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遠い遠い昔のとある日のこと。絶えず人生を切り捨てる人間達に嫌気がさした神様はワルツランドと『命を捨てると転生する』という契りを結んだ…。
思ったよりもここは高かったようだ。
耳元では凄い勢いで風をきる音が聞こえ、ゆっくりと落ちていく中でだんだんと意識が遠のいていく。
僕は殆ど痛みを感じないまま目の前が真っ暗になった。
死とは。
意外とあっけないものである。
目の前が真っ暗になり、次に目を開けた時僕は空を飛んでいた。
他にもなんだか清らかな顔をした人達がたくさん浮遊していて自分が天国に行くことをなんとなく理解する。
きらきらふわふわした雲と信じられないぐらいに明るい空のてっぺんにもうすぐ着く。そう思った途端、突然僕は上にあがれなくなった。なんでなんでと一瞬の間に色んな疑問が頭の中をよぎる。
そのまま急降下だ。
僕は、人生で二度目(正確にはもう死んでいるが)の大落下を経験した。
今度は意識が遠のくどころか、むしろはっきりしていく気までする。幻聴まで聞こえるような気がしてきた。
「おーい…こんばんは…ねえねえ、そこの君に言ってるんだよ。あれ、死んでるのかなあ。あれえ。」
「ねえねえ…ねえってば!返事をしなさい!おいっ!」
「…僕に言ってるんですか?」
「そうだよ!やっと返事した!」
「普通そんな風に突然話しかけたらわかりませんし。…というか助けてくれませんか。」
「え?」
「僕、今なんでかわかんないんですけど、急降下してるんですよね。」
「それは君が死んだからです。」
「他の方達はみんな清らかな顔して天に召されてましたが!?なのに、なんで僕は下に下に降りてるんですか!?僕もあのあったかそうな天に行きたいです!!」
「君が言っている他の方達は…まあざっくり言うと事故や寿命、病気によって天に来た方々なんだ。ですが君は、まだ生きられるというのに大切な命を切り捨てました。」
「その罪は君が考えているよりずっと大きい。」
「じゃあなんですか。僕は地獄にでも行くんですか?」
「いいや、違うよ。」
「君には人生をやり直してもらいます。それも、異世界で。」
「…まずは自己紹介でもしておこうか。私は君みたいな自殺した子のガイド役。まあ天の使いってところ。」
「普通の人間はみんな知らないと思うけど、人間の神様は、はるか昔に天と契りを交わしたの。『命を捨てたら人生やり直し』って。」
「つまり…?」
「君が今向かっているのはやり直し先の異世界。ワルツランドっていうそれなりに楽しくて平和なところだよ。」
「あ、着いた。」
「…ここが…ですか…」