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沙耶の母は元華族のお嬢さんである。父と同じく気まぐれで気に入ったものは全て手に入れるが、直ぐに飽きるという性格であった。美容とファッションには惜しみなく金を使った。――彼女が全身に着けているものは宝飾品を入れれば最低でも三千万はくだらない。
――権力を得ると名誉が欲しくなる。沙耶の父は人間社会で必要なものは全て手に入れた。
――父と同じく母にも若い愛人がいる。父はそれを知っていたが気にもしない。もし何か気に入らぬような事でもあれば簡単に抹殺出来る。父は裏社会とのコネも持っていた。
沙耶には常に三人のプロのボデイガードをつけている。沙耶はそのことを知っていたが黙認していた。
――過去に沙耶に手を出そうとした人物が数人いたが、この世から簡単に抹殺された。
沙耶自身中学校時代に街で変な人物から声をかけられて腕を掴まれたことがあった。相手は直ぐに地上に倒された。沙耶は自分自身の身を守るために合気道を幼いころから習っていた。天性の俊敏さも手伝って、合気道の上達は異様に早かった。相手が格闘技のプロでない限り沙耶を倒すことは出来ない。
沙耶は自分の事を桜木には語りたくなかった。もし、話をしても桜木は気にはしないとも思ったが、敢えて聞かれない限り自分から話す必要は無かった。
桜木の中に祖父の面影を感じていたのである。彼に感じた不思議な親近感は祖父に似ていたからであろう。
沙耶は両親とその取り巻き連中を見て成長した為、人間の愚かさ、醜悪さを痛感していた。