「マホロア?」
「ナァニ?」
「……。悪かったのサ。」
「エライエライ。ごめんなさいは?」
マホロア相手に謝罪をするのが何となく嫌で怪訝そうな顔をしてしまった。今のマホロアにこんな顔したらロクな事にならないとは安 易に想像できるのに。
「……ほ、ホントに悪かったと思ってるのサ。だから、許してちょーよ。」
「ごめんなさいは?」
「……。ごめん」
「許してあげるヨォ。可愛いネェ。」
なんなんだコイツ……。マジでとち狂った?
目を細めてニヤニヤと笑うマホロアを見てると変な気分になる。なんとも言えない何となく目を逸らしたくなる感覚。
「マルク、コッチ向いてヨォ」
「なんなのサ……?」
「~ッ可愛いネェ。カオ真っ赤ダヨォ」
「は?」
自分の顔を爪で触ってみる。熱い。尋常じゃないほど熱い。その事実に気付いた途端、焦り始めてしまう。
「ホント耐えられないヨォ♡
可愛い過ぎるんダヨォ、キミ♡」
「ちょっ、マホロアッ。」
身の危険を感じてボールを取り出してマホロアの顔面一直線に投げつける。さすがボク、狙ったところにしっかりヒットした。
「イテテ……。ひどいナァ。
仕方ないから今日は隣にいるだけでイイヨォ。」
「……。分かったのサ。」
ローアの調整作業やらなんやらを始めるマホロアの隣に座る。作業をしている時のマホロアはいつものマホロアだった。
数時間後
24時になった。さすがに眠い。必死に眠気と戦ったが、気づいたら寝てしまった。
「アレ、寝ちゃったんダネェ。
いっつも22時に寝るイイコだもんネェ。」
朝
「は?」
「マホロア~ッ!!昨日ボクに何したのサ!!」
「ナニって、ほっぺにキスマつけただけダヨォ?」
「はぁ?マジで狂ってるのサ!!せめて見にくいところにつけるのサ!!!」
「エ~ダッテェ。デモ、見にくいところならつけてイインダネェ?」
「そうは言ってないのサ!!」
何となく変な気分になって、マホロアから顔を背けた。
「アハハ、マルク後ろから見ても分かるくらい顔真っ赤ダネェ」
「うるさいのサ!!」
ククク…と喉を鳴らすマホロアを横目に、自分の部屋にそそくさと帰った。多分これは悪い夢のようなものだ。多分妙にリアルな夢を見てるだけだ。そうだきっとそうに違いない。昨日からずっと夢を見てたんだ。
そうありもしないと分かりきってる言葉を自分に心の中でいいきかせて…
はぁ~ぁ、マルクばれちゃった。
でも仕方ないよね、昨日のボクはまともじゃなかった。どうせ今頃きっとこれは夢なのサ!!とか自分に言い聞かせてる最中だろう。マルクのことなら全部分かっちゃうんだから…。
だからマルクに何事も無かったように接すればいいだけ。そうすればいつの間にか戻ってるんだから。今まで通りのマルクの笑顔を思いっきり盗撮できる…
はぁ、なんだったんだ。
多分夢から覚めたよ、な?
何か夢から覚めたか確かめる方法を探してみる…。
そうだ、さっきのキスマだ。確かボクの部屋を出てすぐそこに鏡があるはず…。
あれ?ない?なんでだ?
「アレ?マルク、どうしたノォ?」
「あ、マ、マホロア。ここに鏡なかったのサ?」
「あぁ、アノ姿見のことダネェ。
カナリ汚れてきたから別のを探すことにしたんダァ。」
「そうなのサ?」
「そんなことより、朝ごはん作ったから食べようヨォ。」
「あぁ、ありがとなのサ。」
マホロアはいつも通り、やっぱりあれは夢だったんだ。
「イタダキマス。」
「…。」
「オイシイ?」
「まぁな」
「さっすがボク、料理もできチャウ。」
「作ったのはローアだろ。」
「デモ、そのプログラムをしたのはボクダヨォ?」
「はいはい、すごいすごい。」
「ソウダ!マルク、後で海辺に行こうヨォ。」
「なんだよ急に」
「何となく行くところがなくて暇だったカラ。」
「別にいいけど」
「ジャア決まりダネ!」
そう言ってマホロアは人のいい笑顔を見せた。ボクは知ってる、コイツがこんな顔をする時は、だいたい何か企んでる時だ。
夢でも通った道で海辺まで向かった。西からのそよ風が、雲ひとつない晴天が、なんだかとてつもなく貴重なものに見えた。多分これは、いつも隣にいるヤツが隣にいるからだ。
ようやく海辺に着いた時、ツンとした塩の匂いが鼻腔をくすぐった。遠くまで見える果てしない海と、いつも通りノーてんきに空を飛んでるブロントバードと、そこら辺で退屈そうに店番をしたり、ほっつき回ったりしてるワドルディ達。なんてことないものなのに、この時間を、空間を、セーブしたいと思った。嫌なことがあった時いつでもロードして…。
でも、この時間も、空間も、1度きりだからきっと大切なんだ。だから、1度きりだからもっとはしゃぎ倒さなきゃもったいない!!
「えい」
「チョっ、マルク何すんノォ!?」
「油断してる方が悪いのサ。」
「モウ!服に水かかったジャン!!」
「そんなことどーでもいいのサ。」
「モウっ!!」
ボク達は暴れ回った、子供かよって呆れられるほど暴れた。でも別にいいだろ?こんな記憶に残る1日になったんだから…。
お詫び
大変遅くなってしまい、すみませんでした。久しぶりにアカウントを見てみたら、暖かいコメントが来ており本当に励みになりました。手抜き感が出てしまいましたが、また見てくださると光栄です。
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