?」
紫「………年齢?」
赤「え、全部?ケーキ燃えるぞ?」
紫「燃えねーわw…ん〜、じゃあ一本ずつで2本?」
赤「しょぼwまぁ、そんくらいが1番いいかぁ、」
そう言いながらろうそくの袋を取り出す赤。
少し悩んだあと赤色と紫色のろうそくを一本ずつ取り出し、ライターを持って近寄ってくる。
ろうそくをケーキに立てたあと赤色のろうそくに火をつけ、ライターを俺に手渡す。
赤「ん」
紫「………つけろと?」
赤「そう、2人の誕生日だし」
手元のライターで紫色のろうそくに火を灯す。ふと明るくなってだんだん少しずつ溶けていくろうそくをきっと一生見ていられる。
暖かくて、安心する。赤もいて、今1番幸せかもと少し浮かれている。
赤「じゃあ……」
赤、紫「ハッピバースデートゥーユー〜♪」
成人(してはいる)男性が2人でケーキの前で歌を歌っている。側から見たら変な人でしかないが、少しおかしく、嬉しく、照れ臭い空気はとても心地よかった。
赤、紫「ハッピーバースデー…トゥ______」
歌が終わり、ろうそくに向けてふっと息を吐く。部屋は暗闇に包まれた。
「お誕生日おめでとう、________。」
ホールケーキを全て平らげご飯も食べ終わり、気づくともう10時。
赤は帰る気力を無くしたのか突然泊まることになった。
赤があまりにも泊まることが多いので、いつ来客が来ても大丈夫になっている自分に少し恐怖を感じながら、1人ずつ風呂に入る。
最初に俺、次に赤。赤は風呂掃除もやってくれるそうで、礼を言いながら俺はベットの横に布団を敷く。
赤が帰ってくるとコーヒーを入れる。
マグカップを2つ取り出しコポコポと心地よい音を立てながらカップに注がれていくコーヒー。
香ばしい豆の匂いと温かい温度が伝わり心も和らぐ。
紫「はい、どーぞ」
赤「ん、ありがと」
マグカップを赤に手渡すと微笑みながら両手で受け取る。
その仕草さえも愛おしく見えてしまい少し熱くなる。
無自覚な赤に腹が立ってきて仕返ししてやろうと立ち上がる。
赤「ん、?どしたの?」
紫「…………ん、」
ぎゅぅ〜、
コーヒーのマグカップを取り上げ、机に置くと、思いっきり赤を抱きしめる。
赤の体温が伝わってきて暖かく、安心した気持ちになる。
赤「ッッ⁉︎ぅえ、紫⁉︎///」
紫「ん〜、?」
赤「ちょ、何で抱きしめ……///」
紫「………彼氏の特権」
赤「ッッッッ⁉︎⁉︎///」
チラッと上目遣いで赤を見ると顔を真っ赤にしてわたわたと慌てる赤。
かわいいなと思いつつも赤の肩に顔を埋める。
紫「ん、〜」
赤「…………ずるぃ、///」
紫「……言ってろ、」
赤「……じゃあ、紫。一回離して」
名残惜しく感じながら赤から体を離すと瞬間抱きついてくる。
がばっ!
ぎゅぅ〜っ!
赤「んんぅ〜、」
可愛らしく赤が俺の胸に頭を擦り付ける。
何が起こっているのか一瞬状況が掴めずにいたが、理解した瞬間ぶわっと赤を思う愛おしさが込み上がる。
紫「赤、?」
赤「………彼女の、特権、//」
耳を真っ赤にしながらたどたどしく呟く赤。
反則だろと思いながらそっと抱きしめ返し、ふはっと笑う。
紫「なにそれw」
赤「ッッ!紫が言ったからッッ!」
紫「はいはいwかわいーねw」
赤「ッッ〜!//もぉ、////」
恥ずかしさが爆発したのか一瞬上げてくれた真っ赤な顔を、また俺の胸に隠してしまう。
本当に幸せ者だなと愛おしい赤を見つめ今日中に言わなければいけないことを言う。
紫「赤、お誕生日おめでとう」
赤「っ!……紫もねニコッ」
「happy birthday. to______」
〈end.〉
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!