旅館2日目
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次の日、レイナ達は予定していた時間を大幅に遅れた昼過ぎに目的の神社に向かっていた。
「いやーまさか寝坊するなんて」
アスカが笑いながら言う
今朝、レイナとソウは普段起きている早朝あたりに目が覚めたのだが、ナギとアスカは昼前頃に起きたのだ。
「本っ当に申し訳ない…」
必ずこの時間に行かないと行けないとかは無かったため起きるまで寝かせておくつもりだったが、10時を過ぎたところでそろそろ起こそうかとなり、熟睡している2人を起こそうと試みたが、アスカは「あと5分…」を何度も繰り返し、ナギはそれすらなく眠り続けていた。
「アスカは分かるけど、ナギは意外だったな」
いくらレイナが揺らしても起きなかったナギを起こしたソウが言う。実際起こすと言っても、レイナはほぼ見ているだけで、ソウが2人を起こしたと言っても過言ではなかった。
アスカが起きた後もナギは起きなかったので、その時の話をしていると目的の神社につく。
「うわぁ…」
そこで出てきたのは、感激とかそういうのでは無い少し絶望気味の声だった。
「石段なっが」
その声が出た理由とは、その神社の石段の長さだった。一段一段が高くて急なのに加えて、鳥居が豆粒のような大きさに見える。
「これ登るの?」
「俺飛んでいきたいんだけど」
「ソウ、ここ人間界。能力使っちゃダメ」
「…」
普段から頻繁に体を動かしているアスカは余裕そうだが、それ以外は依頼や任務じゃない限りそこまで日常的に運動はしていない。
ソウは浮かべるから尚更こういう階段は飛んで移動しているのだろう。この4人の中で1番外に出ないナギと同じくらい絶望している。
レイナは無言で自分自身に体力向上の魔法を使った。
「レイナ魔法使うのズルくない?」
「私にこの階段はキツい」
「魔法って他人にもやったりできないのか?」
「そういうのはプロしか出来ない」
「ほら、ゴチャゴチャ言ってないで早く行こ!」
石段の脇には等間隔に常夜燈が置かれており、沢山のイチョウの木が生えていた。その木の葉で頭上が覆われており、木漏れ日が差している。
「綺麗だね〜」
アスカは余裕そうな顔でその景色を見ており、レイナも最初は体力向上のお陰で景色が楽しめていたが、石段の真ん中辺りになると疲れの方が勝っており、周りの景色を楽しむ余裕は無かった。ナギとソウはもっと早くその状態になっている。
「着いた〜!」
「疲れた…」
「ゼェ、ハァ、…」
「…ゼェ、ゼェ、」
石段を登りきった頃には、アスカ以外の全員が肩で息をしていた。
「早くお参りしよ!」
「なんでそんなに余裕そうなんだよ…」
(体力オバケ…)
息を整えながらも手水舎で手と口をすすぎ、御社殿の方に向かう。
「レイナ、ここのやり方わかる?」
「やり方とかあるの?」
「うん」
「えっと、確か鈴を鳴らした後に2回深いお辞儀して、2回手を叩いた後にお祈りするんだっけ?」
「その後にまた深く一礼だったよな?」
「それで合ってたと思う」
「へぇ〜」
アスカとソウに説明して貰った事をする。
(魔法が上達しますように)
お祈りをした後に深く一礼をした。
「ねね、3人のはどんなお願い事した?」
礼から顔を上げたアスカが聞いてきた。
「俺は、特にトラブルがないようにって願った」
「俺は……秘密かな」
「え〜…なにそれめっちゃ気になるんだけど!」
何を願ったか明かさないナギに、アスカが不満の声をあげる。
「レ、レイナ何祈ったの?」
アスカに質問攻めにされる前にナギはレイナに矛先を向けた。
「やっぱり、レイナなら記憶が戻りますようにとかそういう系?」
「いや、普通に魔法が上達しますようにって祈ったよ」
「それもレイナらしい願い事だね」
「そういうアスカはどうなんだ?」
ソウが言うと、アスカは少し慌てたようにして言った。
「僕っ!?僕は…ヒミツ!」
アスカがヒミツと言った時、チラリとレイナの方を向いた気がしたが気のせいだろう。
「他の人に言わせといて自分が言わないのはダメだろ」
「ナギだって秘密だよ!ねっ?」
「えっと、とりあえず御守りとか買わない?」
「買う」
話を振られたナギが話をそらす。
レイナは商売繁盛、ナギは健康祈願、アスカは厄除け、ソウは旅行安全の御守りを買った。
「レイナが商売繁盛って、なんか意外」
アスカがレイナの持ってる御守りを見て言う。
「副業としてやってる方のポーション屋が商売繁盛するといいなって」
御守りを買った後は、おみくじを引く。
「やった!僕大吉!」
「あ〜俺小吉」
「俺は中吉…なんか普通」
「私は…」
引いたおみくじを見ると、そこには凶と書かれていた。
「…凶」
「凶!?逆に珍しくない!?」
書かれている和歌や項目を読んでみると、全体的に慎重にしろと書かれている。
(十分慎重にしてるつもりなんだけどなぁ)
おみくじも見終わったので、そろそろ買い物をして帰る事にした。
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旅館の部屋に戻り、帰りに温泉街で買ってきた刺身などの夕食と、お酒を机の上に出す。
『いただきます』
いただきますを言い終えると、3人はそれぞれ買ったお酒を取り出した。
「レイナどんなやつにする?」
「まず普通のビール飲んでみてよ!」
「了解…」
アスカに渡されたビールを1口飲む。なんとも言えない苦味が口の中に拡がった。
「…」
「どう?」
「苦い…」
苦さに顔をしかめながら言った。
「そっかァ〜じゃあ、それは僕が貰うね」
「ありがと」
「ほろよいとかはどう?こっちに来てから初めて見たんだけど、飲みやすいらしいよ」
そう言われて渡されたものを飲んでみる。
「ん、さっきのよりは飲みやすいかも」
「じゃあ、レイナは今日はそれ飲むか」
「よーし、じゃあ、カンパーイ!」
『乾杯!』
その後、4人は昨日より遅い時間まで飲み続けた。
酒飲んだことないから味間違ってるかもです。
それでは、さよなら〜( ᐙ)/
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