古びた商店街らしき場所。しかし誰もが想像出来る場所ではない。人間の3倍の身長はある昆虫や動物をモチーフとされたような怪物が二足歩行で話しながら歩いている。その商店街の路地裏に一つの屋台があった。
店員「ほら、性別はオスばかりだが若い人間売ってるよ。食べ歩きにどうだい?」
赤の怪物「あ、じゃあ一匹くれ。」
緑の怪物「俺は二匹。早く寄越せ〜」
暴れて泣き喚く、少女のような姿をした少年たちが次々と檻から出され「客」の手に渡っていく。
店員「あいよ、5000メダね!」
赤の怪物「死ぬまでに一度は人間の雌を食ってみてぇよなぁ、高級すぎるから俺らには手が届かねぇよ。」
緑の怪物「まぁけどよ。多少臭みのあるこっちの人間も悪くねぇもんだぜ?」
そのまま衣類を剥ぎ手のひらへ乗せる。一人が逃げようとした。
少年「い、嫌だ..!!」
店員「あっこら、待て。バシッ」
虫を捕まえる手で必死に走り逃げ惑う一人の商品を捕まえる。がその衝撃で少年は腹が破れた。
少年「ぉごェ..」
赤の怪物「あーあー、ばっちぃな、早く食っちまおうぜ?」
店員「毎度あり〜。」
少年「い…やだ」
ガパァッ
赤の怪物が花のつぼみのような口を開きそこに弱々しく暴れる少年を投げ込む。
少年「い…」
赤の怪物「バグッブシュー」
檻の中からは見えない。が余りにも生々しい音を立て少年は怪物の胃袋へと姿を消した。
赤の怪物「ゲプッうー…臭みあるけどやっぱ俺なんやかんやこれが一番だな。」
緑の怪物も数匹買って行き、暴れる青年の腕をちぎりスナック感覚で口へ放り込み歩いていく。そこへ新しく客が現れる。単眼の深緑色の、角の生えた鬼と言うべきか。
単眼の怪物「おいまだ残ってるか?」
店員「おっ、ルガーか。いらっしゃい!.いつもありがとよ。」
単眼の怪物「ってかいつも朝早すぎんだよ。」
店員「…もう昼過ぎだぞ。」
そのまま取引する。
店員「ほらよ、最後の1匹だ。まいどあり!」
その少女..いや、少年は暴れる素振りも見せずただ虚ろな目で終わるのを待っていた。
単眼の怪物「…ぁ?」
店員「?どうした、食ってくかい?」
単眼の怪物「あぁいや、良い。家で調理すっから。」
そのまま単眼の怪物の鞄らしき場所へ放り込み気付けば住処が見えてきていた。
ドサッ
単眼の怪物「ガシッ」
そのまま凶悪な顔を浮かべ爪を立てようとする。..がそれでも少年は抵抗しなかった。
単眼の怪物「お前人間らしく喚くか泣くかしろよ。死ぬのが怖くねぇのか?」
少年「..怖くない。だって、人間ってアイツらみたいな怪物に食われるための生き物なんでしょ?」
単眼の怪物「…はぁ?」
単眼の怪物が少し動きが鈍くなる。そのまま少し考え、
単眼の怪物「チッ..萎えた、俺ァ生きることに執着する奴を食い殺してぇんだ。殺す価値もねぇよお前は。俺は寝る、とっとと失せろ。」
少年はムクっと立ち上がりこう聞く。
「リノのこと..食べないの?」
単眼の怪物は寝室へ歩く足を止め、
単眼の怪物「..リノ?けっ、まさかてめぇの名前とか言うんじゃねぇたろうな?餌に名前付けるとかイカれてんのか?」
そのままデカくうるさいため息をつき、
単眼の怪物「やっと人間が手に入ったと思ったら1匹目がんな変な奴とか世の中クソだな。既に死体みてぇな、お前に、興味はねぇっつってんだ。さっさと出ていけ。」
単眼で鋭く睨む。しかし少年は全く動じず、ただそこに突っ立っているだけだった。そのまま数日が経つ。単眼の怪物は野良の人間のことを忘れ、仕事をしていた。
単眼の怪物「ガシャッ」
