青×水 微.桃×白
R無し ちょっとした表現はあり
罵倒表現、ちょっとした暴力表現あります。
ご本人様には全く関係ございません。
💎┆……だるい…、
寝起き早々出た一言。
ぴぴぴ、という無機質なアラームで目が覚める。
いつも通り、気怠い朝。
ふと腕に痛みを感じ、その場を見やる。
💎┆あ…、…捨ててなかったっけ、
昨晩飲んだ薬のゴミが、腕に食い込み跡を作っている。
💎┆…そっか、捨てる前に眠くて…寝ちゃったんだ…
僕が飲んでる睡眠薬。強力ゆえに副作用が強く、唐突な眠気に覚醒時の気怠さが伴う。
そんな薬を何粒も飲まないといけないほど、不眠に悩まされている。
💎┆いつからだっけなぁ、寝れなくなったの…w
腕に増えた傷をなぞりながら自嘲気味に笑う。
そんなことを漏らした時に、決まって浮かぶのは彼の顔。
悪くない、悪くない。彼は悪くないのに。
頭ではわかってるのに、心は黒く燻んだ言葉を吐き出させる。
💎┆…全部、初兎ちゃんのせい。
💎┆全部知ってたくせに。
どろり、と黒い言葉が口から漂い、消えていった。
-ヶ月前
薄暗いオフィス。
会議は30分ほど前に終わっていたのだが、忘れ物に気付き引き返してきた。
皆解散して、退社時刻も過ぎた今
誰もいないだろうと、電気を点けた会議室。
🍣┆…あ…
🐇┆っ…いむ、くん…?
重なる二つの人影があった。
🍣┆…やっぱ、バレちゃったか。
🐇┆ないちゃ…
💎┆は…、ちょ……
台詞を聞いて、抱き合ってる2人を見て、
💎┆っ、ごめ…僕、出るね…!
状況を嫌でも理解してしまった僕は、部屋から飛び出した。
思わず駆け出した足は止まれない。
なんで?どうして?
だって、僕は…
🐇┆いむくん、待ってや…!!
いきなり右腕が掴まれる。
振り返った先には、息が上がった親友の姿。
それが、何か言おうと口を開く。
🐇┆いむくん、僕は…ッ
💎┆…うるさい”ッッ…!!
そんな彼の声を遮ったのは、他でもない僕の声。
でも、これくらい許してよ。
それくらい、いいじゃん。
ねぇ?裏切り者。
💎┆知ってたよね!?話したよね…!!
💎┆僕の気持ち、話したじゃん…っ…
🐇┆違う、あのな…っ
💎┆ないちゃんが好きって僕の気持ち、知ってたのに裏切ったんだ!?
💎┆僕がずっと悩んでるの、心の中で笑ってたんでしょ…!?
🐇┆違…っ…
💎┆ふざけんな…っ…!!
密かに抱いてたリーダーへの恋心。
親友の君には、信頼してたから全部話したのに。
応援してるよ。半年前、そうやって笑った笑顔はなんだったの?
全部嘘だったの?
ねえ、二人はいつできたの?
🐇┆違う、僕ら…1年前くらいから、
🐇┆やから、いむくん、僕はな……?
「ないちゃんを取ったわけじゃないんやで。」
そう言おうとして踏み止まったんだろう。
でも、相談した半年前にはもう付き合ってたんでしょう?
じゃあなんであの時言ってくれなかったの?
そんなに僕って信用ない?
