うぅ…にわか様…誠に申し訳御座いません……
定期テストが被ってしまい、投稿するのが厳しくなっていました…
遅くなりましたが、
11月29日、お誕生日おめでとうございました……ッッッ!!
申し訳程度の🇨🇦🇯🇵を捧げさせていただきます
⚠️共依存
雨が道路にポツポツとシミをつくった
木の葉ががさざめき、瞳が揺れる
一歩一歩をゆっくりと踏みしめていく僕から溢れるオーラはきっと、海の底のもっと、もっともっと沈んだところにある色をしているのだろう
僕はアメリカさんに先ほど、フラれてしまった
…いや、正式にはフラれたというよりも、出来事を察してしまったせいでそう感じているだけか
…まぁ、どちらにせよあの人が他の人と関係を持っていることには違いがない
僕は諦める他ないのだ
はぁ
諦めの意思を嘆きながら、すっかり赤くなってしまった目を擦った
溜め息をつけば、余計に疲れが溜まる
僕は立派な社畜だからそんなこと一般常識なのに、溜まっていく溜め息を防ぐ術も気力もない
雨にしては生温かい水が、頬を伝っていく
道路に落ちたらどうせ全部一緒の模様になってしまうのだから、僕の気持ちを理解できる人はいないだろう
アメリカさんのことが当初出会った頃から今までずっと好きだったということなんて、知る由もない
馴れ初めと涙を浮かべながら鼻をすすって歩いていると、すぐ目前までに人が迫っていたのにも関わらず、気づくことができなかった
そのままドンッとぶつかる
今日はほんとについてないなぁ…なんて思いながら、大丈夫ですか、と声をかけてきた人を見上げた
「…え、日本…??」
お互いに理解できなかったようで、暫く静かな時間が訪れた
…やがて、ぶつかった相手ことカナダさんはハンカチをおもむろに取り出し、
🇨🇦「日本…僕でよければ話聞くよ…?」
僕の背中にそっと腕を回してきた
普段なら悩み事ができたら寝てなんとかやり過ごしていたのに、自暴自棄になっていたらしい
僕は優しく語りかけてくるカナダさんに大人気もなくわんわんと泣きついてしまった
🇨🇦「…そんなことがあったんだ」
ここは、カナダさんの家
最近アメリカさんやイギリスさんとは離れて生活するようになったらしい
メープルシロップのような甘い匂いが充満していて、彼らしいシンプルな無駄のない家だ
濡れたスーツを脱いで洗濯をしてもらい、出してもらった僕にとってかなりぶかぶかなカナダさんの私服に着替え終わると、ソファに座らされた
🇨🇦「そういうのって…ほんと苦しいよね」
身長差もあるため、カナダさんはソファから降りて僕をぎゅっと抱きしめてきた
ハグするのはアメリカさん以来だなぁと考えつつ、震える手で抱きしめ返す
(…あったかい)
…アメリカさんはスキンシップが多い人だった
恋人ですらない僕に前でも後ろでも、気がつけばハグしてきていて、離してもらうのに必死だった
…それが僕にとって満更でもなかったなんて、思いもしなかったけど
だから僕はなんとなくカナダさんのこの体温を、アメリカさんのもののように錯覚した
“本当にこれがアメリカさんだったら良かったのに”
突発的に発生した心にはっとして、振り払った
…あの人にはお相手が、いる
だからもう忘れないといけない
『……』
それでも諦めきれない気持ちが胸の奥を空っぽにする
僕のほうが先に好きだったのに
伝わらないこの気持ちがもどかしくて、悔しい
今日で何度目かわからない透明な涙が溢れ出した
🇨🇦「…!!日本…」
「…全部なんて無責任なことは言えないけどさ」
「僕は日本の想い、少しはわかってるつもりだよ…!!」
鼠色のソファの上に水滴は滑り落ちていく
そしてカナダさんの僕を抱きしめる力が強くなった
…心配してくれているのかな
(…ごめんなさい、)
僕は貴方のお兄さんばかり目がいっていたから気が付かなかったけど、すごく優しいんですね
胸の奥がぎゅうっとして、心臓が痛い
…でも、さっきまで感じていた悲しい痛みではない
なぜなら、カナダさんと触れている身体の部位が、異常に熱いからだ
アメリカさんに恋したことがあるから僕はわかった
僕は優しいカナダさんに、今の瞬間で恋してしまったんだ
🇨🇦「………」
カナダさんは僕を抱きしめたまま、まだ背中をさすってくれている
…意外と、寂しかったのかもしれない
僕が元々欲しかったのは、孤独でいる時間が長すぎたから、アメリカさんみたいに僕のことを構ってくれる人だった
それなのに、アメリカさんには別の人ができたから
僕はひとりぼっちになってしまった
…今はそんな穴を埋めてくれる人が欲しかったのだろう
(…何千年とかいう間生きてきたけど、僕も本当に精神的にも肉体的にも衰えたなぁ…)
そんな自虐をしながら、カナダさんの腕の中で僕は悶々と考えた
…もし、この場でカナダさんに伝えることができたら…、
もう辛い想いせずに済むかな…?