そのまま水飲み場で水を組み飲み干す。その時、どこからがよく聞くと声が聞こえてくることに気付く。
単眼の怪物「ゴキュッゴキュッ…プハァ…ん?」
見ると机の下にうずくまる数日前の少年が体操座りしていた。
リノ「…なかすいた…_おなかすいた、おなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいた」
単眼の怪物「ノっ..おわァァァァァ!!!なんだテメェまだ居たのか!!?4日も空けてたんだぞ!!」
単眼の怪物「ぁぁッたく..何なんだこのクソガキは..ッ!」
何を言おうが少年はそこから動かない。
単眼の怪物「っつうかふっつうに食いもんねぇし…ゴソゴソまた買いに行かなきゃ行けねぇのかよ…」
するとリノはようやく自分から口を開く。
リノ「リノも行、く。」
とうとうめんどくさくなった単眼の怪物は、リノを包帯で包み、人間とバレないよう肩に乗せて街へ繰り出した。
リノ「まえ、見えない。」
単眼の怪物「うるせー。」
単眼の怪物「おーす、」
その店は人間でなく芋虫のような昆虫らしきものを取り扱っていた。
ワニ型の怪物「やぁ、ルガーじゃないかい、..ん?その肩の..お子さんかい?話には聞いてないが..」
単眼の怪物「んっ!?お、おぉ。俺の子じゃなくてよ。親戚のガキを預かってんだ。あぁ、モンバリムシを..2匹。」
ワニ型の怪物「そうなんだねぇ、ほら、オマケも付けといたよ、まいどあり!」
単眼の怪物は冷や汗をかきながら
単眼の怪物「ど、どーも..」
そのまま住処へ戻ってきた。包帯から顔を出しリノはこう聞く。
リノ「..ルガー?」
ルガー「勝手に名前覚えてんじゃねぇよ、今焼くから黙って食っとけ。」
そのままリノの手に抱えれるサイズの幼虫のようなものを串に刺し焼く。数分後、
ルガー「..ほらよ。噛み締めて食え。」
リノ「…カプっ」
リノが串にかぶりつく。その瞬間なんとも言えない表情が数秒で何度も変化した。
ルガー「..おい、おい。なんだその顔。うめぇだろうが。」
リノ「..フルフル」
ルガー「贅沢言うな」
そのまま食べ終わり夜となる。あっという間にルガーは大きないびきをかき、眠りにつく。リノは敷かれた毛布の上で丸まるが、その時窓辺に白いコウモリが入ってくる。
リノ「…君は、だれ?」
白コウモリ「きゅー?」
そのままコウモリは飛び去っていく。
リノ「あっ待ってよ..遊ぼーよ..!」
リノは何か不思議に思いながら眠りについた。
そんな生活が結局のところ数週間続いたある日。
リノ「..ね、ルガー。」
ルガー「ゲフッぁ?」
リノ「リノ、お肉食べてみたいんだ。」
ルガー「食ってみたいって..食ったことねぇのかよ。」
リノ「うん、木の実とか何かの卵とかキモイ魚とか..目玉とか。」
ルガー「目玉..?つうかやめとけあんなクソまずいもん。一度食えばしばらく何食ってもその味しかしねぇし..2日はゲボコースだ。」
リノ「?じゃあなんでリノを買ったの?」
ルガー「別に全員が食う為買ってる訳じゃねぇ。殺すのが趣味なだけだ。それに、肉を吊るして干せば金になるしな。あそこにあるのとかモリブタの干し肉だ。ユニコーンのとかゲテモノ好きに高く売れるぜ?」
リノ「ユニコーン..?食べてみたい。」
ルガー「アホか。んな簡単に手に入るものじゃねぇ。..ん、いやそうだなァ、その髪飾り..?男だってのに珍しい。本物の花か?それをよこすなら考えてやらんくも_____
初めて聞く彼の大きな声にルガーはその単眼をパチクリとする。
