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第 一 話 「 ある教会で僕は 」
こ れ は 僕 が 産 ま れ る 数 時 間 前 の こ と
何処にでもある様な教会のベッドに座り込んで表情の一つも変えずに静かに考え事をしているのは僕の母だ。
そして母の座り込むベッドの横に置いてある椅子に座るのは僕の父だ。
「ねぇ、貴方」
考えていた事をしていた母がいきなり子供の様な笑で父に喋りかけた。
「なんだ、アリス」
表情が何一つと変わらなかった母がいきなり笑顔で話しかけるものだから少し驚いた様子で返事をした父。
その父の様子を気にせず、伝えたい事を母はやや早口で言った。
「私、この子の名前はさ、アトラスって名前にしたいわ」
きらきらとした目で父をみる母。
そんな母を見るのが久しぶりなのかまたもややや驚きながら
「気が早いぞ」
といって、くすっと笑った。
そんな父を見た母もそうねと言わんばかりに笑った。
そ ん な ほ の ぼ の と し た 会 話 が 続 い た
数 時 間 後 、 僕 は 産 ま れ る 。
僕 が 産 ま れ る ま で の 時 間 、 父 は ず っと 母 の そ ば に い た 。
そ し て 僕 が 産 ま れ た そ の 瞬 間 、 ソ レ は 案 外 静 か な モ ノ だ っ た 。
僕 は 泣 く こ と は 無 く 、開 放 感 と 光 に
包 ま れ て い た 。
そ し て そ の 僕 を 産 ん だ 母 は 全 て の
役 目 を 終 え た か の 様 な 顔 で 眠 り に
つ い た 。
そ の 瞬 間 、ま る で 僕 の 代 わ り に 泣 く
よ う に 大 き な 声 が 部 屋 中 に 響 き 渡 っ
た 。