『…ッ、カ”ナダさ”ん”……』
『う”…カナ”ダさぁ”ん”…』
🇨🇦「…………」
…やっぱそんなこと言えないなぁ
ずっと好きだったアメリカさんに恋心伝えられないぐらいだし、そんなものなのかなぁ…
視界が霞んできた
ちょうど仕事帰りだったし、だいぶいい時間なはず
…でも…カナダさんになんて言おうかなぁ…
…もう、このまま寝ちゃいたいくらい…
(…今日くらいいいですかね…?)
カナダさんにモソモソと身体を預け、
…プツッ
『………ん??』
…微睡んできたので目をゆっくりと閉じたら、変な痛みに襲われた
…肩が、痛い…?
針のようなもので刺されている感覚がする
『??………?』
虫に刺されたのかもしれない
しかし、先ほどよりもカナダさんの抱きしめる力が強くなっていて、離れようにも離れることができなかった
これではなにがいるのか確認できない
『あの…?かなださん、なんか肩が痛いので……』
🇨🇦「………」
僕が呼びかけても力を緩めずに、再び針が刺さったような痛みが走った
『いた”ッ…か、な”ださ___』
🇨🇦「あんまり動かないほうがいいよ」
『……え?』
🇨🇦「注射刺してるからさ」
「そのまま動いちゃうと、血管千切れちゃうよ?」
理解が追い付かない僕は涙も忘れて身体を震えさせていたようだった
そういえばカナダさんが刺している注射から何かを入れ込まれている感覚がする
得体のしれない何か……
『…やめ、…ッッ”ッ!”?!?』
血管が千切れてもいいからどうにかして離れようとすると、カナダさんから出ているとは思えないほどの力が僕を締め付けてきた
『く”ッ、!?ヒゅぅ、ぁ゙、か”な”、さ”…!!』
喉元から空気が逃げる音がする
🇨🇦「…兄さんって、酷いね」
「あんだけ日本日本言っといて、日本のこと全然わかってないじゃん…こんな悲しませといて」
「…僕は兄さんより内向的だからさ、君と今までフレンドリーに話すことができなかったの」
「だから思うように事が進むことがあんまりなくて、兄さんに日本取られちゃうーー!!…って結構心配してたけど…」
「もうそんな心配しなくてよさそう笑」
『ッ”、あ”、ぅ”…』
酸欠のせいでうまく頭が回らない
どうしたらここから逃げられるのだろう
🇨🇦「…あ、苦しい?ごめんね、日本…」
「よいしょ、っと…って軽…」
筋弛緩剤を入れられたのかもしれない
やけに身体の動きが重い
なにより急速に脳みそに酸素が回って、頭がずきずきと激しい痛みを主張してくるため、抵抗すらできない
『や”だ、ぁ”…』
カナダさんはいとも簡単に僕の身体を持ち上げて床下にそっと僕を降ろした
🇨🇦「ごめんね?日本…ここ痛いかもだけど、僕もう限界なの」
「じきにクスリも効いてくるだろうし…それまでの辛抱だよ!!」
そういってカナダさんは僕のベルトに手をかけて、いそいそと脱がし始めた
抵抗する気もなくなって、ただ見届けることしかできない
頭がボーッとしてきた
カナダさんがなにやら掠れる視界の中でなにかしているようだったけど、よく見えない
瞳を閉じれば目の前に星が飛んでいる
なんだか幸せな気分
アメリカさんとの関係もどうでもよくなってきた
今はただ目の前の快感に手を伸ばしていたい
カナダさんの荒々しい呼吸音と身体の異物感を最後に、僕は正常な意識を失った
最近はずっと、雲がどんよりとしている
低気圧のせいか知らないが、朝起きるのが憂鬱だ
ほんとこの鉛色の空からの贈り物は、俺にとって碌なものじゃない
…あーあ、全てが面倒だ
近頃日本は職場に来てねぇし
カナダとも連絡がつかねぇ
🇺🇸「…チッ」
思わず舌打ちをした
(はぁ…日本に会いてぇ…)
俺の唯一の癒し枠であり、生涯で初めてできた”好きなひと”
…そんな人がいる、って言ってんのにあいつらは…
最近よく絡んでくるしつこい女性たちを思い浮かべた
胸やら尻やらを押し付けてきて、本当に気色が悪い
”これが日本だったら良かったのに”と、叶いもしないことを神に願った
(はぁ…日本…)
暇さえあれば日本のことばっか考えちまう
俺はやっぱり重症なんだな
…”恋煩い”ってのは、誰でもかかるもんかもしれねぇが…
人格をも変えちまうなんて、やっぱ怖えな
同調するかのように、周りの木々は静かにさざめいていた
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