🐇┆それは……だって、傷付けたくなくて…っ
💎┆……ふざけんなよっ…
全部、僕への同情だったって訳だ。
あの笑顔も僕への当てつけで。
叶うわけないって知りながら、ずっと都合のいいこと吐き続けてきたんだね。
💎┆…ほんっと、ふざけないでよ…
🐇┆いむくん、……いむく、
馬鹿みたいに僕の名前を連呼しながら、泣きそうに顔を歪める初兎ちゃん。
泣きたいのはこっちだよ。信じたくないのはこっちだよ。
気付いたら、初兎ちゃんの胸倉を掴んでた。
💎┆…ふざけないで……ッッ
🐇┆い”、…ッ…
泣きそうな顔はみるみるうちに恐怖に歪む。
そんなのお構いなしに捲し立てる。
💎┆…ずっと、嘲笑ってたんでしょ。
💎┆どう?楽しい?僕がこうやって悔しがって、嬉しい?
💎┆酷いよ。…なんで言ってくれなかったの?
💎┆…信じてたのに、
僕を見つめる紫の瞳から、一粒の雫が溢れた。
なんでお前が泣くの?何がそんなに悲しいの?
一層の事、全部嘲笑ってくれたほうが楽なのに。
僕の視界も水色に歪んでいく。
その歪みが水となってこぼれ落ちた時、僕の身体は突き飛ばされていた。
🍣┆…初兎ちゃんに、何やってんの…?
見上げた先には、恋焦がれた人の鋭い視線。
それを見た時、僕には元から勝ち目など無いのだと、改めて悟った。
悟ってしまった。
🍣┆…なんでこんな事してんの…?初兎ちゃん、泣いてるんだけど。
そうやって腕の中の初兎ちゃんに視線を向ける彼。
ねえ、僕だって泣いてるよ。
僕を見てよ。
ちょっとくらい、知ろうとしてよ。
🍣┆ねぇ…
💎┆…初兎ちゃんの、裏切り者…ッッ!!
遮って出たのはそんな言葉。
それを聞いた瞬間、初兎ちゃんはさらに顔を歪め、
ないちゃんは拳を振り下ろした。
💎┆…結局全部、僕のせいじゃん。
そっからどう帰ったかは覚えてない。
ただ覚えてるのは、殴られそうになった僕を、初兎ちゃんが助けてくれただけ。
必死でないちゃんに縋り付いて、泣きながら。
💎┆…連絡、無視したままだなぁ…w
別に、個人配信は勿論、収録もファンミも…。
ちゃんと顔は出してる。
でもそれだけ。
メンバーとは誰とも個人で連絡を取らないし、2人に関しては収録内でもあまり絡まないようにしてる。
💎┆…さいあくだ、ほんと。
こぼれ落ちた言葉。
最近1人の時はこれしか溢してない。
…もういいや、このままだとおかしくなる。
今日な何もないし。もう一回寝ちゃおう。
そう思って薬の置いてあるはずの場所を探る。
💎┆…うそ、
手は空振りするだけ。
💎┆切れた…?そんな使ったっけ、薬…
切れたのなら仕方が無い。
外出する気はさらさら無かったが、薬局で買うしかないか。
そう思ってパーカーに腕を通す。
まだ少し血の滲んでいる腕を見て薄く笑う。
💎┆お前が病んでどうすんの、ばか。
自分の味方は、僕自身も出来なかったみたいだ。
歩いて10分程度の場所。
今まではすんなり歩けていたのに、薬のせいか息切れが激しい。
だけじゃなくて、雨も降ってくる。
どうせすぐだから、と油断していた僕が傘なんて持ってるわけもなく。
💎┆…最悪、ほんと。
その最悪が雨に向けてなのか、自分に向けてなのかも分からないまま先を急いだ。
薬を買い、薬局を出た時には雨は激しさを増していた。
でも傘を買う気力もないし、
どうせ風邪ひいても心配する人なんて居ないんだから。
なんてぼんやり考えながら、傘をささずに帰る。
そんな時だった。
┆っ、おい、ほとけ…!!
💎┆わ…
いきなり左腕を引っ張られ、誰かの胸の中に飛び込む。
それと同時に僕の肩を濡らす雨粒が無くなる。
ふと見上げると、焦ったようなメンバーの顔。
💎┆…いふくん…?
