テラーノベル
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昔から歌うのが大好きだった。周りの人に恵まれなくて、歌だけが癒しだった。ずっと1人で歌ってても楽しいけど、あたしは誰かと歌いたい。
あたしと歌ってくれる、相棒がほしい。
「やばっ、忘れ物しちゃった。」
あかねは月明かりだけが頼りの校舎の中を、ゆっくり歩いて教室に向かった。家に帰ってから忘れ物に気づき、家に帰るまでの時間稼ぎも兼ねて学校に戻った。
教室の扉を引き、自分の机の中を覗き込む。
「お、あったあった」
書き込みだらけの歌詞カードを取り出し、ポケットに入れた。
「さて、と…帰るかぁ」
少し残念そうな顔を浮かべ、ふと窓の外を眺める。星がキラキラと輝き、月明かりがあかねを照らし、まるでスポットライトかのように感じられた。
『♪〜〜〜』
「…歌?」
もう誰もいないはずなのに、どこからか歌声が聞こえた。
「えっ、どゆこと?オバケ?」
屋上の辺りから聞こえていることに気がついたあかねは、少しわくわくしながら教室を飛び出し、階段を駆け上がった。
低くて、温かい声
細かなところを指摘したらキリがないけれど、どこか心が惹かれる。
気がつくと、その歌に聞き惚れていた。歌が止まった時、無意識にドアノブに手をかけて、本来立ち入り禁止のはずの屋上に足を踏み入れた。
(初めて、入った)
冷たい風が体温を奪い、身を震わせる。
ドアノブの音に反応して、1人の女の子が振り返り、あたしと目が合った。
運命だと思った
あたしの相棒はきっとキミだ。
「練習終わった?」
「あたしの相棒になって!」
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