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「別に睦月をいじめるたり論破するつもりはねえよ」
複雑な顔をしていた僕に、潤が笑いかけてくれた。
「奥さんが好きなんだから、なりふり構わずやるだけやれ」
「そうだね」
「睦月が奥さんよりTENGAのことが気になるのは、顧客から金を預かっているからだろ。なんだかんだで結局値動き気にしているし、リスクをしっかり理解しているからこそ、慎重な売買ができるんだ。男はみんなスケベだから、俺ならこの局面、下がりすぎだから打診買いに走る」
「僕だってスケベだよ」
男じゃないみたいに言われたのが心外で、口をとがらせて言い返した。
「むっつりスケベだとは思う。でも、結局一緒に住んでいる奥さんに指一本触れてないんだろ」
「ちょ、ちょっとくらい触れたし! き、キスだって…」
「そんなの触れてないのと一緒だって」
「一緒じゃない!!」
潤は目を細めて笑った。僕がムキになるのが楽しいようだ。
「わかったわかった。とにかく、睦月はそれだけ顧客に対して誠実で責任があるって証拠だよ。仕事を放って奥さんに入れ込むようじゃ、俺は今すぐ辞表を出してるね」
「潤……」
なんだかグッときた。潤は僕のことをちゃんと認めてくれているからこそ、面倒な秘書をやってくれているんだと改めて思い知る。いい男だと思った。
「奥さんも大事だと思うけれど、まずは目の前の仕事が優先だ。月曜日、睦月の勘が正しいのかどうか確かめて、安心してからでいいだろ。それに、マルヨーと一緒にフジノでプレゼンするんだろ? プレゼンの資料確認も最終チェックも、日曜日にはプレゼンの練習もするって言ってたし、付き合うよ」
「助かる」
ほんとにいい男だ。僕もこういう男に早くなりたいな。
「じゃあ、土日返上で頑張ろう。当日は潤もサポートしてくれるだろ?」
「もちろんだ。TENGAの社運を賭けたプロジェクトにしようぜ」
「大げさな」
「日本食を世界に売り込むってことは、それくらいの気負いがないと無理だろ。適当にする気か?」
「まさか。僕がそんなことするわけないだろ。いつだって全力だよ」
「いい心がけだ。それくらいじゃないと、未来スーパーと組んだ翠子に負けるぞ」
「ぜったい僕が勝つ!」
そうだ。折り紙のうまい定食の味を缶詰に閉じこめたんだ。これを世界で売ってやる。
それに、成功すれば水島も海外に逆戻り!
なんとしても成功を掴み取るぞ!!
そうして、日経平均の過去最大下落幅を叩きだした
運命の8月5日が訪れる――
コメント
1件
潤、いい男すぎるだろ……! 睦月がムキになって「キスだってした!」って言い返すとこ、思わずニヤけたわ。仕事に責任持ってるからこそ奥さんに手が出せないジレンマ、めっちゃ伝わってくる。そして最後の「運命の8月5日」で一気に引き込まれた——この後の暴落、どう動くんだろう。社運かけたプレゼンと相場の荒波、どっちも気になる🔥
雨鈴蓮花🫧ラムネ中毒者🫧
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