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黒い空間、ただひたすらに黒く、自分の手すら見ることができない
「にゃーん」
何故か形の見える猫がこっちにこいと目配せしてくる、その猫について行くことにした
光に近づいているような遠ざかっているような感覚がする、暖かく、冷たい
人が見える、おかしい、ここは真っ暗闇だ、見えるわけがない
次第に近くなって行く
その人の目の前に来た、猫が頭突きをしている?優しい笑みを浮かべている、懐かしい……あの…
「お母さん…」
「ごめんね…優奈」
涙の落ちる音がする、泣いてばかりだったな、最近
「そうなんだよね?お母さん…?」
何年待ったっけな、10年?15年?いや、17年も待った
今日だけは我慢しなくてもいいよね
「ずっと探してたの!だから!だから!だから!」
「あなたはどうしてここにいるか知ってる?」
遮るように、もう聞きたくないかのように
「私の過去、幼いあなたには到底言えなかったの、今からでも遅くないかな」
お母さんのことは何も知らなかった
「わかった、聞かせて」
1分ほど考えた結果だ
「じゃあ、早速…私は小学校の頃からずっと貧乏でいじめられていたの、今思えばおかしいよね、でも1人だけ友達がいて、中学校も高校生も、ずっと助けてくれていた、でも、最後は結局裏切られた、あの子はいい人に見せかけた主犯格、だからどこでも助けに来てくれた、ずっと人生そんなものだと思ってたみんなみんな、そんなものだって、でも私も結婚した、あなたがいるからわかると思うけど、その人は最初は優しくてなんでもしてくれた、だけど優奈が生まれてから…本性がでてきたの、その人は子供は男の子がよかったらしいいの自分の思い通りにいかなかったからって、何度も暴行を繰り返されたあなただけは守りたくって必死に逃げた、そんなことがあって3年、彼は消えた、何故かは私も知らない、いつか家には手紙だけ置かれてあの人は消えた、手紙は読まなかった、今でも家にある、あなたが生まれて5年目、もう耐えられなくなった、仕事を頑張っても職場で何回も怒られる、近所の人からは相手にされない、誰も頼れない、辛くなっちゃって、あなたもゆういつ相手にしてくれる人に預けて一人で考えた、なんでこんなことになったんだって、恨もうとしても誰を恨んだらいいの?ずっと…だから、あなたのことなど考えず自殺を試みた、あなたを預けている人も遅れて呼んで」
自分ばっかり辛いんじゃなかった、自分よりもよっぽど苦労してる人がいるのに自分が世界一不幸だって、けれど違かった、よく知っている人が…こんなにも…
「本当は言いたくなかった、でもこれを言わなきゃダメだって……」
なんで言ってくれなかったの…聞けなかった、それどころじゃなくて
「言い忘れていたことがあったの、あの世界は…作り物だってね」