🤪┆いふ。いふやで、ほとけ。
🤪┆なんでこんなボロボロなん…?ずっと元気ないよな、なんで…
💎┆…ぁは、…うん、元気ない。
良かった。心配してくれてる人、いたんだ。
そうわかった途端、ふっと体の力が抜けた。
🤪┆は、ちょ…ほとけ、おい起きろ…!!
🤪┆ほとけ…!
遠くで、相方の声が反響した。
💎┆…ぁ…
目を覚ましたら、見慣れた天井だった。
🤪┆…ああ、良かった。起きたんや。
台所の方からいふくんが顔を覗かせる。
きっと彼がここまで運んで来てくれたのだろう。
と、ここで気付く。
💎┆…っ、え…家、…僕の家…?
🤪┆…え、うん…そうやけど…
慌てて寝室に戻る。
朝起きた時に散らばっていた薬のゴミや刃物は全部消えている。
💎┆嘘、
腕の傷にはご親切に包帯が巻かれている。
💎┆嘘…、見られたの…?
終わった。嫌われる。
初めは心配してを掛けてくれても、理由を聞いたら絶対に見放される。
僕が初兎ちゃんにしたこと、言ったこと。
もしかしたら、もう僕がいない間にメンバーで交流されているかもしれない。
💎┆待って…違う、僕は……ッ!!
🤪┆…ほとけ。
取り乱しかけた時に聞こえたのはいふくんの声。
🤪┆…よう我慢したな。
💎┆え、
言われたのは素っ頓狂な言葉。
優しい声色だった。
🤪┆迷惑かけないようにしとったんやろ?…優しいんやな、やっぱ。
💎┆え…?
まるで、全てわかってるような。
それでいて、真実を知らないような。
💎┆でも、僕…初兎ちゃんとないちゃんに、
🤪┆知っとるよ。ないこから聞いた。
💎┆じゃあ、なんで……っ
僕にかまわないでいいよ。知ってるなら、避けてってよ。
でも、この温もりを逃したくないから、最後まで続けない。
そんなセコい僕の耳に入ったのは、静かな告白。
🤪┆…ほとけのことが好きやから。
🤪┆支えたいんよ、お前のこと。
💎┆…っ、
全て知ってて、僕の気持ちも知ってて、
いふくんはそんなこと言うんだね。
🤪┆なあ、やから。
🤪┆俺にできることあったら、何でも言ってや。
じゃあ、その恋心に漬け込んじゃっても、良いのかな。
この温もりに、もうちょっとだけでもいいから囲まれたいと思うのは、ダメかな。
💎┆…抱いて。
🤪┆……は、
💎┆好きなら抱いてよ…ッッ!!
💎┆人の好意に、触れたいから…っっ…
一瞬困惑した表情を浮かべた彼は、少し哀しそうな顔をして言った。
🤪┆…それをほとけが望むなら。
ああ、本当に。
最悪な僕だな。
そうやって僕は、闇夜に溺れていった。
🤪side
横で泣きながら眠りについたほとけを眺めて思う。
…もう、これでもいいや、と。
どれだけ裏切られても、危害を加えられそうになっても、
こいつにとっての親友は初兎で、想い人はないこなんだから。
俺は、ただのこれでいい。ほとけを支えられるなら、これで。
愛がなくても、哀しかなくても、藍がここにいれば。
こいつはきっと、救われるから。
視界が歪んだのは、きっと気のせい。
好きなら抱いてよ。
fin.
コメント
5件
なんだろう、こういう物語を 胸糞悪いって言うのかなぁ 最高です…! 桃さんが何を思っていたのかが 1番気になりました、うーん バレちゃったかって満更でも ない感じがしたので… 自分のことしか考えて なさそうな感じ…? なんかこの物語の中で 1番屑っぽさが出てて好きです 白さんはなんか、優しさで 言わなかったけどそれがかえって 水さんを傷つけてしまった感じですよね… コメ返続きます