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愛されているとは分かっては居るけど、やっぱり不安になる時がある。キスだってするし、お揃いの服だって、アクセサリーだって着けてる。余裕が無い時は人目気にせず抱き締めて来る彼に愛されてないなんて思った事は1度もない。1度もないのだけども。
「最近士道とばかりいるな……弟の凛は仕方ないとわかってるけど」
最近の冴は士道と居ることが増えている。冴曰く、しつこいから付き合ってやってるだけとは言ってたけども。でもたまに楽しそうな顔を見ると少し妬けてしまう。俺じゃ不満だったかなって思えてしまう。
「冴ちゃーん」
「引っ付くな」
そうは言いつつもあんまり力を入れていない限り、あんまり嫌がってないように見える。たまに士道のような積極性は羨ましいなと思う。俺は今でも人目を気にしてしまって、なかなか外では冴と接触ができない。まだ恥ずかしいというのが消えてないからなんだけど。
でもやっぱり積極的に行った方がいいのだろうか。外だと冴からのアクションが多いのは事実だし。もしかしたら愛想つかれてる?かも……。
「あれ、閃ちゃんじゃーん。どったのそんな所でぼーっと立って」
こっちに気づいた士道が冴から離れて俺の所に来た。すると急に肩を組まれてお互いの顔が近い。冴でもしてこなかったことをされて戸惑っていたら、冴が士道と俺を引き剥がした。
「離れろ悪魔くん。誰がそいつに近づいていいって言ったんだよ」
「えぇ〜別に良くね?いつも冴ちゃんにしてるのと同じだよ〜」
「俺は許してねぇよ」
???何がどうなっているんだろうか…。当の本人置いて話しないでくれないかな。置いていかれてるのがすごく嫌だ。こんなに近くに居るのに。
「彼氏の嫉妬はかっこ悪いよ冴ちゃん」
「お前が俺の許可してねぇ事したからだろ」
「だからそれ良くないっていつも言ってるくね?」
俺は会話の中身が入ってこなかった。何の話をしているかも全然耳に入ってこない。あるのはこんなに近くに居るのに士道ばかり見てる冴に自分を見て欲しいと思えてしまっている。そう思っているうちに身体が勝手に動いてしまい、冴に抱き着いて居た。
「あれ?閃ちゃん?」
「……閃堂?」
「……。」
どうしよう。何も言わずに抱き着いちゃった。冴困ってる?迷惑って思ってないかなと不安になった。
「閃ちゃんどったの〜?そんな積極的になっちゃって」
「……、冴は俺のなの。あんまり近づかないで」
「あっちゃ〜嫉妬させちゃってたかぁ」
反省してるのかよく分からない様に言う士道。嫉妬?俺嫉妬してたの?それより冴が俺の名前読んでから静かなんだけど。生きてるのは分かる。静か過ぎない?
「閃ちゃん、一旦離れな…。冴ちゃんずっと固まってる」
「え……」
どういう事だろうと思って顔を上げたら今まで見たことの無い位顔を真っ赤にしている冴がそこに居た。そして自分が今した行動と発言を思い出し離れようとしたら冴から抱き返されてしまって逃げる事ができなくなった。
「は、離して冴……っ、恥ずかしい…っ」
「自分からやっておきながら恥ずかしいはねぇだろ……」
「いや、、その……んっ」
何か言い返そうとしたらそのまま口を塞がれてしまった。少し角度を変えて深くキスされてるのが分かる。このキスされると俺の頭が溶ける事分かっててやってるのだろうか。
「あ〜……そのイチャつくのはいいんだけど、誰も見てない所でやってくんない?」
「誰のせいだと思ってるんだ」
また冴が士道に意識向けたのを感じて抱き締める力を強めた。もういっその事どうにでもなれ。
「はいはい、おじゃま虫は居なくなりますよ〜。閃ちゃんも嫉妬させる事させちゃってごめんね」
頭を軽く叩いて士道はその場から立ち去った。触られた頭にまた手の感触があったがこれは冴だとわかる。
「あんまり可愛い事するな加減出来なくなる」
「……いつもして無い癖に」
冴の温もりは自分だけの物と感じて安心しきってしまって俺は冴の腕の中でそのまま眠りについた。