ルガー「ポカーン..」
リノ「あ…えっと..ご、ごめんなさい..これはあげれないの。」
リノ「…..」
ルガー「………」
ルガー「…あ〜…まァちょっと待ってろ。」
ルガーが物干し竿に近付き茶色い塊を持ってくる。
ルガー「ゴトッ…ん、モリブタの干し肉でも..食ってみるか?な?」
途端リノの目が少し輝く。そのままその塊を薄くスライスし、口へ入れる。
リノ「あむ….!」
リノ「お..おいしい..!」
ルガー「お、おう…変わった味覚してんなお前..」
ルガー「んなうめぇなら今度は..そうだな、ガリペンギンとかクモウサギとかの肉も食わせてやるよ。」
リノ「..いいの?」
ルガー「んな美味そうに食う奴とか初めて見たっつーかよ..まぁその、狩ってくるわ。」
そのままルガーが道具を持って部屋を出る。リノは1人こう漏らす。
リノ「..たのしみ。」
リノ「…….」
リノ「ねぇイル、もし人間が食べ物じゃない世界に行けたら、何がしたい?」
イル「その時は、そうだなぁ..リノと二人で、自然に囲まれた場所で暮らすのもよくない?」
リノ「たのしそうだね..はは,.」
イル「リノ?」
リノ「リノ達、何のために生まれたのかなぁ..?」
イル「..!」
イル「..リノ。ギュッ」
グラッガタンッ
首の長い竜型の怪物「カランカランカラン、えーニンゲン〜..ニンゲンは要らんかねぇー..」
「痛いよぉ…」
「殺して…」
イル「っぁっ…」
リノ「..イルッ!!」
竜型の怪物「ガシッグパァッ」
イル「いっ!?」
リノ「イルゥゥ!!!」
竜型の怪物「ゴキュッッ」
リノ「…ぁ…ぁぁ….あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙..」
リノ「イ….ル…….」
ルガー「..いクソガキ..クソガキ!!」
リノ「パチッ….」
ルガー「メシ出来たって言ってんだろ?」
ルガー「ったく…まーた死体みてぇな面しやがって…風邪でも引いてんのか?人間用の病院なんてねぇんだからよ..」
ルガー「ほら、食えば治んだろ。食え。」
リノ「..プイッ」
ルガー「..ああ?また虫は無理とか言うのか?…わーったよ、なら..ガサゴソ」
ルガー「ドサッほら、食え。はぁ..これ売る用だったんだからな?」
リノ「もしゃもしゃ…」
ルガー「..ったぁ〜しゃあねぇな..」
ルガー「..今の時期、北の方へ行きゃユニコーンが狩れるかもしれねぇ。一応..干し肉は置いとくからよ。その分しばらく帰れないかもしれん。」
ルガー「….じゃあ、行ってくるからな。」
リノ「…モグモグ」
リノ「スー..スー…」
ルガーがいない間、一人の少年はひたすら腹が減れば干し肉を食べを繰り返した。やがて食料は減って行った。
リノ「グゥー.._お腹..減った…」
やがて自身から苦手な虫を食べるようになって行った。
リノ「うぇっ…」
リノ「….うー..」
ガチャッキイー
カーテンの隙間から現れたのは前の白いコウモリだった。
コウモリ「キィ、キィー!バサッバサッ」
カーテンがコウモリの羽ばたきで動く。
ファサッ
リノ「..ぇ…?」
カーテンの隙間から現れたその人物。
「リノ。」
コメント
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うわーめっちゃええやん…リノちゃんだよね?これ…男でもそれはそれで可愛らしいけど…ルガーさやっさしぃ!
一度はこういうのやってみたかった